昔、家に居たおばあさんのお里が鰻の美味しい土地にあり、帰省のたび、バッグにぶらさがるマスコットみたいに連れて行ってもらった私は、幼稚園に上がる前から大の鰻好きになっておりました。駅前のデパートで人形に新しい洋服を買ってもらい、どういう訳だったか社長室に寄ってご挨拶(アイスクリームの特典付)のお決まりコースを経て、夕刻近く、時代のいい色に染まった鰻屋に入る。お重の蓋を開けると立ち上る湯気とともになんともいえない香りが広がって、至福。
画像は半蔵門に程近い中志満の鰻。この辺りでいうと秋本が知られてますが、私たちが行くのはいつも此処。家も空気も鰻自体も有名店のような構えはないけれど、なんとなくいいのです。実際のところ美味しいし。
なんとなくよくてしかも美味しいお店が近所にあるというのはたいへんな仕合せだ。と、越して改めて思ったのでした。鰻のほかに寿司・てんぷら・イタリア料理およびパンと、外食生活の基本ラインナップついては未だにこの地に戻ってきてしまう私たち。今の場所でもそれなりに試してはいるのですが、十戦八敗一分けくらいの比率です。行動半径(と許容範囲)が狭いのは、大人になった証かも、なんて。