【北アルプス編】 其の五 『過信』
何故自分は山に登るのか?
素晴らしい景色を見たいから。
登頂した達成感を味わいたいから。
そう、その通りです。
ですが、この道中で
『危険』を求めて登ってはいない事に気付きます。
未知のものに対する『期待』と『憧れ』。
いわゆる【大キレット】…。
自分の力量で行けると思い込んだ『過信』によって、
初心者では足を踏み入れてはいけない場所と、心底思い知らされます。
…本当に、恐ろしい所でした。
8:09 【南岳小屋】より先を進みます。
相変らずのガスガスですが…。
【南岳】を過ぎたあたりから、登山道はかなり険しくなってきます。
下ったかと思うと、また登りだったり。
一瞬で息が上がります。
ガスでわからないですが、結構きわどい所を進んでます。
両端は崖です。
ロッククライミング的な所もあります。
一歩一歩踏み外さないように、慎重に登ります。
本当にアップダウンが激しいです。
いくつの峠を越えるんだろう…。
『つ、つらい…』
細~い道です。
『こ、怖いよぉ~』
実は、結構小心者だと気付かされます。
『ひ、ひえぇ~』
こんな、どえらい道は始めてです。
底が見えません…。
と、思ったら、また登り。
『きっつ~…』
『ぎゃぁーーーっ』
『どこをどう歩くんじゃぁ!』
『長っ!』
『高っ!』
『砦!?』
【南岳】からの下りは、まさに垂直な砦を降りてくるかの様でした。
生憎のガスで臨場感は全くないですが…。
険しい登山道の多少のドキドキ感は、楽しめて我慢できるんですが、
連続してドキドキ感が続くと、だんだん恐ろしくなってきます。
しかも、一人ぼっちで、この天気。
余計に恐怖心倍増。
ポジティブだった心も、ガラガラと崩れるように折れていきます…。
『ホントに、怖いよ~』
実は、まだ【大キレット】の難所という所には、差し掛かっていません。
これから、どんどん危険地帯に入っていきます。
こんな恐怖でいっぱいの心では、【大キレット】なんて、到底越えれません。
『どうしよう…』
『…行こか、…戻ろか』
また、決心がブレにブレ始め、足が完全に止まってしまいます。
正直、怖くて前に進めません!!
(なんて、小心者!!)
と、半泣きでうずくまっていたら、
後光が差したように、一人の青年が霧の中から現れました。
勇猛果敢に挑んでいる、埼玉在住の埼玉さんです。(…名前聞くの忘れました)
この先を進むためには、一人じゃ到底無理と思い、
恥ずかしながら、同行を頼み込んでしまいました。
『あ、あのぅ、…同行をお願いしてもいいですか?』
そしたら、な、なんと
『こんな天気ですからね~』
と、爽やかに快諾!
『救世主様っ!!!』
拝みたくなりました。
同行者がいるだけで、どれだけ心強くなれたことか。
『人は一人じゃ生きていけない』
人の有難みが、心に沁みました。
埼玉さんも【大キレット】は始めて挑戦するそうです。
実にいいペース(速くもなく、遅くもなく)で、慎重に登っておられました。
先行して頂いて、真似するように、そのルートを登っていきます。
いよいよ第一関門【長谷川ピーク】に差し掛かります。
『ドキドキ』
RPGさながらに、埼玉さんに付いていきます。
埼玉さん→勇者
僕→その一味みたいな…。
果たして、どんな景色が待っているのだろう…。
ガスで見えないのが残念です。
ホントに険しいんですよ~。
埼玉さんの勇姿。
両側は崖。
『気を付けて!』
埼玉さん、ルート確認中。
相当な高度があります。
…多分。
ガスで高度感がつかめないから、逆に良かったのかも。
ルート模索中。
『一人じゃ、こんなとこ行けないよ~』
ホントに心強い同行者です。
『危険っ!』
『細っ!』
『恐っ!』
こんな細い尾根を渡っていくんです。
その切っ先にいた雷鳥。
悠然と下界を見下ろしていました。
埼玉さんも激写中。
『お~い、そんなとこにいたら、落ちちゃうよ~』
『ふぅ…』
【長谷川ピーク】無事通過。
9:28 【A沢のコル】着。
まだまだ危険箇所は続きます。
…つづく。





































