ヒエロニムス・ボス「放浪者」 | ひとりぼっちのウォークマン

 ヒエロニムス・ボス「放浪者」

今回は初期ネーデルラント美術

 

(オランダなど低地の国々3か国)を代表する

 

画家のヒエロニムス・ボスを取り上げる。 

   

 

 

ボスは独特の世界観で、

 

鋭い観察と、豊かな描写力をもった画家だった。

 

 

この絵は行商の旅人を描いた「放浪者」である。

 

 

 

この八角形の中の丸い絵は、

 

とても変わっていて、なじみが薄い。

 

 

見ていると鏡のような気もしてくる。

 

 

でも、描いてあるのは、

 

寂しそうな男。

 

 

これが鏡だとしたら、

 

自分の顔を見る前に、

 

 

この男の顔を見なければならないなんて・・・・・

 

とても耐えられない。

 

 

さて、この男は

 

旅をしながら行商をしているようだ。

 

 

背負っている籠には何が入っているのだろう。

 

 

売り物の何か・・・・・

 

想像はつかないが、

 

何か商品のようだ。

 

 

着ている服は、所どころ穴が空いていて、

 

片方は靴、もう一方はスリッパを履いている。

 

 

貧しい生活ぶりがうかがえる。

 

 

この男は振り返って後ろを見ているようだが、

 

後ろには古びた建物がたっている。

 

 

屋根の上には棒にとりつけた花瓶、

 

鳩の出入りできる屋根、

 

白鳥の看板、

 

 

ここは娼館のようだ。

 

 

窓から女が顔を出し、男を呼び込んでいたり、

 

入り口には抱き合う男女がいたり、

 

 

路地には小用をしている男がいるなど、

 

うらぶれた店のようである。

 

 

男はこの娼館に入りたいのか、止めようか、

 

迷っているのかもしれない。

 

 

人生とはあらゆる場面で

 

常に選択を迫ってくるのだ。

 

 

今晩の

 

「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は

 

この建物の前で、

 

自分ならどちらを選択するだろうか?

 

 

さあ、どうする?

 

答えは、分からない・・・・・