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A Night in Bangkok

靄に深く包み込まれたジャングルは神秘的で美しい。ジャングルの木々の間から立ち昇る白い靄は、母体となるジャングル自身とその魂との関係のように、ジャングルを形成する生命の魂と力を感じさせる。列車に乗り込みこの街へたどり着くまでは、そのジャングルの中で生命の魂に抱かれ、そこから多くの力を享受していた。動物、鳥、そして爬虫類達も大自然の生命のエネルギーを享受し自分の力として変換している。

湿地や沼とそれを囲む広大なジャングルの中に生息する生命は、自らが生み出すエネルギーをジャングルへフィードバックし、そして、彼らもまたジャングルからエネルギーの恩恵を受け、そして相互に利用合い、互いをその一部として共存するのだ。ジャングルで暮らす間は、人間も含めた全ての生命がその自然の循環の一部として存在し、そして相互に助けあって共存しているのだった。

今、到着したこの街では、もうあのジャングルからの大きな力の恩恵を受けることはできない、無機質な石と鉄の塊の中では、自分自身の持っているエネルギーを消費する以外無いのだ。勿論自分の力をフィードバックする必要も無い。そこにあるのは、単なる一方通行の消費でしか無い。列車が森を抜け都市部に入ると、自分の周りを囲む環境の全てが、まるで気圧が変化し耳に圧迫感を覚える様に、ゆっくりとそして着実に変化していった。列車の向かう闇の中には都市の光があり、都市の匂いがあった。

さらに都市で形を変えた、無機質なエネルギーがあった。そして列車が都市に近づくにつれそれらの変化は次第に大きくなり、ゆっくりとエネルギーが体内から奪い取られていくのが感じられた。終着駅で列車を降りる頃には、体内に残る生命のエネルギーは握りこぶしの中に僅かに残るだけだった。微かに残されたリンクを辿ってなんとかここまで来たが、僅かな糸口しか見出せないまま既に4ヶ月の月日が経過していた。そしていまだ見えてこないトンネルの出口に苛立ちを感じないわけにはいかなかった。あとどれ位のエネルギーが自分の中に残されているのだろうか…。

僅かに残ったエネルギーを誰にも見つからない場所に隠し、絹の糸のように頼りなく細い残されたリンクを信じて前進するしか目的を達成する方法は無いのだ。最後の力を振り絞ってようやく紹介されたゲスト・ハウスへ辿り着いた時には、午後10時を過ぎていた。メイン・ストリートを曲がって、細くそして薄暗い路地を入った所にあるそのゲスト・ハウスは、四方がコンクリートの壁に囲まれていて、同じくコンクリート造りの2階建ての建物と併せて観るとまるで刑務所のような印象を受けた。壁の中には、椰子の木が植えられていて、壁越しにその椰子の木が通りまで大きく張り出していた。