ブログネタ:コンビニが24時間営業じゃなくなったら 参加中

和也はキーボードを叩き最後の言葉を入力した。デスクの液晶ディスプレーに

「……Best Regards, Kazuya」

文字が並ぶ。メールの送信ボタンを押すと送信トレイがハイライトして、メールの送信が終わる。これで明日準備はOKだった。香港からくる取引客を成田空港へ迎えに行く、そのために待ち合わせ場所を示したメールを送ったのだった。

送信が終わるとその日の仕事はもう何も無い。香港から来るゲストへの手配は完璧だホテルは押さえてある。エンターテイニングのレストランやバーの手配も済ました。プレゼンのピッチもOKだしリハーサルも終わった。

もうやる事は無いもなかった。和也は終了のオプションメニューからシャットダウンを選びシャットダウンの間を縫ってロッカーへコートを取りに行った。携帯を見ると着信とメール着信のマークが表示されていた。

きっと利美からに違いない。その日利美と夕食を共にする予定でイタリアン・レストランの予約を入れていた。急なゲストの来日でキャンセルしなればいけない事になってしまった。利美はずいぶん前から楽しみにしていたので最初は怒ったが、次週にする事で許してくれた。

留守電には

「和也お仕事ご苦労様、怒ったふりをしたけど大丈夫、来週楽しみにしている。明日、成田早いわねがんばってね」

そんなメッセージが入っていた。メールには、

「オヤスミ」

とだけ入っていた。そんな風に携帯の着信をチェックしているうちにウィンドウのシャットダウンが終わった。ノートPCを片付けコートを着るとオフィスを出た。冷たく乾いた北風が吹いている。コートのジッパーを一番上まで上げ地下鉄の駅へ向かう。

終電の迫ったオフィス街は閑散としている。就業終了近くあんなに煌々としていた高層ビル群も、照明は落とされ、冷たく真っ黒な四角い姿は巨大な墓石に見える。終電まであと五分、少し足早に地下鉄の駅にもぐりこむ。

改札を抜けると最終電車がホームに滑り込んでくる。間に合ったという安堵感がある。車両の中にはいると効きすぎた暖房を暑く感じた。コートのジッパーを下ろし手袋をブローフケースの中へ入れた。

ウィークディの始まりという事もあり終電でも空いていた。携帯をチェックするがもうメッセージは無い。きっと利美はもう寝てしまったのだろう。疲れか、暖かさからか少しウトウトしたが何とか目を開けて居る事はできた。

暗く眠り始めた街並みの中を最終電車は無機質に進んでいく。時計の針が午前一時を回った頃、和也のマンションのある駅のホームに列車が入る。終点の一つ前の駅なのでもう乗客は少なくなっていた。

扉が開くとプラットホームに降り立つ駅はもう地下ではなく地上の駅だ。冷たい北風がプラット・ホームを吹きぬける。電車の中の暖かさとのコントラストが激しすぎる。体が一瞬にして縮み上がる。考えてみれば夕食を摂るのを忘れていた。

突然のように空腹感がやってくる。でも明日は早く起きて成田へ行かなくてはいけない。24時間のレストランへ行っている余裕はない。郊外の駅には牛丼もファーストフードのお店も無い、駅前は真っ暗だった。

和也はマンションまでの帰り道にあるコンビニを思い描いた。レジの直ぐ横にある熱い「おでん」や「から揚げ」、「おにぎりが」イメージとなって頭を回る。少し歩けばあのコンビニに着き、湯気の立つ「おでん」を買える。

そんな思いで頭が一杯になり、もう利美の事など覚えていなかった。和也は暗い道をコンビニめざしひたすら歩く、そろそろコンビニの灯りが見える場所まで来た。しかしコンビニのあの温かみのある灯りは見えない。

信号までやって来る、交差点の向こうには井戸の底のように真っ暗なコンビニの姿が和也の目に映った。
■コンビニが十一時に閉まるというのはそう云う事だと思う。
■気持ちよく走りすぎた、つま先に血豆が出来てしまった。Run 12Km 明日からはSwim中心の練習です。脚の筋肉を少し休ませます。