ルーベンス「セネカの死」
金ダライの中で、腰布一枚で老人が立っている。
なんと痛ましい姿なのだろう。
眼光は鋭く、何かを訴えようとしている。
この老人は一体、誰なのだろう。
あられもない姿だが、筋肉は隆々として、
まるで若者のようだ。
しかし、顔には悲壮感が漂っている。
髪の毛は薄く、白髪が混じり、
どう見ても若者ではない。
この絵はピーテル・パウル・ルーベンスの描いた
「セネカの死」である。
この老人はセネカだった。
セネカといえば、中世の三哲人の中の一人、
アリストテレス、プラトン、そしてセネカなのだ。
ローマ皇帝で暴君といえばネロ、
そのネロの幼少期の教育の師としても知られている。
それだけではなく政治のブレーンとしても、
彼は若いネロを支えた人なのだ。
そのセネカがどうして
このような姿になってしまったのか。
セネカとネロの関係は初めこそ良かったものの、
次第に、
初めのような良い関係が保てなくなっていった。
暴君ネロについて行けなくなったということか。
一方、暴君ネロについても批判が強まり、
暗殺の陰謀がうわさされ、
それを企てたのがセネカという声も上がっていた。
ネロは信頼を裏切られたと勘違いをし、
セネカに自害を命じたのだ。
その時の情景がこの一枚である。
だから、この悲壮感か・・・
セネカはどんな思いでここにいるのだろう。
手を少し上げ、ギラギラとした目で、
何かを訴えているようにも見える。
あまりにも悲劇的な最期を遂げたセネカの死は、
注目の的となり、
多く画家に「セネカの死」として描かれている。
今晩の
「一人ぼっちのウォークマン」の旅は
このセネカの最期の叫びを聞きに・・・・・
