ブログネタ:デートコースは相手に決めて欲しい?自分で決めたい? 参加中加奈が着くまでには少しだけ時間があった。遊ぶ場所を決めていなかったから、待ち合わせ場所へ向かう途中の書店へ立ち寄った。映画を観るとか展覧会へ行くなど目的がある時の待ち合わせは会場の近くでいいが、その日のように特に目的もなく待ち合わせをする時は、その後二人で何をするのか決めるのがいつももめた。
好みのイベントがいいタイミングで催されていればいいが、上手い具合にイベントが行われている事などあるはずが無い。漠然と目的なく約束だけをして会うのは憂鬱だった。加奈はあまり自分を主張しない性格だから、行き先を選んでも良いのか悪いのか推し量るのが難しい。それがデートをする時の憂鬱の一片だ。
最初はそれでも会えば楽しかった。でも出会ってから3年も経過すると新鮮さが薄れマンネリ化してきた。アイデアにも限界を感じる。加奈への愛と発想は別の問題だ。どんなに愛していたって発想は出てこない。楽しむ事が自動販売機で切符を買うようにコインを入れたらポンと自動的と出てくる物ではない。その日を楽しくするのにはそれなりの計画と準備が必要なのだ。
もし利用できるなら、二人の好みと日付や予算を入れれば、行き先を自動的に決めてくれるようなサービスがあれば、どんなにいいか思った。加奈に聞けば、「二人でいる事が大切なのよ」と言うが、ただ宛も無く街を歩き回っている事がそれ程面白いとは思えない。そんな風に思い悩む日々が続いていた。
だからと言って、毎週のように山や海へドライブと言うのも疲れてしまう。街中や公園を歩きまわったり、ウィンドウ・ショッピングをしたりして本当に加奈が楽しいのか良くわからない。「自分の行きたい事や、やりたい事を遠慮なく言ってくれればいいのに」と不満に思う事もしばしばあった。
一度、話をしてみたがちゃんとした明確な返事はない。多分もっとイニシアチブを持ってグイグイと引っ張っていて欲しいという意思表示なのだろうか。男同士なら、洋服を買うためにショッピングへ出かける事など考えられない。野球やサッカーの試合バーベキュー飲み会などやる事は明確だ。でも相手が女性となると、どうもはっきりと測れないのだ。
書店の雑誌コーナーへ行き、タウン情報誌をパラパラとめくる。携帯で検索しても良かったが、検索ワードも思い浮かばないの時は雑誌の方が見つけやすい。雑誌を眺めているうちにいいアイデアを浮かんでくるかもしれない。ページを進めるとライブのコーナーには、好きなバンドの情報が載っている。ページをめくる手を止めてコラムを読む。
本日、7時会場、7時30分開演となっていた。丁度いい時間帯だ。待ち合わせの場所からはメトロを乗り継げば15分で着く。開演まで軽くファーストフードで胃を満たせていっても十分間に合うだろう。記事を読んだら急にライブを聴きたくなってきた。ポケットから携帯を出しコラムの隅の番号へ電話してチケットの状況を確認すると、当日券も余裕があるとの事だった。
加奈がそのバンドを好きなのかどうか判らない、でも特にこれといって目的はないのだからライブへ行っても問題はない筈だ……と勝手に行き先を決め、待ち合わせ場所へ向かった。少し時間があった、大きなディスプレーが広告を流すビルの下で待っていると、時間を少し過ぎた頃、横断歩道の向こうに加奈が見えた。
信号が変わると、急いでいる事をアピールするように小走りで通りを渡ってくる。髪の毛が風でなびきワンピースの裾が揺れる。信号を渡り終え傍までくると左手で右手の袖を掴み、「遅れてごめん」というような視線こちらへ送る。横断歩道を渡り終え近くまで来ると、加奈は袖を掴む。足は無意識に最寄のメトロ駅へ進む、歩みに併せて加奈も腕の間に細い腕をすべきこませ一緒に歩き出す。
「何処へいくの?」
雑誌で見たライブの事を説明すると加奈は顔を曇らせる。何処か行きたい所でもあるのか何も話さない。口を閉じたまま真直ぐ前を向いて歩いていた。
よくあるシチュエーションだ。男性だってそれ相応に悩んでデートを準備する。女性の夢と合わない事が多いだけなのだ。
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