動画を紹介してみる その1
上記の動画は、エレクトーンでスターウォーズのテーマ曲を演奏している動画で、
その完成度の高さには本当に驚きであります。
事務の仕事をしながら、この『YouTube』の動画を聞いております。
(他にも、インディー・ジョーンズやパイレーツオブカリビアンなどあります)
では、ここまで。
吸血鬼に愛された人間 (5592文字あります)
今回のお話は、またも長いですw
5592文字あります。
タイトルは、『吸血鬼に愛された人間』です。
それでは、始まります。
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『吸血鬼に愛された人間』
吸血鬼。
人の血を食らうもの。
つまり、人間の捕食者。
それは、人間の敵。
だが、それは、果たして言葉通りの事実なのだろうか?
ぼく、エトヤは、吸血鬼のことを専門分野にする19歳の学者だ。
なぜ、そんな疑問を抱いたかというと資料を丁寧に調べていたら一つの疑問が浮かんだからだ。
吸血鬼が起こした凄惨な事件は、世間に知れ渡っている。
ただ、その凄惨な事件は、十本の指で数えられる数だ。
そして、いくら調べても、吸血鬼が起こした事件は、それ以上の数が存在しない。
吸血鬼の総数は、実際には分からないし、調べようがない。
ただ、資料の人数を見る限りでは、吸血鬼の半数以上が、世間で言われている通り、人間に残酷なことをしているのなら。
有名ではなくても、事件自体の総数はもっと増えるはずだからだ。
それに、そもそも吸血鬼が血を吸った人間が吸血鬼になるのなら、吸血鬼はもっともっとたくさんいるはずだ。
今でこそデマだという事も分かっているが、一時期、吸血鬼は日光に弱いなんて言われていたこともあった。
だから、僕達人間は吸血鬼のことを正確に知っているのかと、疑問を感じたのだ。
吸血鬼根絶の波が終焉を迎えつつあった今でも、吸血鬼を殺すことならともかく、
吸血鬼の他のことなんて誰も興味がなかった。
それでも調べる気になったのは、本当のことを知ろうとしない学者なんて、存在価値がないと思ったからだ。
書物だけでは正確なことが分からないので、かつて吸血鬼の集落があったというこの森に来て調査をしていた。
この森の吸血鬼は、もう全員殺されたとのことだから、吸血鬼に襲われる心配はない。
他の人より小さいとはいえ、僕にも吸血鬼に対して、警戒心はあった。
いくら僕が、人間が言っている吸血鬼の情報に疑問を抱いていても、人間が言っている情報が全て嘘だとも思ってはいないからだ。
人間が言っている吸血鬼の情報には、正しい情報もあれば、間違った情報もあるかもしれないし、
人間が全然知らないような情報もあるのではないかというのが僕の考え方だ。
そして、吸血鬼の集落を調査し終えた。
この集落は、吸血鬼が今はいないということを除けば、人間の手は入っていない。
想像でしかないが、この付近の人達は、吸血鬼から身を守りたいから吸血鬼達を殺したが、それ以上は汚らわしくて関わりたくなかったと考えたのだろうか。
調査結果を言うと、吸血鬼が人間に酷いことをした痕跡なんて、全然なかった。
はっきり言って、吸血鬼の集落という事前情報がなければ、ただの人間の廃村としか思わなかった。
逆の事を言えば、それしか分からなかった。
一応成果は、あった。
人間に伝えられている吸血鬼の生活は、デマなのではないかということだ。
人間に伝えられている吸血鬼の集落についての話の多くは、
人間から血を手に入れる残酷な道具があったり、人間の生き血が溜められている壺が合ったりするのは、有名な話だ。
しかし、調べてみると、その残酷な道具は、刃がついているから誤解されたのだろうが、吸血鬼の祭器だ。
人間を傷つける為のものではない。
人間の生き血が溜められているという壺は、調査した結果、溜めているのは人間の血ではなく、植物の果汁を加工した赤い液体だった。
吸血鬼の真実の姿に疑問は深まったが、それ以上のことは分からず、この森を出る事にした。
森からの帰り道の途中。
その日は嵐で、橋を渡ろうとしていた時、突然、鉄砲水が来た。
とっさに走ったが、背中に強い衝撃と水に包まれた感覚とともに意識がなくなった。
目が覚めた時、僕が見たのは、岩の天井だった。
周りを見ると岩でできた部屋だった。
かなり広い部屋だ。
ガラスも何もない、岩がない部分の窓からは光が差していた。
窓の外は見知らぬ景色だった。
部屋の中央に焚き火がされていた跡があるので、誰かいるらしいことは確かだ。
なぜ自分が、こんなことにいるのかを思い出すと、どうやら僕は鉄砲水に巻き込まれたらしい。
でも、だとしたら、なぜ、僕はこんな所にいるのだろう?
・・・とりあえず起きることにした。
この部屋に繋がっている通路を見ると、全て岩でできていた。
レンガではなく、岩だ。
どうやら岩でできた家らしい。
通路を歩いていくと、木が燃えている音が聞こえた。
そこに向かって歩いていくと、女性の後ろ姿が見えた。
どうやら料理を作っているらしい。
金色の髪のロングヘアーをしていた。
「あの、こんにちは」
と、僕はその女性に声をかけた。
「こんにちわ」
その女性も振り返り、笑顔で返事をした。
若くて、本当に綺麗な女性だった。
彼女は、ミレアムという名前だった。
ミレアムは、僕が川辺に倒れているところを助けてくれたと言っていた。
ミレアムの話では、ここら辺は川が多く、嵐の間やその直後は、鉄砲水が起こり、あちこちで川が氾濫するとのことだった。
ミレアムは、水が治まるまでここにいたらいいと言ってくれて、僕はその厚意に甘えさせてもらうことにした。
ここは、人間の古代の遺跡で、ミレアムは、ここに一人で暮らしていているとのことだった。
この近辺の村人たちの話では、この森に住んでいる人はいないと聞いていたから、
なぜ、こんなところに一人で暮らしているのかという疑問は、あった。
でも、自分を助けてくれた人だし、ミレアムと一緒にいてとても楽しいし、心が満たされていたから、警戒する気にはならなかった。
ミレアムは、一緒にいる人を幸せな気持ちにさせてくれるような笑顔が印象的な女性だった。
僕は、彼女に惹かれていた。
今にして思えば、初めて会った時、彼女が笑顔で返事をしてくれた時から既に心を奪われていたのかもしれない。
彼女と出会って、一週間が過ぎた。
僕は、世間で言われている吸血鬼の情報に疑問を抱いて、この近くに来たことや他の色々なことなどを話した。
ミレアムも色々な話をした。
嵐はまだ続いていた。この土地のこの時期の嵐は、長く続くそうだ。
そして、知り合ってからそんなに日数は経っていないが、僕は、結婚をするのならミレアムしか考えられないと思うようになった。
僕は、彼女に、僕と結婚して欲しいと伝えた。
「エトヤ、あなたのことは私も好き。でも、一緒になったら、私はあなたを不幸にしてしまう。だから、嵐が過ぎ、あなたが帰れるようになったら、お別れをしましょう」、
彼女は、そう寂しそうに返事をした。
ミレアムに一緒に来てもらえない。
とても辛かったけど、それが彼女の気持ちなら仕方がないと思った。
でも、その理由がよく分からなかった。
僕のことが好き、だけどミレアムが僕のことを不幸にする・・・。
彼女の様子を見ると、僕のことが好きなのは嘘ではないだろうし、
彼女が僕を不幸にする要素が一つも見つからないのだから、
正直、言葉の真意が理解できなかった。
僕と彼女は出会って1ヶ月も経ってないのだから、僕自身、彼女の全てを理解しきれているわけではない。
だけど、逆の事も言えた。彼女自身、僕の全てを知っているわけではない。
だから、お互い全てを話し合えば、僕とミレアムが結婚しても、僕達2人が幸せになれる道がきっと見つかると思った。
でも、ミレアムは、なぜ僕が不幸になるのかということを聞くと、話をはぐらかしてしまうのだ。
嵐が弱くなり、3日が経った。3日前から、その気になれば帰れた。
でも、僕は、土地勘がないから、まだ危険だというのを理由に帰るのを引き伸ばしていた。
僕は土地勘がないせいで、鉄砲水に巻き込まれ、溺れ死にそうになった為、ミレアムはそれに納得するしかなかった。
でも、それももう終わりにすることにした。
どんな理由かは分からないが、ミレアムが僕と結婚したくないのなら諦めるしかないのだ。
ただ、一生後悔したくないので、ミレアムが結婚してくれなくても良いから、もう一度だけ自分の気持ちを伝えることにした。
そうすれば諦められると思った。
「ミレアム、君と会えて、過ごせて幸せだった。僕の人生の中で一番幸せだった。本当にありがとう」
僕はきっと少し微笑んで言っていたと思う。
「エトヤ、私こそありがとう。一緒に行けないけど、あなたのことは絶対忘れない。私も幸せだった」
僕達は、初めてキスをした。
そして、それは、僕達の間で最後のキスになった。
そして、ミレアムは真剣な顔で言った。
「エトヤ、理由は話せないけど、この付近の土地からできるだけ早く去って。お願いだから」
僕は、話してくれないだろうと思ったから、理由は聞かなかった。
ただ、ミレアムを困らせたくないので、「分かった。そうするから、ミレアムは心配しないで良いよ」と言った。
僕はできるだけ、急いで歩いた。
そして、森を抜け、夜に付近の村に着いた。
あとは、街道があるので、すぐにこの付近の土地から去れる。そう思って、眠りに付いた。
だが、現実は、それができなかった。
また、嵐が来たのだ。
村の人たちも、この時期、二度も嵐が来るのは、今までなかったと言っていた。
この嵐のせいで、この村に足止めされてしまった。
ミレアムの願いは叶えたかった。
ミレアムに済まないと思ったが、現実はどうしようもなかった。
嵐は、一週間も続いた。
そして、嵐がようやく終わり、僕は、この村を去ろうとした。
そして、村を出て間もない為、まだ村の近くの街道を歩いている時だった。
僕は急に眠くなった。
普通の眠気とは明らかに違い、意識が重くなり、立っていることも出来ずに倒れ、
そのまま僕の視界は真っ暗になった。
自分の中に色々なものが流れ込んでくるのが分かった。
それは、ミレアムの見たもの、聞いたこと、感じたもの、経験した全て、記憶そして、ミレアムの自分に対する想いが流れ込んできた。
そして、ミレアムの全てを知った。
ミレアムは吸血鬼だった。
だけど、吸血鬼というのは世間で恐れられているイメージとは全く違った種族だった。
世間に知れ渡っている吸血鬼が起こした凄惨な事件は、
事実だが、それは吸血鬼の多数派どころか、少数派とすら言えないほどの少数。
その割合は、0.01%程度。
そして、その凄惨な事件を起こした吸血鬼達は、同じ吸血鬼から見ても、明らかに危険な異常人格者だった。
その危険な吸血鬼達の中に、人間の血を吸う者がいたから、聖人教会は、吸血鬼という危険さを感じる言葉をわざと作り、彼らのそれまでの呼称を変えたのだ。
人間が吸血鬼と呼んでいる種族は普通、人間の血など吸わない。
だから、吸血鬼が人間の血を吸ったら、その人間も吸血鬼になり、吸血鬼の数が増えるなんて全くのデタラメ。
そもそも吸血鬼には、生殖能力がないので吸血鬼の数が増える事はない。
世間の吸血鬼のイメージや情報は聖人教会が意図的に作り上げたのだ。
なぜ、そんなことをしたかというと、理由は一つだった。
聖人教会は、少し前、腐敗により権威が落ちていた。
それを回復する為、聖人教会は、吸血鬼という人間の敵をやっつけている正義の存在だ、という事を世間にアピールしたかったのだ。
そして、吸血鬼の事を正しく知らない人間が多かったので、そのイメージがそのまま刷り込まれ、人間の常識にまでなってしまったのだ。
そして、人間はやっきになって、吸血鬼を殺すようになった。
暗黒の空間の中に突然、ミレアムの姿が現れた。
それまで、近くの人間の村と仲良くしていたミレアムの村の人間も国から派遣された軍隊により滅ぼされた。
ミレアムの家族も全員殺され、ミレアムたった一人だけが逃げ延びる事が出来た。
その時から、ミレアムは今も未来も一人で生きていくことしか出来ないと思った。
それからのミレアムの生活は辛いだけだった。
もう亡くなってしまったけど、両親が悲しむと思ったから自殺は出来なかった。
人間の事を恨んだが、近くの村に住んでいる人間の中には、軍隊に内緒で、ミレアムが逃げるのを助けてくれた人間もいたから、
人間全てを恨めなかった。
軍隊が去った後も、ミレアムが自分の村に戻らなかったのは、安全性だけの問題だけではなく、
かつての楽しい生活を思い出し、否応なく、今の辛い現実を突きつけられることが耐えられなかったのだ。
良いことなんて何一つない、ミレアムは、そんな生活を長く続けていた。
一人は寂しかった。
そんな時にミレアムは倒れている僕を見つけた。
僕は死にかけていた。
ミレアムが僕を助ける手段は、僕が失った生命力の代わりに自分の生命力を与えること。
それを行えば、ミレアムが少ししか生きられないことは、ミレアムには分かっていた。
でも、ミレアムに死を拒む理由はなかった。
僅かな間とはいえ、一人ではなくなる。
そんな考えから僕を助けた。
僕との生活はミレアムにとっても本当に楽しかった。
こんなに楽しく過ごせるなんてミレアム自身、予想してなかった。
ミレアムは、僕がミレアムを吸血鬼だと知っても、
自分のことを受け入れてくれる様な気がする、と思った。
そんなミレアムの記憶や想いが僕に伝わってきた。
「君が死ぬ事になったのは僕のせいなんだね・・・」
「あなたのせいじゃないわ。これ以上一人で生きていくのは辛かった。
だから、無駄死にじゃなければ、もう終わりにしてもいいと思ったの」
「誤るのは私の方。本当にごめんさない。」
そう言ってミレアムの姿は消えて、僕の視界は、青い空だけが映っていた。
僕はミレアムが言っていた、
「エトヤ、あなたのことは私も好き。
でも、一緒になったら、私はあなたを不幸にしてしまう。」
という言葉の意味をようやく理解した。
吸血鬼は、死ぬ時、もし、自分の愛している人が、一定の距離内にいたら、自動的に、その愛している人の中に自分の魂が入り、想いや記憶が固まりになって相手に流れ込む。
その時、その人を吸血鬼化させてしまうのだ。
僕は、ミレアムは本心では、本当に僕のことを愛してくれていたということを知った。
だから、心の中でミレアムに伝わるように、強く、強く、思った。
僕は今でも、ミレアムを愛しているよ、と。
第2.8回お題エントリー作品(何とか周回遅れせずに完成^^;
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間に合わん~ので書きかけのままUP
あぁぁぁぁ(--;どうしても戦争になってしまう・・
・・・・・・・・と、なんとか戦を回避しようとして書きかけ。
でもまぁ概要はできたような気がするから後は時間のもんだいだぁね(^^;
→エンディングまであと500文字位の予定~
ってかFooBa版改造の和版なげーよw
書きかけでもう1500近くだよ(--;
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結局五千文字弱だよ(--;ってか時間かかりすぎだよ(TT
・・しかも・・長すぎて推敲する気にならない・・どっか妙なとこあるかな~(^^;
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両親の急死による相続でこの半年というものほとんど毎日、昼と無く夜となく視察や引継ぎに忙殺されていた。悲しむ暇さえ無かった。
「セレン様というご婦人が面会を求めておりますがいかがいたしますか?」
僕にとってそれは僕はひどく懐かしい名に聞こえた。
「もちろんお通しして」
たった半年前、僕は普通の学生だったのだ。友人が訪ねてくれたのに断る理由などない。
「やぁ!何かあったの?」
そう、まだ休暇の時期ではないのにこんな田舎までやってくるのだ。何も無いわけがない。
「・・・実は、お見合いさせられるの。」
セレンは吸血鬼きっての名家で、そういう話のひとつや二つ珍しくも無いはずだ。実際、セレンは同じような用事で以前も何度か休学していた。
この辺りの名家といったら、人間なら我がウィスレー、吸血鬼ならアムゼンだ。
・・人間を吸血鬼にする方法はあっても逆にはできない。もし、夫が人間の家系だと、その血統が途絶えてしまうので女性の吸血鬼が人間の家系と縁組になることはほとんどない。
「なんだ、それで途中でよってくれたんだね、アムゼンのハンスならいいじゃないか」
ここに立ち寄れる、ということならアムゼンで間違いないだろうと思った僕は、さも当然のように言ってみた。
「・・平気なの?」
平気も何も・・いやなら今までだって平気で断ってきたくせに。僕は彼女の意図が良く分からなかったので考える振りをしてみた。
「ごめんね、平気ならいいの」
彼女は寂しげに笑うといつもの彼女らしく学校ではやっている新しい遊びの話や同期の武勇伝を話して宿に戻った。
彼女は一体何が言いたかったのだろう。確かに僕は彼女に好意を伝えたことはある。しかしそのとき彼女に「だったらウィスレー家をワイマールに迎える準備をしないとね」と笑われてしまったものだ。僕はすっかりワケが分からなくなった。
「平気なの?」
彼女が言ってたお見合いの日、まだ僕は彼女問いかけの意味が分からないままだった。
「そろそろハンスの家に着いたころかな・・」僕はそんなことを考えながら執務室に隣接しているテラスで何かモヤモヤままぼんやり待っていた。
「エル様、」
「あぁ、そこに置いておいて。」
僕は目を向けずに答える。しかし何故給仕でなくジェム爺さんが?
ジェム爺さんは、元々人間の家系だったが奥さんが吸血鬼の出だったことから帰化したが、代々うちの執事たったことが誇りだといっていまだに執事として家のことを取り仕切ってくれている。そんなジェム爺さんが無意味に給仕の仕事を取り上げるようなことをするはずがない。
「差し出がましいようですが、ずいぶんとセレン様のことが気になっておいでのようですね。」
「・・分かってるよジェム爺、これでも僕はウィスレーの当主だからね。」
「私の家内が申しますには、何を悩むことがあるのか不思議だ、ということです。」
ジェム爺の奥さんとは当然、吸血鬼の一門だ。自分たちのことで色々揉めたので心配してくれているのだろう。
「分かってる。」
僕は何を悩んでいるのだろう。ワイマールとアムゼンのよくあるお見合い。セレンが気に入れば縁組、気に入らなければ前のときみたいにさっさと学校に戻ればいいだけだ。
「いえ、セレン様は17歳でございましょう?」
吸血鬼とはいえ成人前の年齢は人間と変わらないはずだ。ならば当然セレンも僕と同じ17歳ということになる。
「そうだね。」
気のない返事を気にも留めずにジェム爺は続けた。
「私が家内と一緒になったのも17歳の頃でした。家内が申しますに、夫を帰化させることができるのは成人するまでのほんの僅かな期間だそうです。」
「・・・」
エルはアムゼン領に向かい疾走する馬の背にまたがっていた。
「・・・僕は一体何をしているんだろう。」
自分がこれからしようとすることが単なる暴挙であることは分かっていた。エルの言葉の意味、分かったつもりで実は単なるご都合主義の妄想かもしれない、ただ、その真意を聞かずにいれば自分はこの呪縛から一生逃げ続けなければならないという恐怖から逃れたいだけかもしれない。
心の、きっとこの数ヶ月で作り上げてきた領主としての自分は手綱を返さなければならないと叫び声を上げている。
森が切れ、丘を越えたらもうアムゼン領だ。
木々の隙間から差し込む切れ切れの光が眼前ではじける。
「止まれっ!」
森を抜けた僕を出迎えたのは式典武装の槍衾。
「ウィスレーのエルだ!無礼を承知でアムゼン卿ハンス殿にお目通り願いたい!!」
エルは叫んだ。
「・・・もう後戻りはできないな」
アムゼンのハンスさんとは実は子供のころよく遊んでもらった。近々、条約の確認という名目で会いにに来るつもりでもあった。それがこんな無礼な訪問になるとは思いもよらなかった。
公式な訪問ではない。身分の証明などできない僕が果たしてハンスさんに会わせてなどもらえるだろうか。
昔会った頃の少し乱暴だが陽気なハンス。彼がいつものニヤニヤ笑いでやってきてくれるのではないか、そうでなくてもジェム爺がおっとりかたなで駆けつけてこっぴどく怒られるんじゃないか、と、どこかでしていた期待は窓のない兵舎の冷たい壁によって否定されているような気がした。
重そうな生木を組み合わせたドアが開く。
「ハンスさ・・」
呼びかけたエルをさえぎるようにアムゼン卿の秘書官が言った。
「事情は伺っております。ご準備はよろしいですかな?ウィスレー卿」
準備?一体何の・・
「卿に手袋と剣を」
衛兵が真っ白な正装用の手袋と僕の身長に合わせた剣を恭しく差し出した。
今度は声に出た。
「一体なんの準備なんです?」
「話ははセレン嬢から伺っている。要は・・女を奪いに来たんだろ?」
ハンスさんは一瞬だけ昔のハンスさんの顔に戻った気がした。
「しかし、中央の大貴族たるワイマールと、我がアムゼンの公式な交友式典に、すぐ隣を領有するウィスレー卿が割って入った。」
「それは・・」
口ごもるエルを無視してアムゼン卿は続けた。
「卿も領主なら分かるだろうが、式典にドロを塗られた我々は卿を100叩きにでもして本国へ送り届け、国境の部隊を補強する算段に入らねばならぬところだ。」
エルは青ざめた。自分の軽率な行動で民も兵も、戦、それも「吸血鬼の一門」との絶望的な戦に巻き込んだことになる。
「・・ではご準備ができたら中庭へ。」
そういい残しアムゼン卿は部屋を後にした。
僕は一体何をしているんだろう。
エルはしばらく呼吸を止めた後、震える手を握り締め手袋と剣を手に取った。
中庭に出るとざわめいていた人々が静まり返る。
「ウィスレー卿、こちらへ」
中央の石畳に向かって人波が開いた。
「ようこそウィスレー卿、近々御挨拶に参られると思ってはいたがこの火急なご来訪は何事か?」
アムゼン卿がいかにも楽しげな風で言った。
「ウィスレー14世エルディア、本日はアムゼン卿にお願いがあって参った。」
ますます楽しげにアムゼン卿は尋ねる。
「ほう?お願いとは?」
「・・本日、こちらにいらっしゃっているセレン=ファムリア・ワイマール嬢に謁見を許されたい!」
アムゼン卿の表情が厳しくなる。
「セレン嬢は我がアムゼンが賓客につき、非公式なご来客はご遠慮願いたい。」
これは形式だ。手袋と剣はもう渡されている。
「・・では、セレン=ファムリア・ワイマール嬢にお取次ぎ願いたい!」
アムゼン卿は困ったように言う。
「お引取り願おう。」
僕がただのエルならしばらく兵舎で頭を冷やせばすんだだろう。でも僕はウィスレー卿だ。
「お取次ぎ願えぬならウィスレー14世エルデゥアル、アムゼン卿ハンス殿に決闘を申し込む!」
エルは手袋を投げた。つまり、塗ってしまったドロはこの場でカタを付ける。それが領主としてのエルに許された唯一の選択。
「ほほう!?なるほど?正式な決闘ということでよろしいかな?」
エルは小さく頷く。
傍らで見ていたセレンがたまらずに叫んだ。
「もうやめて!アムゼン卿も・・何故決闘なんです!!」
・・正式な決闘。立場のあるもの同士が個人的な諍いを一門全体の抗争にしない為の唯一の解決法。ましてや、式典の参加者全員その世界を知る人々だ。セレンも。そして僕らもお互い手を抜くことも止めることも許されないのは分かっている。
僕らは剣を合わせ、数歩離れた。
「・・せっ!」
ハンスは大きく振りかぶるとエルの右肩に向けて初撃を打ち下ろす。
エルも幼い頃から剣技は習っていた。・・ハンスに。
「・・・」
ハンスの斬撃をいなすのに手一杯のエルは改めてその実力の差を思い知らされた。
「ど~したエル坊、お前の思いはそんなもんか?」
つばぜり合いのさ最中にハンスは小声でささやいた。
「まだまだー!」
エルは全身の力を込めてハンスの剣をはじき返すとまっすぐに構えなおしたハンスに向かって突進した。
・・・景色がゆがみ夜空に浮かぶ満月が見えた。
エルは手足の感覚が無くなってゆくのを感じながらハンスに剣を習っていた頃を思い出していた。
・・・そういえば、勝負の最中に相手の言うことに耳を貸すなっていつも言われてたな。
「エル!エル!!」
セレンが泣きながら呼んでいる。
「・・なんで今頃来るのよ・・どうせ来るならあの時つれて逃げなさいよ!」
泣きじゃくるセレンに僕は最後の力を振り絞って言った。
「大好きだよ、セレン・・・でも僕はウィスレー14世なんだよ。・・さっきは忘れちゃってたけどね。」
・ ・・あれ?セレンの声が聞こえないよ。なんていってるの?セレン
必死に叫んでいるセレンの髪は月の光を浴びて銀色に輝いて見えた。
・ ・セレンきれいだね
・ ・セレンの髪は気づくと蜀台の炎に取って代わっていた。
・ ・・あれ?ジェム爺がいる。
・・夢?
エルは勢いをつけて体を起こそうとしたがまったく力が入らない。
「お、エル坊起きたぜ」
ハンスさんの声だ。
「ごめんねジェム、義兄さんは後先考えないから・・・」
??
あれは・・・?ジェム爺の奥さん??
「エル様、お勤めご苦労様でした。ウィスレー当主として立派に戦ったと聞きましたぞ。」
ジェム爺がうれしそうに言った。
「え?・・だって・・決闘で胸に剣が・・」
みな困ったように笑っている。
「あ、そうだエル坊、お前アレな。来週からウチで剣技。」
・・・さっぱり訳が分からない。
「あ~・・えーと、ジェムから言ったほうが良くね~か?」
「セレンちゃん大事にしてあげてね、あなた助けるのに血を半分も使って倒れちゃったんだから。」
そう言うとハンスさんたちは部屋を後にした。
「本当は公式訪問の時にお話するつもりだったんですがね・・」
ジェム爺の話を要約すると、ジェム爺の奥さんはハンスさんの親戚で、僕は一度死んでセレンに助けられた、ということらしい。
「・・というわけでエル様は私と同じようにワイマール一門の外戚になった、という事です。」
「・・え?」
なんとか体を起こし、周りを見回す。隣を見るとセレンが眠っている。狭さと天井の高さからここは塔の中だということは分かる。しかし不思議なことに出入り口が見当たらない!?
「セレン様より血の半分を与えられたのですから・・ワイマールも納得するしかありますまい。」
困ったように言うジェム爺は、上着を脱ぐとさも窮屈そうに肩をゆすった。
「・・お使えする方より能力が高いとなると色々面倒でしてな、しかしこれで文字通り羽を伸ばせますワイ。」
「では、エル様、セレン様がお目覚めになりましたら本館のほうへお連れしてください」
そう言うとジェム爺は背中の翼をひと振りして天窓から出て行ってしまった。
残された僕はセレンの手を握る。すると何か紙切れのようなものが握られていた。
「エル坊、隣にワイマールが来るとなると俺ん家がちょっと微妙なことになるんだわ。でな?ウチの息子を遊びにやりたいから早く娘を作ってくれ。世継はおりゃどーでもいいから娘な?・・・アムゼン卿ハンス」
天窓から差し込む朝焼けの、綺麗だけどほんの少しウザったい光が僕とセレンを包む。
「・・・世継だってさセレン。」
僕には眠るセレンが少しあわてたように見えた。
end
-----------------------------------------------------------------------------第2・8回お題「交換した奴を取り戻せ!」
・・というわけでお互い交換して改造されてしまった自分の文を再び自分の色で書き戻すんだ!
なんかうまくいけばこれで1本まともなショートストーリーが完成するような気がする(^^
文字数はてけとうでww