この「月光の音」は2001年刊行の

坪内稔典氏第9句集である。

 

 春宵の鹿児島県人長四角  坪内稔典

 

 春月の愛媛県人楕円形

 

 膝抱けば錨のかたち枇杷熟れる

 

 葛咲いて父84母はあの世

 

 ころがして二百十日の赤ん坊

 

冒頭の「遣唐使船」一九九八年の章からひいた。

ずっと坪内稔典作を追っていて

ボク自身は少し違和感を思う。

例えば、愛媛県人は坪内稔典自身だから判るが

「鹿児島県人長四角」というのは面白い。

でも、正直、理解できない。

どういう狙いなのだろう。

次の「膝抱けば」で「錨のかたち」とある。

1998年、坪内稔典氏はカタチに

興味をもっていたのかもしれない。

 

次の2句はどうだろう。

父は84歳で、母はあの世

ということだろう。

面白いかなあ?

次は「赤ん坊」はころがしておけである。

なんとも突っ慳貪な感じがする。

 

この「月光の音」、

なにやら波乱があるかも知れない。