サージェント「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」
今回もジョン・シンガー・サージェントを取り上げる。
彼は友人とテムズ川をボートで下っている時、
木々や花々の間に不思議なものを見たという。
それが、この提灯だ。
この絵は夕暮れ時に、
提灯をともす2人の少女を描いた
「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」である。
イギリスでこの提灯、
そして、ヤマユリのような大きなユリの花、
とても不思議な光景だ。
夕暮れというが何時ごろだろう。
暗くなる前に提灯を灯そうとしているこの二人が
この絵をいっそう幻想的にしている。
まさに、この絵のために舞い降りてきた
天使のようにも見えてくる。
この絵に、なくてはならない二人だ。
そして、背景の色は何色と言ったらよいのか。
サージェントはこの色を出すために、
どれだけの時間を費やしたのだろう。
夕暮れ時にこんな色の一瞬があるのだろうか、
と思わせるほどハッとさせられる。
この色を見せてもらえたことが
とても感激だ。
この絵には日本のヤマユリ、提灯が描かれ、
ジャポニズムの影響が深く浸透していたようで
嬉しくなる。
また、サージェントは屋内制作の肖像画で有名だが、
この夕暮れの絵を描くために、
屋外での制作を足掛け2年も費やしたという。
この一瞬の美しさを描くための情熱に
頭が下がる思いだ。
今晩の
「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は
この幻想的な情景の中に・・・・・