少年が幼少の頃両親は東の奥地へジークの骨を集めに行ったまま帰って来なかった。赤の猟民は総出で探し回ったが、ジークが生息する草原で二人の着ていた衣服を見つけただけで、二人の姿を発見する事はできなかった。

少年には小さな病気の妹がいた。両親の消息がわからなくなってから働いて妹を養い面倒を見ていた。妹の病気は重く、幼少の頃から病状は少しずつ悪くなっていた。発疹や腫れは少女の可愛い顔を、恐ろしく変化させ、高熱は処女の頭を侵し、見知らぬ病原菌が体を蝕んだ。

両親は病気の原因は赤の魔物の呪いだと信じて、呪いを解くためのジークの頭蓋骨を捜しに東の奥地へ足を踏み入れ、行くへがわからなくなったのだった。そして、少年は両親言葉を信じ妹の病気の治せる頭蓋骨を探しながら骨砥ぎの仕事を続けていた。

骨屋や街の人々は少女を医師に診せるように助言をしていたが、少年は両親の言葉を信じ、決して医師へ連れて行く事はなかった。少年の稼ぐお金と介護で少女は命を繋いでいたが病状が良くなる事はない。苦しんでいる少女をみかねた骨屋は、幾度か病院へ連れていこうと試みたが、少年に阻まれてしまいうまくいかなかった。

少年は来る日も骨を磨き、眺め、良い骨があれば骨屋に断って持ち帰り、家の祭壇へ飾って呪いを解くために呪術師を呼んで祈ったが、病状が良くなる兆しはなかった。骨屋も人々も幾度となく医師へ診せるようにと助言したが、両親の言葉を信じる少年は決して耳を傾けようとしなかった。

ある日、いつものように店先で頭蓋骨を磨いているとジーク毛皮に身を包んだ呪術師が通りがかり、少年の前で立ち止まった。いつも街の人へ挨拶をするように顔を上げ笑顔を挨拶をすると呪術師は、革製の帽子の奥から鋭い眼光で少年の眼を見据え、唇の真ん中に指を置き少年の挨拶を静止した。

それから、自分の持っていた荷物を地面に置き、少年の持っている頭蓋骨を両手で取り上げ沈み始めた赤い太陽へ向かって掲げ瞼を閉じ、何かを祈るような顎をあげて赤い空へ顔を向けた。呪術師は暫くの間身動きもでせずにその格好を保ち、少年はその様子をじっと見守った。