僕の脳裏に浮かぶのはその草原の風景だ、
草の匂い、かすかな冷ややかさを含んだ風、
山の稜線、犬の鳴く声、そんな物が先ず最初に浮かび上がってくる
「緑色は好き?」、「どうして?」
「私ねミドリって名前なの。それなのに全然緑が似合わないの、
変でしょ。そんなの酷いと思わない?まるで呪われた人生じゃない、これじゃ。」
「ロマンスは生まれたりするのかしら?旅先でふと女の子と知り合ったりして」
「あのね、やはり君は何か思い違いをしていると思うね」
「いつもそんな風に一人で旅行するの?」
「孤独が好きなの?」
「孤独がすきな人間なんていないさ、無理に友達を作らないだけなんだよ、
そんな事したってがっかりするだけなんもの」
「ねえ、ワタナベ君」と僕の耳元で直子が言った。「うん?」
「私と寝たい?」……「もちろん」と僕はいった。
「でも待てる?」……「もちろん待てる」
僕は緑に電話をかけ、君とどうしても話がしたいんだ。話すことがいっぱいある……
……世界中に君以外求める物は何も無い、君と合って話したい、と言った。
「あなた今どこにいるの?」
僕は今どこにいるのだ?
僕はどこでもない場所のまん中から緑を呼び続けていた。
松山ケンイチ,菊地凛子,水原希子

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この映画の監督は観客を何処へ導こうとしているのだろう?
この原作者の殆どの小説がそうであるように、その先はどこでもなく、そこには後退も前進もない
そこにあるのは、完全に無駄な世界
小説の最後に残されるのは焦燥感だけ、だから何処かへ行ったり戻ったりできるわけではない。
もっと早く気づくべきだ。