ブログネタ:インスタントラーメンはカップ麺? 袋入り麺? 参加中

その年の4月クライストチャーチはもう秋の声が聞こえ始めていた。早くから吹き始めた冷たい南風は公園を埋める木々の色を変え、街の中心に高くそびえる大聖堂の塔へ長い石段を回り頂上へ上り詰めると、眼下に広がる街並みに秋の気配を感じた。

久しぶりに訪れた教会の塔で深呼吸をして始まったばかりの秋の風景を楽しんだ。街の北側を流れるエイボン川、街の西に広がるハグレー公園、大聖堂の塔へ登ればそんな風景が一望できる。昨日、街中で知り合った上田さんと会うまでには未だ時間があった。もう暫く塔の上でぼんやりと街を眺め、それから待ち合わせの場所へ向かえばいいと考え、暫く塔の上でぼんやりと街を眺めた。

上田さんに会ったのはその日前日、大聖堂の広場だった。クライストチャーチの近くにはリトルトンという漁港があり海が近い。潮風と一緒にやってきたカモメ達が大聖堂広場を飛びまわっている。広場の脇にある小さなフィッシュ・アンド・チップスの店で仕入れた食料が入った新聞紙を片手で持ち、カモメ達を眺めていた。

人馴れしたカモメ達は顔見知りの頭上に乗り、新聞紙に包まれたフィッシュ・アンド・チップスが手の中から零れ落ちるのを鋭い目つきで狙っていた。高い教会の塔を背に、石造りの台座に座って新聞一杯の中身で遅い昼食取っていると。

東洋人の男性が隣へ腰掛け話かけてきた、「君は日本から来たの」それが上田さんの第一声だった。日本人と話すのはクイーンズ・タウンの土産物屋のアルバイト留学生以来だった。驚いて上田さんを舐めるように眺めた。上田さんは旅行者という感じでなく日本の漁村にいる普通の漁師の様だった。

浅黒い肌や上田さんの服装はどの方向から見ても観光でこの街へ来た団体旅行客には見えない。反対に上田がこちらを同いう風に見ていたのかは聞かなかったが、気楽に話しかけてきた様子をみれば普通の旅行者に見えなかったのだろう。

良く考えれば、もう数ヶ月も散髪へ行っていないし、くたびれたワークシャツと擦り切れたジーンズ、汚く伸びた髭、そして手に持った新聞紙それだけ見れば十分なのだったのだろう。そんな風体の人を見て上田さんは気さくに話しかけてきた。「こういうシチュエーションに慣れているんだな」それが第一印象だ。

優しい面持ちで気さくな上田さんと瞬く間に間に親しくなった。話では、夏季から秋にかけて期間南極海でイカ釣りの漁船に乗る大手の漁業会社の漁師さんだと言うことだった。丁度その日、船がリトルトンに入港して休みだったので街を観光しているのだと説明してくれた。

自分もそれまでの長い旅の事を説明すると、とても気に入ってくれた。夕方から仕事がある上田さんは一旦船へ帰らなければいけなかった。その日は一旦別れ次の日に会う約束をした。お互いに日本から離れて随分たっている。上田さんは同僚が日本人だけど長くいるのでたまには違う人と話したかったようだ。

大聖堂の塔を後にして、待ち合わせの場所に行くと上田さんと同僚の人が、手を上げて迎えてくれた。日が落ちたクライストチャーチの街を歩きパブでビールを飲んで話を弾ませた。夕食の時間になると上田さんが船へ来ないかと誘ってくれた。船まではタクシーへ乗れば直ぐだという。

遠洋漁船に乗るのは初めてだったので二つ返事でOKをして三人で漁船へ向かった。漁船自体は残念ながら豪華客船とはかけ離れていた。想像以上に狭く汚く酷い臭いがする船室に驚いた。想像とは違ってい驚いている姿を観て上田さん達は笑声をあげ、それから食堂へ連れて行ってくれた。

上田さんは、調理場の奥へ行くと一つ包みの袋を持って戻ってきた。手の中にあるビニールの袋は見たことがある絵柄。良く観ると袋には白い字で大きく「チャルメラ」と書かれていた。上田さんは、その袋を持って調理場へ行き暫くすると3杯のラーメンを持って戻り、テーブルに並べた。

魚類と野菜が少し入ったシンプルなラーメンだったが、口にすると何故か涙がこみ上げてきた。シンプルなインスタント・ラーメンの味は遠く離れた日本を思い出すには十分に脳を刺激した。長く旅を続けていると懐かしくなる日本の味がその中に凝縮されているような気がした。

上田さんはその様子をみただけで理解したように微笑んだ。
■その時のインスタント・ラーメンの味は今でも忘れられない。袋麺の良さは作るという愛情を込める行為がある事です。上田さんの手作りで愛情の込められたラーメンと言うのも意味があったような気がします。インスタント・ラーメンに関するとても懐かしい思い出です。
■単純にカップ麺と袋麺の比較は器のコストと後片付けのワークロードの違いだと思う。その分袋麺の方が安いんだよねきっと。
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