宮部みゆきさんの本を読んだことがない。

ちょっと重いイメージがあった。

この新作の惹句にたしか

「句会で出会った句をもとに書いた」

みたいなことがあって、興味を覚えた。

12の俳句を素に宮部さんが自由に物語を

編んでいく短編集。

いちばん最初の俳句は

「枯れ向日葵呼んで振り向く奴がいる」

なるほど、俳句の出来はそんなでもない。

この俳句からどんな物語が結ばれるか。

 

毎日、アルバイトで働く妻は

幼い子どもを保育園に通わせながら必死に生きている。

その夫は妻のそんな姿に見向きもせず

毎晩、夜中に帰ってくる。

ロックバンドのボーカリストで

最近、少し人気が出てきている。

そのライブで妻のことが

MCから笑いのタネにされている。

妻も子どもができる前まで

別のバンドで活動してきたが

子どもができてから

そのバンドからの復帰の話もない。

こんなストーリーが

「枯れ向日葵・・・」の俳句から

生まれてくるのだ。

宮部みゆきの想像力が俳句を超えて

新しい物語を創っている。

 

感心しながら、他の俳句とその物語を

読んでいくと何か楽しい。

俳句が面白いのか。

宮部みゆきが楽しいのか。

宮部の俳句の超え方に納得!なのだ・・。