シャセリオー「アポロンとダフネ」
森の中で、この二人はいったい何をしているのだろう。
言い争いでもしているのか、
何か、もつれているようだ。
男性は女性にすがって、何か懇願しているような、
裸の女性は腕を上げて
身をくねらせ厭がっているようにも見える。
この絵は、ギリシャ神話の中でも、
よく知られている場面で、
シャセリオーの描いた「アポロンとダフネ」である。
よく見ると、
この女性の足は途中から木の根のように・・・・・
この絵は若い男女が戯れているようにも見え、
何か甘酸っぱい艶やかな雰囲気が漂よってくる。
生涯独身と誓った美しい妖精のダフネに
恋をしてしまった太陽と詩の神 アポロンが、
一方的に熱を上げ、どこまでも、
しつっこく追いかけていくというのだ。
アポロンの求愛を拒み続けたダフネだが、
逃げ切れないとわかると、
1本の木(月桂樹)に変身しようとしたのだ。
今、まさにダフネの美しい姿態が
足元から月桂樹の木に変わりつつある瞬間なのだ。
アポロンは、ダフネが木に変身していくのを見て、
「待ってくれ、変身しないでくれ、
僕の熱い愛を受け入れてくれ・・・・」
と懇願しているのだ。
まさに迫真の場面、クライマックスである。
神話によると、
この原因はアポロンが自ら作ったのだ。
弓矢で遊んでいるキューピッドを
アポロンが「子供の悪戯だ」と、からかった。
それに腹を立てたキューピッドは、
アポロンの胸に恋におちいる 金の矢を、
ダフネには恋をこばむ 鉛の矢を、
それぞれに射ったのだ。
その結果、アポロンはどこまでもダフネを熱く追い、
ダフネは常に求愛されながら逃げるのだった。
失恋したアポロンは、
ダフネへの愛を永遠に忘れないように、
月桂樹で冠を作り、頭にかぶるようになった。
ダフネとはギリシャ語で月桂樹の意味だが、
今ではオリンピック優勝者に月桂樹の冠を与えている。
そこには勝利者の栄誉を讃えるという意味と、
ダフネの名を永遠に残すという意味が
込められているようだ。
今晩の
「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は
この美しいダフネに逢いに・・・・・
