どんよりと曇った梅雨の散歩道で

偶然見つけたアマリリス。

この強烈な赤に世界は圧倒される。

 

 てのひらにかたつむりのせ市内バス 坪内稔典

 

 ぽーがいてぽぽーもおるか谷の春

 

 口あけて全国の河馬桜咲く

 

 横ずわりして水中の秋の河馬

 

 なっちゃんもてっちゃんも河馬秋晴れて

 

全国の河馬 一九九九年という章からひいた。

 

お馴染みの河馬の登場である。

このあたりからか

坪内稔典といえば「河馬」というのが

定着したのは。

これ以後、普通に「河馬」の句を書くには

勇気がいるようになった。

 

この河馬の三句をみても

河馬が板についている。

当初は「水中の河馬が燃えます・・・」だったのに

ここでは「横ずわりして」いる。

これ以上、解説すると気が萎える。

 

ボクは「ぽーがいてぽぽーもおる」という不思議感が好きだ。

前句集の「ぽぽのあたりが火事ですよ」を踏んでいて

それを発展させている感じ。

坪内稔典氏はいつも冒険者である。

どんどん新しい試みをボクはフォローしていきたい。