ブログネタ:夏になったら思い出すことは何? 参加中夏の初めに手に入れた小さなバイクのスターターをキックする。軽いモーターの様な音を立ててエンジンが始動する。スロットルを開けて鎌倉街道を真っ直ぐに南下する。幾つかの大きな較差点を曲がり、最後の峠を越えると鎌倉の街中に入る。走行中の風を受けても、直射日光の当たったヘルメットの中の温度は高く、頭皮から出た汗は髪を濡らしていた。
額から流れ落ちる汗をTシャツの袖で拭うと、ストットルをもう一度開く。幾らスピードを上げても湿って熱い風が増すばかりで、熱くなった頭を冷やしてくれる事は無い。夏休みの間通い続けたバイト先までは鶴岡八幡宮の鳥居を曲がり若宮大路を左折すればあと少しだ。
その年は運良くバイトにありつけた、それまでお願いしても決してOKを出してくれなかった頑固な親父がやと首を縦に振ってくれた。バイクの免許も取れて足の心配も無くなったもその理由だ。バイトの報酬はショップのオーナーに借りて買った中古のサーフボードの支払いに消える。
平均的な夏は確実にやって来て人々を海へ導いてくれた。バイクを駐車スペースに入れキーを回しエンジンを切る。材木座に迫る小高い丘から蝉の鳴き声が浜に響いていた。通りに作られた小さな駐車場から、まだ誰も泳いでいない材木座と由比ガ浜が一望出来た。一泳ぎするために少し早くでてきたから、バイトの始まるまで十分な時間があった。
Tシャツを脱ぎ履いて来た海水パンツ一枚になる。ディパックにTシャツを押し仕込み、ビーチサンダルを手に持って浜へ足を踏み出す。湿った砂はが足の裏を冷やして気持ち良い。午後になれば熱くて素足で歩けなくあんる砂浜もその時間はまだ心地いい。
潮の位置を確認してディパックを浜へ放り出し海に向かって走る。穏やかな海は小さな波を繰り返す。足先が海水に入ると朝の冷たい水が頭へ響く、歯を食いしばり沖へ進む。腰まで海水に浸かると、覚悟を決めて体を水の中に入れる。まだ濁っていない朝の澄んだ海水で遠く岬まで海底が続いて見える。
顔を水面へ出し浜に沿ってゆっくりと手足を動かすを。近くを通る魚達が耳元で跳ねる。潜って様子を見ると魚群が直ぐ近くを抜けた後だった。こうやって朝の材木座と由比ガ浜を往復し、バイト先へ戻る。頑固親父は既にビーチ・パラソルを出して店の準備をしていた。
「おはようございます」と挨拶をすると、親父は目を上げ面白く無さそうな面持ちで「おはよう」と返した。機嫌が悪いのは毎朝の事だ。裏に回り倉庫からゴザを出し、レンタルの浮き輪を出した。休憩室の砂を掃き雑巾で拭き上げていると、バイト仲間のユキが「おはようございます」と元気な声で現れた。
ユキは焼きそばとカキ氷の係りだ彼女は客が来る前に、焼きそばの具材の仕込みをして、がき氷に使う氷を小さく切り取る。小豆が無くなれば小豆を煮ていた。浜の上で汗を拭きながらお客の浮き輪に空気を入れながら彼女の働く姿を見るのが楽しみだ。
スイカを並べ生ビールの看板を用意する。その夏は始まったばかりだった。
Swim 0.5Km