ブログネタ:GWの予定立ててる? 参加中あれからどの位経ったのだろう。ゴールデンウィークの始まった頃、サイクリング・バックを小さな自転車の荷台に括り付けて一人サイクリングへ出発した。小学生の小さな体型には大きすぎる自転車での冒険旅行の気分だった。
母親や父親は連休中も働いていたから、学校が休みになった日々をなんとか埋めなければいけない。昨今の小学生なら塾や予備校、受験勉強で忙しく空いた時間を埋めるなんて考える事もないのだろうが、時代が違った。おおらかで自由な時代だ、勉強より外で遊ぶ事が誉められた。
友達は皆家族で旅行へ出かけていない、一人になって何をするのか頭を捻った結果、鎌倉までのサイクリングの日帰り旅行を思いついた。ゴールでんウィークを迎えるまで小学校の図書館で鎌倉を調べた。わからない漢字の沢山詰まった本を借りて一生懸命読んでだ。
幾つかの目的地を定め順路を決めた。円覚寺、建長寺、東慶寺、名月院、八幡宮、由比ガ浜、銭洗い弁天、長谷の大仏確かそんな感じだった。両親に気づかれないように、二人が職場へ出かけた隙を見計らっておにぎりを作り、麦茶を入れた小さな水筒と一緒にサイクリング・バッグの中へ放り込んだ。
サイクリングのバッグの中は、おにぎり、水筒、地図、予定を書いた紙が入った。青空が広がり白い雲がふんわりを所々に浮かんでいた。GYのマークの入った野球帽をかぶり鎌倉街道を西へ自転車のペダルを踏み始めた。交通量の激しい鎌倉街道を使いたくなかったが、唯一知迷わないで済みそうな道だった。
父の車で何度か鎌倉へ行った時に、だいたいの道しるべを覚えていたからだ。困った時には目を瞑って父がどっちにハンドルを切ったのか思い出せばいい。小さな時は道の名前や交差点の名前よりも、目印を焼き付けて道を覚えるものだ。幾つかの煙突を覚えた。小高い古墳のような丘が見える。変わった名前のパン屋があった。そんな具合に細かい道標を覚えた。
鎌倉へ続く道を西へ自転車のペダルを踏む。長い坂道越え切通しを抜け円覚寺、建長寺、東慶寺、名月院、そんなお寺を廻り八幡宮から若宮大路を通って由比ガ浜へ突き当たる。天気も良いし元気一杯だ。砂浜にある駐車場に自転車を止めて広い浜へ降りる。五月の太陽が空の高い所で輝いていた。
よく観ると大勢の人が引き潮の浜で何かをしている。遠浅の浜には大勢の人がいた。波打ち際に近寄って何をしているのか観ると。大きな浅利を採っているらしい。潮干狩りをしていたのだ。試しに柔水際の柔らかくなった砂の中へ手を入れると沢山の浅利が手の中へザクザクと入ってきた。何度やっても面白い程浅利が取れる。
大好物だったのでもう止める訳にいかなくなった。自転車へ戻りサイクリング・バッグの中の物を全て出してその中へ浅利を詰めた。砂浜の上に着ていたシャツとズボンを脱ぎ捨て、ズパンツ一枚になって浅利を掘った。照りつける五月の陽は暖かくパンツが水浸しになっても平気だった。
程なくサイクリング・バッグは浅利で一杯になった。余りに気持がち良かったからその格好で泳いだ、水着もタオルも持っていなかったけどそんな事は気にならなかった。帰り道も随分な距離があったが気にせず泳いだ。乾いた風の冷たさも気にならなかった。
海からあがりパンツが乾くと半ズボンを履いて次の目的地へ向かおうとした。所がサイクリング・バッグが重くて自転車がなかなか前へ進まない。家を出た時のようにペダルを踏んでも軽快に転がってくれないのだ。陽は西へ傾こうとしていた。父も母も遅くなってもバッグ一杯の浅利を見せれば許し手くれると思った。
帰り道は想像したより大変だった。切通しの坂は自転車を押して上った。浅利を何度となく捨ててしまおうと思ったそれでも根気強くペダルを漕いだ。家から数キロになった頃、父のねじ巻きの腕時計は8時を差し門限はとっくに過ぎていた。怒られると考えたが家へ戻るしか道はない。
家から数キロの所、海で泳いだり浅利の重さのせいで、足が痙攣を起こして先へ進めなくなくなってしまった。痙攣を起こした足を引き摺って自転車を押していると、そこに心配そうな顔をした姉が自転車へ乗ってこちらへ来た。心配した家族は皆で探し回っていたようだ。
帰ると祖母がいて、母と父は後から戻ってきた。二人とも探し廻っていたのだ。ものすごく怒られるかと覚悟をしたが、誰もなにも言わずにいつもと変わらない遅めの夕食になった。母はサイクリング・バッグいっぱいの浅利を観ると驚いて、急いで金属タライへ空け風呂場へ置いた。次の日の朝食に、母が作った美味しいアサリの味噌汁が食卓へあがった。
子供頃に残るゴールデン・ウィークの一番の思い出だ。
■ゴールデンウィーク期間は、どこへも行かず衣替えと決めている。冬を押入れの奥へ押し込み、夏を引き出してくる。そして書きかけの小説の続きを書けたらいいな。
■Run 2Km Swim 2Km、膝は良くないです、がんばれまだ走れる。