注意:本章には性的な表現が使われています。作品の表現に必要な範疇に留めたいと考えておりますが作者と読者の理解の違う場合がありますのでご理解ください。若年層の方及び性表現に嫌悪感を抱かれる方はご遠慮いただく事をお願いいたします。
近未来の世界、人々は高度な電子化へ対応で不眠症に苦しんでいた。「NDT Inc.」社は、独自開発した特殊装置で不眠解消のために「夢」を売るサービスを提供していた。装置の悪用を計画する非合法プロバイダ「MAL(マル)」。NDT社の社員である「不眠症の主人公」と恋人「ケィ」が装置をMALから守るために繰り広げる「近未来・冒険・ドリーム・ラブロマンス」BugsLifeをお楽しみください。
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18.仕事と謎のコイン ~ #8 ~
一歩踏み出すとベトベトした床に靴の底が粘りつくようだった。廊下は暗く足元がはっきりとしない。床である事がわかる程度だ。天井から下がった頼りない白熱球の灯りを頼りに廊下を先へ進む。受付の職員はそこに行けば診察室がわかると言っていた。しかし長く暗い廊下が続いているだけで診察室らしき場所は見あたらない。
引き返そうにも戻るエレベータは閉じてしまいエレベータを呼ぶためのボタンも無い。廊下を前進する以外に道は無かった。脚を踏み出す毎に靴の底に粘り気を感じる。しかし何歩かすすむうちにパリパリと何かが割れる小さな音が足を踏み出す毎にする事に気付いた。
「割れる物を踏んでいるのだろうか」
特に何かを踏んでいるという感覚は靴を通して伝わっては来ない。音を気にせず歩いていると音の数は次第に増してくる。うるさいという程の音でも無かったがとても気になった。白熱球がある少し手前の明るい場所で少し膝を曲げ、腰を折って床を見渡してみた。
良く見ると床が僅かに動いているようだった。見間違いかと思いもっと顔を近づけて眺めると確かに動いている。特定の方向に動いていると言うよりは不規則にそれも色々な方向へザワザワと動きまわっているように見える。
床が不規則に動く筈は無かった、さらに電球の光が当たる一番明るい場所で顔を近づけると、そこで見えたのは無数の2センチ程の小さな黒い蟲だった。平べったいゴキブリに良く似た沢山の黒い蟲が床一面を覆い動き回っていた。
歩くたびにその蟲を踏みつぶし外殻が割れるとパリっという音を発する。靴の裏の粘り気は踏み潰した蟲の粘液のようだった。足元が暗くて見えなかったが、その蟲は廊下の床を埋め尽くし立ち止まると靴の上へ登ってくる。
逃れる場所はどこにも無い気にせず歩き続ける事しか手は無かったがどうしても足元が気になる。ジーンズを伝って上半身へ登ってきそうな感じがしたが蟲達は靴から上へ這い上がる事はなかった。
足を踏み出す毎にパリッという音がし後になった脚をあげるとベトベトした粘液が靴底に粘りつく感じがする。考えまいとしても意識は靴へ行ってしまう。イメージを頭から振り払い歩くことに集中した。
一階の広いロビーと同じ程度の距離程歩くと廊下は行き止まりになった。突当りの壁には今までと同じ形式の裸電球が天井から下がっており、直ぐその下には黄ばんだ背景に汚く消えかかった文字で「診察室」と書かれたプレートが貼ってあり、その下には木製の扉が造りつけてあった。
扉の中央には擦りガラスが取り付けてあり、その向こうにはぼんやりとした黄色い光の球が輝いていた。黄色い光は何かに遮られると時々暗くなり、扉の向こうには誰かが歩き回っているように感じられた。思い切って扉をノックすると、
「ウゥ……」
という地底から響くような低い唸り声が聞こえる。もう一度ノックをしたが同じ唸り声がするだけだ。その場所に立ち止まってじっとしていると、足元の蟲達が今にもジーンズの裾から中へ忍び込んできそうな気がした。
診察室の中に蟲が居ないという保証は何もなかったが、とにかくその場所から移動したかった。思い切ってドアノブをグッと握る。すると、グニュっとした柔らかい感触が手に伝わってくる。
握ったドアノブを良く見ると、床を這っている蟲とはまた違う細長く手足を沢山持つ蟲が絡み付いていた。蟲はノブから手を伝って上がってこようとしたので驚いて、握った手を引っ込めてしまった。
掌を眺めると潰れて中から体液が染み出し、細長い蟲が胴体の前と後ろが切り離されているのにも係わらず最後の力を振り絞って動きまわっていた。驚いて手を振って蟲を振り払いジーンズで掌を拭いた。
溜息をついてセーターの袖を引っ張り出して手の先を覆う。その手でドアノブを握ると、先程と同じように蟲のグニャリとした感触がセーターを通して感じる。急いでドアノブを回し、扉を押すと思ったより簡単に開いた。
しかし開くと同時に自動扉のように押し戻されパタンと閉まってしまった。誰かが故意に向こう側で押し返しているようにも感じた。握っているドアノブとセーターの間で再び蟲が潰れる感触がして、思わずドアノブから手を離してしまう。
このままそこで立ち止まっていても蟲が這い上がってくるだけだ。もう一度勇気を奮い起こしドアノブを握り、扉を押そうとした瞬間今度は向こう側から引っ張られるように扉が開いた。力いっぱい押そうとしていたので勢いが余って部屋の中へ傾れ込んでしまった。後方で扉が閉まる大きな音がした。見ると白衣を着た年配の男が立ってこちらをじっと見つめていた。
■ワインを1本飲んだらダウン、結局ソファの上で朝まで寝てました。勿論走ってないですよ、テンション上がらないなぁ~
近未来の世界、人々は高度な電子化へ対応で不眠症に苦しんでいた。「NDT Inc.」社は、独自開発した特殊装置で不眠解消のために「夢」を売るサービスを提供していた。装置の悪用を計画する非合法プロバイダ「MAL(マル)」。NDT社の社員である「不眠症の主人公」と恋人「ケィ」が装置をMALから守るために繰り広げる「近未来・冒険・ドリーム・ラブロマンス」BugsLifeをお楽しみください。
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18.仕事と謎のコイン ~ #8 ~
一歩踏み出すとベトベトした床に靴の底が粘りつくようだった。廊下は暗く足元がはっきりとしない。床である事がわかる程度だ。天井から下がった頼りない白熱球の灯りを頼りに廊下を先へ進む。受付の職員はそこに行けば診察室がわかると言っていた。しかし長く暗い廊下が続いているだけで診察室らしき場所は見あたらない。
引き返そうにも戻るエレベータは閉じてしまいエレベータを呼ぶためのボタンも無い。廊下を前進する以外に道は無かった。脚を踏み出す毎に靴の底に粘り気を感じる。しかし何歩かすすむうちにパリパリと何かが割れる小さな音が足を踏み出す毎にする事に気付いた。
「割れる物を踏んでいるのだろうか」
特に何かを踏んでいるという感覚は靴を通して伝わっては来ない。音を気にせず歩いていると音の数は次第に増してくる。うるさいという程の音でも無かったがとても気になった。白熱球がある少し手前の明るい場所で少し膝を曲げ、腰を折って床を見渡してみた。
良く見ると床が僅かに動いているようだった。見間違いかと思いもっと顔を近づけて眺めると確かに動いている。特定の方向に動いていると言うよりは不規則にそれも色々な方向へザワザワと動きまわっているように見える。
床が不規則に動く筈は無かった、さらに電球の光が当たる一番明るい場所で顔を近づけると、そこで見えたのは無数の2センチ程の小さな黒い蟲だった。平べったいゴキブリに良く似た沢山の黒い蟲が床一面を覆い動き回っていた。
歩くたびにその蟲を踏みつぶし外殻が割れるとパリっという音を発する。靴の裏の粘り気は踏み潰した蟲の粘液のようだった。足元が暗くて見えなかったが、その蟲は廊下の床を埋め尽くし立ち止まると靴の上へ登ってくる。
逃れる場所はどこにも無い気にせず歩き続ける事しか手は無かったがどうしても足元が気になる。ジーンズを伝って上半身へ登ってきそうな感じがしたが蟲達は靴から上へ這い上がる事はなかった。
足を踏み出す毎にパリッという音がし後になった脚をあげるとベトベトした粘液が靴底に粘りつく感じがする。考えまいとしても意識は靴へ行ってしまう。イメージを頭から振り払い歩くことに集中した。
一階の広いロビーと同じ程度の距離程歩くと廊下は行き止まりになった。突当りの壁には今までと同じ形式の裸電球が天井から下がっており、直ぐその下には黄ばんだ背景に汚く消えかかった文字で「診察室」と書かれたプレートが貼ってあり、その下には木製の扉が造りつけてあった。
扉の中央には擦りガラスが取り付けてあり、その向こうにはぼんやりとした黄色い光の球が輝いていた。黄色い光は何かに遮られると時々暗くなり、扉の向こうには誰かが歩き回っているように感じられた。思い切って扉をノックすると、
「ウゥ……」
という地底から響くような低い唸り声が聞こえる。もう一度ノックをしたが同じ唸り声がするだけだ。その場所に立ち止まってじっとしていると、足元の蟲達が今にもジーンズの裾から中へ忍び込んできそうな気がした。
診察室の中に蟲が居ないという保証は何もなかったが、とにかくその場所から移動したかった。思い切ってドアノブをグッと握る。すると、グニュっとした柔らかい感触が手に伝わってくる。
握ったドアノブを良く見ると、床を這っている蟲とはまた違う細長く手足を沢山持つ蟲が絡み付いていた。蟲はノブから手を伝って上がってこようとしたので驚いて、握った手を引っ込めてしまった。
掌を眺めると潰れて中から体液が染み出し、細長い蟲が胴体の前と後ろが切り離されているのにも係わらず最後の力を振り絞って動きまわっていた。驚いて手を振って蟲を振り払いジーンズで掌を拭いた。
溜息をついてセーターの袖を引っ張り出して手の先を覆う。その手でドアノブを握ると、先程と同じように蟲のグニャリとした感触がセーターを通して感じる。急いでドアノブを回し、扉を押すと思ったより簡単に開いた。
しかし開くと同時に自動扉のように押し戻されパタンと閉まってしまった。誰かが故意に向こう側で押し返しているようにも感じた。握っているドアノブとセーターの間で再び蟲が潰れる感触がして、思わずドアノブから手を離してしまう。
このままそこで立ち止まっていても蟲が這い上がってくるだけだ。もう一度勇気を奮い起こしドアノブを握り、扉を押そうとした瞬間今度は向こう側から引っ張られるように扉が開いた。力いっぱい押そうとしていたので勢いが余って部屋の中へ傾れ込んでしまった。後方で扉が閉まる大きな音がした。見ると白衣を着た年配の男が立ってこちらをじっと見つめていた。
■ワインを1本飲んだらダウン、結局ソファの上で朝まで寝てました。勿論走ってないですよ、テンション上がらないなぁ~