たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ 坪内稔典

 

 たんぽぽのぽぽのその後は知りません

 

 こんもりと百年があり野ばら咲く

 

 数学の定理はきれい露草も

 

 月光の折れる音蓮の枯れる音

 

句集「ぽぽのあたり」の一九九七年の章に

「ぽぽのあたり」ってどこ?など

数々の話題を生んだ句がある。

そして、「その後は知りません」と

うそぶいているところが面白い。

連作ではないけれど、作者の

してやったりの顔が見える。

個人的には

「こんもりと百年」、「定理はきれい」といった

表現が気になるというか好きだ。

 

ぽぽのあたりについて

作者がYouTube「ハイクロペディア」で語っている。

なかなか面白い。

 

もう1句

「月光の折れる・・・」の句は作者自身が

気に入っていたのではないかと勝手に想像する。

次の句集のタイトルを「月光の音」としていて

きっとこの句から作者の「次」が始まっている・・・。

 

 

この句集には「大阪純情詩」と題して

5編の詩が掲載されている。

そのひとつ「一人遊び」の1節を紹介する。

 

 京橋を

 少し離れて

 赤まんま

 風にゆらゆら赤まんま

 好き好き嫌い

 好き嫌い

 一人遊びの占いの

 風にこぼれる

 赤まんま

 

坪内稔典氏に短歌集はあるが

詩は珍しい。

これは産経新聞に掲載されたものらしい。

 

今日からGWというらしい。

出かける人も多いだろうが

こちらはひたすら休養、にしたい。