2013アメリカ遠征で気づいた真鍋女子バレーの姿 | バレー・テニス中心のスポーツブログ

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2013新生全日本女子バレーの初試合だったアメリカ遠征3試合。皆さんはどう感じましたか。おそらく賛否両論色々あり、それはそれで人それぞれの見方があり、いいと思います。

総合的なデータをまとめてみたいと思います。
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上記の3戦を平均化しました。セット別ではなく、わかりやすくするため1試合平均です。
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スパイク力、ブロック力、サーブ力では現時点でアメリカの方が上。特にブロック力では移動スピードと判断力に大きな差があり過ぎる感じです。第1戦、アメリカは37点ものミスでミスだけで19点もの差がありながらも勝てないという現状。

わずかにミスの少なさとレセプション力、そして世界一のフロアディフェンスと繋ぎで何とかセットを取っている状態です。

アメリカの
・1stテンポ(相手のリードブロックが完成する前に打つ高速攻撃)での攻撃
・バンチリード(中央気味に3枚集まる)で移動の速いブロックディフェンス
に対し、日本のバレーをさせてもらえない状況でした。

第3戦はアメリカが第3セッター?などメンバーを下げてきて、日本のサイドアタッカー陣の高奮闘もあり、何とか5セットまで持ち込みましたが、最終セットは自身のミスからその差が勝敗に左右しました。

相手がアメリカということを考え、更に10年以上務めてきた正セッターの竹下選手が抜け、ほとんどが24歳以下というかなり若い日本にしてはまあまあの試合内容だったかとは思います。

ただ日本がやりたい攻撃を先にアメリカにやられており、身体能力的にもチーム戦術的にも、アメリカの方がはるか時代の先をいってる感じです。

1stテンポを説明したいのですが、あまりにも大きくのファクターがあり、素人の方が理解するには難しすぎると思ってますので、もっと単純に簡単に判別できる見方を見つけたときに紹介できればと考えています。MBだけでなくWS、OPが同時に速い攻撃をやり、主流の対応の速いリードブロックを機能させないために作られた高速攻撃と思っていただければいいと思います。

バレーのシステムがかなり進化し始めてますので、これからは1stテンポの攻撃そしてブロックディフェンスの種類の2点を理解していかないと、深い意味でのバレー戦術は理解できないかもしれません。

ただバレーのいいところは、戦術など分からなくてもボールが落ちた、上がったで得点が決まるので、素人目にもわかりやすい点が利点だと思います。

その辺りを強いアメリカと日本を比較しながら、述べていきましょう。
[攻撃]
●日本
1stテンポを目指したい意向は感じられますが、完成には程遠い気がします。アメリカと違って、日本の攻撃は低くアタッカーがセッターに合わせるような攻撃でスパイクの球威を落としてまでも、ブロックよりも早く打つ方向性の1stテンポ。

これではブロックをかわせたとしても、ディグが正面に入れば、間違いなく拾われる。この方向性でいいのかなと考えてしまいます。

基本的にサイドアタッカーがセッターがトスを上げる前に助走し、空中でセッターのトスを待つような打ち方に対し、木村選手が順応していないように思えます。江畑・新鍋・長岡は完成しそうな雰囲気がありますが、木村・石井優は時間がかかりそうです。
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※第3戦 動画開始6:50~ 第1セット2-8の木村のミドルBS
$バレー・テニス中心のスポーツブログ個人的に自分は悪い例だと思ってますが、木村選手はまともな助走もせずに高速トスに合わせるようにスパイクを打つので、ほぼ歩幅の小さい2歩助走で、体重を乗せずに手首でポンとあわせるような騙しのスパイクのように見えます。

これではノーブロックでもディグが機能すれば簡単に拾われます。



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●アメリカ
アメリカの攻撃は、もうほぼ1stテンポでやっていると思います。驚くのはBパス、Cパスからもテストしているところ。これは今までにないアメリカの方向性で、どの位置からでも1stテンポで攻撃するという意図が見えました。

アメリカ女子は世界女子バレー界の中でもほぼ男子バレーに近づきつつある国でしょう。もしアメリカが男子バレーの主流であるミドルからの高速BS(Bick)などやり始めたら、どうなるんだろうと考えてしまいます。

※第3戦 動画開始27:10~ 第4セット10-7、OPフォーセットのレフトクロス
$バレー・テニス中心のスポーツブログ[1枚目]宮下のサーブでBパスだったアメリカのセッターがボールの下に入りトスの準備。その際に、レフトのOPとMBは助走開始。ここで見ることは日本のライトにいる新鍋はバンチリードではなく、間に合わせるためにレフト側に位置するブロックシフト。
$バレー・テニス中心のスポーツブログ[2枚目]で、更にトスを上げる瞬間にMBは両足で3歩目の最後のジャンプ体勢。フォーセットは2歩目であと1歩の段階。
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[3枚目]フォーセットが1枚ブロックで簡単にスパイク決定。しかもあれだけレフトによっていた新鍋さえも間に合ってない状況。フォーセットはほぼノーブロック状態で決めています。

日本のリードブロックが全く機能しないアメリカの1stテンポでの攻撃です。191㎝の選手がここまで簡単に打ってしまうというのは、アメリカに勝つには日本のブロックを本気で何とかしないと絶対に勝てないと思う瞬間です。これはディグのレベルではないです。

●ディフェンス(以前にも紹介した内容です)
※第1戦 動画開始1:24:03~石田のサーブ
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石田のサーブは24番を狙いますがAパスがセッターに。この時アメリカの攻撃は前衛に3枚。
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[2枚目]
日本のブロックは3人が真ん中気味に集まるバンチリードブロック(赤○)セッターはBクイックの延長のようなトスの速さと低さで、レフトへ。
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[3枚目]
しかしそのトスの低さに平井がMBにひっかかり、新鍋1枚に。しかしライトの新鍋さえもトスの速さに間に合わず、大きく空いたストレートに簡単にスパイクで決められる。
まさに1人でなく6人全員の組織的なバレーの完成度です。素晴らしい攻撃だと思います。アメリカの速さにまだついていける日本人ブロッカーがいないということ。新鍋は24番のBSもケアしながらレフトマークをすると、全く間に合わずにストレートががら空き。この「アメリカの攻撃の速さ」と「日本のブロッカーのスピードや判断力の遅さ」が大きく試合を動かしていると思います。

●MBのブロック対応の速さと効率的なディグディフェンス
※第1戦 動画開始1:21:55~ アメリカ7番のサーブ
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アメリカの7番が木村にサーブ。これはBSを防ぐためのシステム攻撃の一環だと思います。木村は体勢を崩す。
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[2枚目]
アメリカのブロックもバンチリード。真ん中に3人が集まってます。アメリカは基本が本当にしっかりしている。セッター橋本があげるまで全く動かない。頭の中での判断力を磨いている感じ。
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[3枚目]
岩坂のC、新鍋のライトを選択せずにレフトを選択した橋本のトスの動きを見てから、アメリカのブロッカーが動く完璧なバンチリードブロック。しかもある程度トスが速いにもかかわらず、ほぼ2歩でレフトの江畑のクロス側にMBギブマイヤーが入りました。

そうなると江畑は、超クロス、間チャン、ストレートしか打つ場所がないですが、間チャン、ストレートの正面にはアメリカのディグが入っていて、更にトスが伸びてこないこともあり、クロスを選択した江畑。しかしトスが低く速いのでコースを切れずに、クロスのリードブロックで何とか間に合わせたギブマイヤーの被ブロックの罠にかかってしまいました。
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結局、アメリカ遠征での両チームを総合的に見ると個人的な意見ですが、
●攻撃力     日本アメリカ(レセプション力 日本アメリカ)
●ブロック力   日本アメリカ
●サーブ力    日本アメリカ
●ディグ力    日本アメリカ
●失点の少なさ  日本日本アメリカ

という感じでしょうか。ただし、レセプション力はあくまで攻撃力の基盤なので、ブロックディフェンスができてない日本は攻撃力は完全にアメリカの方が上。

基本的にアメリカはバレーのシステムの意識がしっかり選手・スタッフに浸透していて、理解の上でプレーをしているので、誰が入っても同じようなプレーができることが非常に大きく、それが3軍、4軍の選手が出てもほぼ変わらないことがアメリカバレーの強さにつながっているように思えます。

2012年WGPを2軍で優勝してのがこの3試合を見て理解できました。基本のバレーシステムが変わらないので、変わった選手は同じことをやれば必ず勝てるという自信が見られます。おそらくミスの少なさ、勝負強さ、安定感、細かな精度などで1~4軍の選手を決めていると思います。

逆に日本はディグ力でつなげたトランジションでサイドアタッカーが何とか決めるか、もしくはアメリカのミスを誘う連続得点の取り方しか勝つ方向性は今のところはない感じです。

現時点では攻撃、ディフェンス、サーブなどアメリカが日本をほぼ全て上回ったチーム戦略を見せ、圧倒的なバレーをしています。ここから日本がアメリカなどの強豪国に勝つためには、
・アメリカの1stテンポに負けない移動スピードのブロックを身に付ける
・アメリカのリードブロックのスピードより速い1stテンポの攻撃を身に付ける

 (トスに合わせる助走・打ち方ではなく、球威のあるスパイクが必須)
・アメリカよりもはるかに上回るサーブ効果力
 
ではないかと思います。この3点が揃った時、フロアディフェンスの良い日本、失点の少ない日本が更に生きてきて勝利の方程式がみつかってくるでしょう。まだまだ始まったばかり。これからの新生全日本女子に期待したいです。

●日本女子バレーにおける「セッター存在感」の大きさ
このアメリカ遠征で最も感じたことは、日本女子バレーにおいて最も大事なのはセッターなんだなと思いました。どんなに良いアタッカーがいても、どんなにいいリベロがいても、日本の女子バレーは「セッター」が全て日本のバレーを作り上げるんだなと。

欧米チームのようにブロックで1試合10点以上ゲームが作れれば、ディグから切り替えしのトランジション攻撃でなくても試合を制することができる。

アメリカ:計37点、2.84本/set
日本:計11点、0.84本/set(岩坂3、江畑3、宮下2、木村2、長岡1)

結局この差が大きく、アメリカはブロックディフェンスで毎セット3点ほど特典可能なので、後はレセプションアタックで全て切っていけば自動的にセットを取れる。

でも日本はブロック得点が1setで1点以下。ということはディグからのトランジション攻撃で連続得点をするしかない。要は
・連続失点を防ぐレセプションアタック
・連続得点をするトランジションアタック
の双方にセッターが関与するので、欧米チームのセッターよりも日本のセッターは双方に全て関わってくる非常に大きな役割があるということです。

自分が今気に掛けるセッターは4人。
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・藤田夏未(21歳)
 欧州遠征でのMB、OPの使い方、トスの質が見事。ブロックの低さとランニングセットが課題
・宮下遥(18歳)
 ブロックとセットポイントの高さが魅力。トスが柔らかく、将来的に正セッターになるのは間違いないでしょう。フィジカルが劣っているので、ランニングセットやどういう体勢からも同じ質のトスを上げられることが必須です。
・中道瞳(27歳)
 銅メダリストで竹下の控えで世界バレー3位、W杯4位、ロンドン五輪3位と好成績を支えてきたセッター。トスの質は素晴らしいがMB、OPの使い方、ブロックの低さが弱点。ただ五輪中国戦の2本のサービスエースなど勝負強い
・松浦麻琴(26歳)
 リーグではMBの使い方が抜群で、日本が目指すべきトス配分だと感じるセッター。他セッターではなかなか見られないMBの能力を引き出せそうな予感。MBが弱い日本はセッター力でMBの活躍の場をも模索し、サイドアタッカーと均等な全員バレーができることを望みたいセッター。サーブ力・ディグ力に不安。

真鍋さんは誰を使うんだろう。でもアメリカ遠征でいった宮下・橋本なのかな。今年は世界大会がなく、グラチャンだけなので、色々と期間限定で試したみたい方向性かもしれませんが、2014世界バレーまであと13か月。そろそろチームを作り始める時期に入っているとは思います。

結局、木村、江畑、新鍋というメダリストで機能するというのもいいんですが、この3人のスタメンで金メダルが獲れるとは思えない。最低でも長岡と江畑を同時コートインできた攻撃的布陣で、ディフェンスができるチーム作りをしてほしいと思います。

WGPはアルジェリアとかも対戦があるので、木村-江畑ー長岡などぜひ試してほしい布陣です。

日本のブロックディフェンスが上がらない中、せめてレセプションアタックの向上を期待したいので、MB・OPの使い方が上手い藤田や松浦麻琴のトスワークでの全日本が見たいです。

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