夏の終わりの影がありますね。
上旬に体調を崩して
なんだかんだとグダグダしていた。
ようやく普通に生活できるようになった。
歳をとると復帰に時間がかかる。
3年前とはまったく違う。
そんなことを身をもって感じた。
老人はころがる残暑の冬瓜も 坪内稔典
長尻の老人糸瓜の二,三本
老人へペンギンが来る雲は秋
老人と犀は仲良し秋うらら
老人の秋のスープは具だくさん
この句集、とにかく老人の句が多い。
その中から秋の句をちょこっと選んだ。
少し前ならわからなかった感覚が
とてもよく通じてくる。
老人になったら、こうありたいなあ、の気分が
描かれているのかなあ。
「残暑」と「冬瓜」は秋の季語。
季重なりという指摘が
特殊な人からあるかもしれない。
季語の強弱を考える、
なんでもかんでも教条的にならない、
そういった思考をもたないと
俳句は前進しない。
掲句の中の「秋」という「季語」が気持ちいい。
「雲は秋」「秋のスープ」が
秋を広げてくれる。
季語は基本、「春、夏、秋、冬」でいいのではないか
という坪内稔典氏の言葉が素直に受け取れる。
この句集、夏に苛められた心身によく効く。