東京工業大学の入試

  

 初めまして、2023年度に東京工業大学の情報理工学院に入学するzonoと申します。この記事では過去問20年分を全て解いた、データを集めるのが趣味な僕から見た東工大の傾向や対策を書き連ねようと思います。

 また、思いの丈を全て書いたので、飛ばし飛ばし読んでいただけると快適かなぁと思います。点数については開示が出次第載せますが、自己採では(180/131/113/110)です。この記事を書くに至った動機については記事の末尾にでも書いておきます。




おまけ:開示結果

とりあえず結果どん!




採点官が**!!!


きっと情理の丁度真ん中ぐらいなんじゃ無いでしょうか(知らないけど)


物理のページは燃やしといて下さい。

 

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  東工大数学から傾向は消え去った!!!終わり!!!

  

  ...というのが率直な感想なのですが、訳が分からないと思うので、項目に分けて書いていきます。

 

 

 

問題の難易度・量の話

 東工大数学について最も特筆すべき点は、15~30分で解けるようなご機嫌な問題はほぼ出ないという点にあります。例として、問題の難易度を簡易的に

★☆☆...15~30分で難なく解ける問題

★★☆...30~50分程度で解ける問題

★★★...50分~(果てしない時間)で解けるかもしれない問題

の3段階に分けるとすると、標準的な年では★が1問、そして★★が4問という構成になっています。この、「簡単な問題だけ確保してfinish」という受験生の姿勢を許さない所に東工大数学の東工大数学たる所以が詰まっています。

 また、数年に一度の頻度で★★★が混入することがあり、そのような年では実質240点満点になる、という事にも留意が必要です。

 

 

 

出題分野の傾向と対策(2002~2021)

  主な骨組みは、整数or確率1題+微積1題+複素+(極限・空間図形...)となっています。この前半2つはほぼ確定みたいなもので、他に出題が少なかった分野としては、軌跡・領域(過去20年間で3題のみ)があります。特徴のあるものについて分野別にもう少しだけ掘り下げます。

   

・微積

 東工大特有の特徴として、意図的に汚くされた計算をしなければならないことがあります。そして、強調しておきたいのですが、これは字面以上に難しいことなのです。

 例えば、入試本番で物凄く汚い計算式にたどり着いてしまった時を考えて見て下さい。この時、あなたの頭には3つの選択肢が浮かぶでしょう。

①意図的に汚くされた問題であり続行して良い。

②どこかで計算を間違えた。 

③方針が間違っている。 

さて、この3つの中で一番厄介なのはどれでしょう?言うまでもない、②に決まっています。1度自身の計算ミスを疑ってしまったが最後、検算→あってるなぁ...→でも到底これがあってるとは思えないしもう一回だけ検算するか...→合ってるなぁ...→でもこの式が合ってるとは思えないんだよなぁ...→とりあえず次の問題行くか...(30分経過)という、決して答えにたどり着くことのない悪夢のような状況に陥ってしまうのです。

 このしょうもない自問自答を回避するには、普段から計算の正確性を磨くことに加え、信頼できる検算のテクニックをも身に着ける必要があります。まぁ、そうは言っても、本番頭真っ白で突っ込んだらなんか合ってたという事も往々にして有り得るとは思います。ただ、安定して得点を取りたいのならば、これらのテクニックは必要になってくるのです。

 

・極限

 特にこれと言って特徴は有りませんが、ただ、誘導の小問が多い極限は大抵ゲロ吐くぐらい難しいです。問3、問4が解けないからと言って焦る必要は一切ありません。誰が解けるんだこんなん!

 

・空間図形

 自分でパラメータを置き、それを用いて計算・証明を進める事が多いです。それなりに慣れが必要な分野だと思います。

 

 

 以上を総合して、安定して180程を取るための対策としては「経験・演習量が点数に直結しやすい微積の演習を重視した上で、整数・確率を怠らず、更に空間や極限はどちらもある程度出来る様にしておく」という物が挙げられます。失礼、挙げられました。この年までは。

 

 

 

2022年の出題分野 

 出題分野は以下です。

大問1:領域・複素

大問2:整数

大問3:パラメータtで表される点の軌跡(平面)

大問4:複素・領域

大問5:(4)まである感じの極限

 

 

 わかりますか。伝わりますか。そう。終わりです。軌跡・領域を対して勉強してこなかった多くの東工大受験生が散りました。僕が通っていた駿台のTAは実際に受けて「なんだこの気持ち悪い問題は!」と感じたそうです。合格者平均は130程度と考えられます。

 実際問題、大問3と大問4は軌跡・領域に慣れていなかったとしても手がつかない問題では無いのです。しかし、精々部分点。そして、大問1は流石に厳しい。おまけに、絶対完答させないマンが最後に待ち受けています。終わりです。はかなく散っていった、受験生の微積対策の努力を考えると胸が痛みます。あぁ...。

 

 

 

2023年の出題分野

 出題分野は以下です。

1.積分値の評価

2.整数

3.確率・複素

4.体積

5.空間図形

 

 大問1こそ見慣れない内容ではありますが、出題分野においては平年通りです。しかし、この年の最たる特徴は、「誘導の少なさ」にあります。一部で言われた「京大化」という言葉が良く表すように、初手を自分で考える必要のある大問が多く(大問1,2,4,5)、数学が苦手な層には割合悪夢だったのではないかと思われます。また、全体的に問題の難易度も上昇しました。厳しいね。

  ただし、2021年までの例の対策さえ行っていれば、大問2,大問3はそこまで難易度が高くなく、大問4,大問5も手が動く問題であるため、そこまで特別視して悲観するような出題でもないのも事実です。

 

 

 

数学・まとめ

 やるべき事は依然変わりありません。「経験・演習量が点数に直結しやすい微積の演習を重視した上で、整数・確率を怠らず、更に空間や極限はどちらもある程度出来る様にしておく」、これが僕の思う最良の対策です。ただし、2021年・2022年の出題を見るに、東工大の問題ばかり解くというのは危険であり、東大・京大の過去問にもある程度親しんでおく必要性も出てきたことも強調すべきです

 具体的には、1月までは東大の過去問なんかもどんどんやって、2月からは東工大の過去問のみに重点を置くと良いのではないでしょうか。

 

 以下、僕が特に良いと思った参考書を掲載しておきます。

 

・入試数学の掌握

過去問と同時並行で、1月あたりにやることを勧めます。正直必修です。問題集というよりかは講義書です。才能ある人が書いたんだろうなって感じがします。全三冊。

https://amzn.asia/d/icQCT6e

 

 

 また、最後に注意点をば。東工大志望者の中には、「俺は数学で200とって、英物化は75/120/90で合格するんだ!」という志を掲げている人もなかなか多いと思います。正直言って、愚かです。ただでさえ水物の数学、更には近年傾向が暴れている東工大数学において、安定して200取れるだなどといえる人はかなり稀な存在でしょう。いいとこ「130は割らない!」ぐらいが落し処です。

 ではどうすれば良いのか。ここで、一つ意外かもしれないことを書いておきます。それは「実は、東工大の数学以外の科目、特に近年の英語と化学は容易に7割を狙えるぐらいには簡単である」という事です。ちょっと過激な主張ですかね?まぁ、過激かどうかの判断は各々の状況にも寄るでしょうから委ねます。ですが、僕が思うに、本番の目標ラインは情報理工ならば160/110/110/120のΣ500が、それ以外ならば130/100/100/110のΣ440が理想的であるという事だけは強調しておきます。

 

 

 

 役に立つサイト

 ・「東工大入試調査」と調べると、有志の方がまとめて下さった、2019/2020/2021の東工大入試の点数状況が見つかります。ものすごく参考になります。


・東工大のホームページなのですが、直近4年分の入試問題が原寸で手に入ります(英語は無理ですが...)。雰囲気が掴めて楽しいです。赤本の存在意義とは


 


 ​共通テスト対策

 確か2023年度の足切りが545ぐらいだったので、600を目安に頑張りましょう。演習については、共テ模試で680ぐらい取れてるならば1年分もやらなくて良いと思います。僕はそれで突っ込んで736くらいでした。満足行く出来ではありませんでしたが、正直どうでも良いです。早稲田のセンター利用とか頑張りたいなら沢山やれば良いと思います。(ただ、例えば情報理工学院でA判定取れる層は、少なくとも早稲田の一般に関しては過去問やらなくても余裕で合格出来る位には仕上がってる人が多い筈です。事故が怖いなら慶応も合わせてどうでしょうか。)

 以下、実際に早稲田を受けた身として、ちょっとした早稲田対策を書いておきます。


​早稲田対策

・数学

  特に有りませんが、回転体の体積を求める問題が異常な程に頻出という事だけ念頭に置いて下さい実際出題された時に、つまらないミスで減点されない事、これさえ気を付ければ行けます。


・英語

  実は、早稲田の英語は配点がほぼ特定されています。なので、それとあと問題形式を1度ぐらいは読んでおくと、本番の時間配分がやりやすいと思います。不安な人は、英語だけ1年分過去問を解くのも充分に価値のある事だと思います。

 

・理科

  本当に特に無いです。物理で過剰な点数を期待する事だけは辞めましょう。




 記事を書いた動機

 

 自分語りコーナーです。この記事を書こうと思った動機で一番大きいのは「自分が調べたことを他人に見てもらいたい」という欲かなぁと思います。この記事に書いた内容は、言わば僕が受験期にずーーーっと考えてたことで、それなりに考え抜かれたものだと思いますし、ならば他人にこれを伝えたらどう思われるのだろう。ひょっとして役に立つ人として見てもらえるんじゃないか、という自己顕示欲がこれまた大きいんですね。

 また、副次的な動機としては、「世に東工大対策について書かれた本があまりにも少なすぎる事への反骨精神」がありますね。少々過激なことをこれから言いますが、僕は、正直言って、問題の難易度という観点で言えば、東工大の数学が1番難しいという年はそうそう少ないものではないと思います。にも拘わらず、世の中は東大・京大対策の本で溢れかえっていて、東工大にフォーカスを当てている本なんて僕は2冊しか知りません。正直、嫉妬してしまいます。なので、嫉妬するぐらいならば自分で作ってしまおうと思い、これを書いたんですね笑。