注意:本章には性的な表現が使われています。作品の表現に必要な範疇に留めたいと考えておりますが作者と読者の理解の違う場合がありますのでご理解ください。若年層の方及び性表現に嫌悪感を抱かれる方はご遠慮いただく事をお願いいたします。
近未来の世界、人々は高度な電子化へ対応で不眠症に苦しんでいた。「NDT Inc.」社は、独自開発した特殊装置で不眠解消のために「夢」を売るサービスを提供していた。装置の悪用を計画する非合法プロバイダ「MAL(マル)」。NDT社の社員である「不眠症の主人公」と恋人「ケィ」が装置をMALから守るために繰り広げる「近未来・冒険・ドリーム・ラブロマンス」BugsLifeをお楽しみください。
これまでのお話←Click here
18.仕事と謎のコイン ~ #6 ~
入り口に立つと建物のサイズと同じ巨大な自動扉が音も無く左右に開いた。どんな巨人がその扉を潜るのだろうか現実な大きさではない。何のために、誰のために、それ程巨大な扉が必要なのか理由を誰かに教えて欲しかった。外観と入り口の異様さから習えば、建物の中はもっと奇妙な雰囲気かと想像していたが、ロビーを見渡すとどこの街にでもある総合病院と変わらず拍子抜けだった。普通でないのは入り口の巨大な扉と、同じ高さの天井とロビーの広さだけだ。
ロビーへ踏み入れると、先程まで足先に感じていた奇妙な感触が消えた。靴底からは見た目通りのタイルの硬い感覚が伝わってくる。浮き足立った感じは消え、幾分落ち着きを取り戻してきたようだ。中へ入ったが処へ行けばいいのかわからない。広いロビーの入り口に立ち辺りを見回す、左手に「総合受付」と示された長いカウンターが奥へ向かって伸び病院の職員が患者と思われる人達の相手をしていた。
ケィのメモには終了科目の指示は無い。道順、病院名、時間、受付番号が書き込まれているだけだ。メモを受け取った時はこれ程大きな病院とは思っていなかった。診療科目の事まで考えつかなかった。どこで受付を済ませれば良いのかわからない。確かに病院までは辿りつく事はできた……受付番号を言えばわかるのだろうか。単なるミスなのか、ミスだとすればケィの仕事のやり方を思えばあり得ない事だ。ここまで来て引き返す訳にはいかない、誰かに尋ねれば簡単に判る事だ。
カウンターへ歩み寄ると、運良くカウンターの職員は方向を指示する仕草をし、それを見た相談者は頭を下げ立ち去っていく所だった。職員は相談者が立ち去った後にカウンターの下を向いて難しい顔をして、何かを記入する様子を見せたがカウンターの前に立つとこちらに気付いて顔を上げ笑顔を作った。そして、
「ご予約はございますか?」
と尋ねた。
「えぇ、予約してある筈なのです。でも、診療科目が判らないのです」
と応えると、困った表情を浮かべ、
「予約番号か、受診する先生の名前をご存知ですか」
と尋ね直した。握りしめていたメモをそのまま渡すと。職員は、メモを受け取りながら業務的な微笑みを僅かに浮かべ、片手でキーボードを引き寄せた。それからもう片方の手を動かしキーを叩く音をさせた。キーを叩く音が止み暫くすると画面を見つめる顔の表情が曇った。その様子は、過去の経験から大きなミスをした時に作る表情だと直感的に思った。心配になり落ち着かない気持ちで待っている、暫くすると彼女は表情を曇らせたまま、画面から目を離しこちらを真直ぐに向いて、
「42階の診察室になります。予約時間通りに診察をしますので時間までにお越しください。42階へは奥のエレベータをご利用ください」
そういってメモを差し出し、奥のエレベータ・ピットを指差した。その顔からはさっきのまであった笑顔はもう消えていた。
「ありがとう、でも診察室と言っても幾つもあるんじゃないのですか?」
「いぇ、42階に診察室は一つしかありません、おいでになれば直ぐにわかります」
こわばった表情のまま答えた。
「エレベータへ行く前に。このバッジを胸に付けてください」
そ言って渡したメモと病院のロゴの入ったバッジを差し出した。
「ありがとう」
メモとバッジを受け取って職員の示す方へ振り返り向かえり胸にバッジを貼り付けた。広いロビーだった。これからパスポート・コントロールへ向かい数時間後に別の国へ着いている、と言っても嘘には聞こえない。
指し示した方向にエレベータなど見えない。本当に診察室へ行き着けるのか不安だったが誰かにエスコートをお願いするわけにもいかない。仕方なく遠くに見えるロビーの端を目指した。巨大な病院施設にどれだけの人が収容できるのか想像もつかない。小さな街がひとつすっぽりと入ってしまうのではないかと感じられる程非現実的な大きさだ。
ロビーの中央を過ぎると42Fへ行くエレベータの案内版が目に入った。案内版はロビーの大きさと比較するととても小さい。受付のカウンターから見ようと思っても小さくて見えない大きさなのだ。ロビーがそれほど広く案内版はそれほど小さかった。ロビーの中央を過ぎて、エレベータを表すイラストを理解でき、初めてエレベータを示す案内版である事がわかった。まるで人目を避けるように壁の後ろを指し示している。ロビーと42階を直通で結ぶ専用エレベータなのだろうか。
案内板を目指してロビーの端へ進み、案内板の示す方へ進んだが、エレベータなど見あたらない。洞窟のような長い石造りの回廊がありその先は行き止まりだ。案内板の示す場所の周囲を探したが、エレベータの入り口らしき場所は見つからない。暫く同じ場所でそうしているとバッジをした職員のに呼び止められた。
■きっちり5Kmだけ、水泳1Kmそれだけだよ。
近未来の世界、人々は高度な電子化へ対応で不眠症に苦しんでいた。「NDT Inc.」社は、独自開発した特殊装置で不眠解消のために「夢」を売るサービスを提供していた。装置の悪用を計画する非合法プロバイダ「MAL(マル)」。NDT社の社員である「不眠症の主人公」と恋人「ケィ」が装置をMALから守るために繰り広げる「近未来・冒険・ドリーム・ラブロマンス」BugsLifeをお楽しみください。
これまでのお話←Click here
18.仕事と謎のコイン ~ #6 ~
入り口に立つと建物のサイズと同じ巨大な自動扉が音も無く左右に開いた。どんな巨人がその扉を潜るのだろうか現実な大きさではない。何のために、誰のために、それ程巨大な扉が必要なのか理由を誰かに教えて欲しかった。外観と入り口の異様さから習えば、建物の中はもっと奇妙な雰囲気かと想像していたが、ロビーを見渡すとどこの街にでもある総合病院と変わらず拍子抜けだった。普通でないのは入り口の巨大な扉と、同じ高さの天井とロビーの広さだけだ。
ロビーへ踏み入れると、先程まで足先に感じていた奇妙な感触が消えた。靴底からは見た目通りのタイルの硬い感覚が伝わってくる。浮き足立った感じは消え、幾分落ち着きを取り戻してきたようだ。中へ入ったが処へ行けばいいのかわからない。広いロビーの入り口に立ち辺りを見回す、左手に「総合受付」と示された長いカウンターが奥へ向かって伸び病院の職員が患者と思われる人達の相手をしていた。
ケィのメモには終了科目の指示は無い。道順、病院名、時間、受付番号が書き込まれているだけだ。メモを受け取った時はこれ程大きな病院とは思っていなかった。診療科目の事まで考えつかなかった。どこで受付を済ませれば良いのかわからない。確かに病院までは辿りつく事はできた……受付番号を言えばわかるのだろうか。単なるミスなのか、ミスだとすればケィの仕事のやり方を思えばあり得ない事だ。ここまで来て引き返す訳にはいかない、誰かに尋ねれば簡単に判る事だ。
カウンターへ歩み寄ると、運良くカウンターの職員は方向を指示する仕草をし、それを見た相談者は頭を下げ立ち去っていく所だった。職員は相談者が立ち去った後にカウンターの下を向いて難しい顔をして、何かを記入する様子を見せたがカウンターの前に立つとこちらに気付いて顔を上げ笑顔を作った。そして、
「ご予約はございますか?」
と尋ねた。
「えぇ、予約してある筈なのです。でも、診療科目が判らないのです」
と応えると、困った表情を浮かべ、
「予約番号か、受診する先生の名前をご存知ですか」
と尋ね直した。握りしめていたメモをそのまま渡すと。職員は、メモを受け取りながら業務的な微笑みを僅かに浮かべ、片手でキーボードを引き寄せた。それからもう片方の手を動かしキーを叩く音をさせた。キーを叩く音が止み暫くすると画面を見つめる顔の表情が曇った。その様子は、過去の経験から大きなミスをした時に作る表情だと直感的に思った。心配になり落ち着かない気持ちで待っている、暫くすると彼女は表情を曇らせたまま、画面から目を離しこちらを真直ぐに向いて、
「42階の診察室になります。予約時間通りに診察をしますので時間までにお越しください。42階へは奥のエレベータをご利用ください」
そういってメモを差し出し、奥のエレベータ・ピットを指差した。その顔からはさっきのまであった笑顔はもう消えていた。
「ありがとう、でも診察室と言っても幾つもあるんじゃないのですか?」
「いぇ、42階に診察室は一つしかありません、おいでになれば直ぐにわかります」
こわばった表情のまま答えた。
「エレベータへ行く前に。このバッジを胸に付けてください」
そ言って渡したメモと病院のロゴの入ったバッジを差し出した。
「ありがとう」
メモとバッジを受け取って職員の示す方へ振り返り向かえり胸にバッジを貼り付けた。広いロビーだった。これからパスポート・コントロールへ向かい数時間後に別の国へ着いている、と言っても嘘には聞こえない。
指し示した方向にエレベータなど見えない。本当に診察室へ行き着けるのか不安だったが誰かにエスコートをお願いするわけにもいかない。仕方なく遠くに見えるロビーの端を目指した。巨大な病院施設にどれだけの人が収容できるのか想像もつかない。小さな街がひとつすっぽりと入ってしまうのではないかと感じられる程非現実的な大きさだ。
ロビーの中央を過ぎると42Fへ行くエレベータの案内版が目に入った。案内版はロビーの大きさと比較するととても小さい。受付のカウンターから見ようと思っても小さくて見えない大きさなのだ。ロビーがそれほど広く案内版はそれほど小さかった。ロビーの中央を過ぎて、エレベータを表すイラストを理解でき、初めてエレベータを示す案内版である事がわかった。まるで人目を避けるように壁の後ろを指し示している。ロビーと42階を直通で結ぶ専用エレベータなのだろうか。
案内板を目指してロビーの端へ進み、案内板の示す方へ進んだが、エレベータなど見あたらない。洞窟のような長い石造りの回廊がありその先は行き止まりだ。案内板の示す場所の周囲を探したが、エレベータの入り口らしき場所は見つからない。暫く同じ場所でそうしているとバッジをした職員のに呼び止められた。
■きっちり5Kmだけ、水泳1Kmそれだけだよ。