注意:本章には性的な表現が使われています。作品の表現に必要な範疇に留めたいと考えておりますが作者と読者の理解の違う場合がありますのでご理解ください。若年層の方及び性表現に嫌悪感を抱かれる方はご遠慮いただく事をお願いいたします。
近未来の世界、人々は高度な電子化へ対応で不眠症に苦しんでいた。「NDT Inc.」社は、独自開発した特殊装置で不眠解消のために「夢」を売るサービスを提供していた。装置の悪用を計画する非合法プロバイダ「MAL(マル)」。NDT社の社員である「不眠症の主人公」と恋人「ケィ」が装置をMALから守るために繰り広げる「近未来・冒険・ドリーム・ラブロマンス」BugsLifeをお楽しみください。
これまでのお話←Click here
「17.水辺の公園と週末の出来事 ~ #4 ~」
遠くで遊ぶ子供の大きな声が頭のどこかで響いた。きっと便宜的に作られたあの公園で、週末の朝、疲れて寝ている親を尻目に元気に遊んでいるのだろう。子供達の甲高い声は、集合住宅の壁に反響し大きく響き、秋の空へ消えていった。
こんなに深く眠るのは何年ぶりだったか、深い眠りのせいで頭が鈍く重かった。ベッド・ルームの単調な天井の壁紙がぼんやり目の中へ入ってきた。太陽の光線は天井の高い位置から壁を伝ってベッドへ降りもう足元を照らそうとしていた。
前の晩の余韻が腹部を中心に残り体の自由が利かない。その感覚の余韻に浸り毛布をかぶり一日中その中に潜って居たかった。予定は無かったからそうしようと思えば簡単な事だった。目の焦点を合わせられるようになると壁紙の模様がはっきりと見えるようになってくる。
毛布の端を捲り上げ、壁紙の模様に眼球を動かす筋肉を調節し焦点を合わせると、カメラの中でピントが合うように像が焦点を結ぶ。同時にぼんやりした頭も意識の輪郭をはっきりとさせ模った。
前夜の記憶を辿るが結局記憶の終端より前は一切残っておらず、その前は見事な程完璧に消失していた。意識を奮い起こし、毛布の中で腕を回し探ってみたが、そこではケィの存在を探し当てられなかった。バス・ルーム方からも音は聞こえない。テレビや音楽の音も無い、部屋は静寂し、公園の子供の声が壁に反響しているだけだ。
体の奥に残る不思議な感覚は、ゆっくりと波打つように広がり全身へ広がっていく。むず痒くどんよりと気持ち良く、そして失いたく無いそんな感覚だった。生まれて初めてコテージで体験し、そして同じように部屋で体験した。
何故そして何処からそんな感覚がやって来たのか理由がわからない。共通する事はその相手がケィという事だけだ。ワインや飲み物に何か仕掛けがあるのか?それとも神経組織を刺激する特殊な香水や香りの出る物を身に着けているか、ケィがどんな魔法を使っているのか知りたかった。
気だるさを振り切って起き上がる。毛布をめくると何も身に纏われていない体が遠慮なく現れる。バックルを外されシャツを脱がされた記憶がかろうじて残っていたが、裸になってベッドに入った記憶は無い。前夜の事がますます気がかりになり、それに増して姿の見えないケィがどうしているのか心配だった。
枕元とシーツに隙間には忘れられた長い髪の毛が何本か挟まっていた。ケィの髪の毛に違いない。そこに居たという事実を明確に示していた。まだ温もりが人を模ってそこにあるような気もして仕方がなかった。それは間違いなく単なる思いでしかない。ケィがそこに居ない事は明白だ。
バス・ルームでバス・ローブを羽織リビングやキッチンと客間を探したが姿は見え無かった。怒って帰ってしまったのか……嫌な思いが先に立った。キッチンへ戻り未だに火照っている体を鎮めるために冷凍庫から出した氷をコップへ入れ、炭酸水を注ぐ。
中で泡がはじけそして消えていくのをじっと眺めた。溢れ上がりそして消えていく泡をじっと見ていると、ケィを思うがそこには居ない事を改めて実感する。
泡が完全に消えてしまわないうちに、口へ含み一気に胃の中へ流し込んだ。口の中で爽やかに泡がはじける感触で改めて朝が来た事を実感する。
グラスを置こうとテーブルを見ると、メモ用紙がジャムの瓶の下に窮屈そうに挟まっていた。持ち上げ見ると。手書きで何かが書かれていた。
「おはよう、よく寝ているので起こさずに帰ります。午後友達と約束があるの。冷蔵庫にサンドウィッチを入れてあるので食べてね。どうせ起きるのはお昼頃でしょう。楽しかったわ、じゃ、後で連絡するわ」
メモにはそれだけ書かれていた。小さく丸めてバスケット・ボールでシュートを狙うようにゴミ箱へ投げ込み、PCのスイッチを入れて小さな音でスローな音楽を流した。壁の時計をみると二つの針は一番高い所で一つになろうとしていた。
エスプレッソを入れ、ロースト・チキンとサラダを挟んだ美味しそうに出来たサンドウィッチを冷蔵庫から出して口に入れた。そうしている間も記憶を辿ってみたが、ソファが最後の記憶だった。以降の記憶は鋭いナイフで切り落とされた肉片のように、スッパリと綺麗に切り落とされていた。
空いた皿と、カップを流しへ入れると、クローゼットから前週に買った新しいトレーニング・ウェアを引っ張り出し身に着けた。柔らかく通気性の良い生地は無理なく体に馴染み、さらりとしている。伸びてだらしない髭が気になったが、走っている間そんな所を見る人は居ない筈だ。
メモリー・プレイヤーをセットし、サングラスをかけて履きなれたトレーニング・シューズへ足を通すと、秋の風が吹く青空の下へ飛び出した。秋の始まりとは言え午後の太陽は差し込むように痛かったが、秋の風が運び去ってくれる。いつものように川沿いの道に出る。
いつもその道を走る見たことのあるランナーとすれ違う。芝生に囲まれた真直ぐな道が海へ向かって何処までも続いていた。一歩一歩進むうちにやがて頭の中は空っぽになり体が風と一体になる。そして海へ伸びた道の先を目指してスピードを上げた。
えーと、イワシのフィルタを新しく設置しました。イワシは水槽内を元気に泳ぎ回っています。元気です。
いつもの様に走りました。7.2Kmです。中途半端な距離ですが足場の関係で仕方が無い。昼間に外を気持ちよく走りたいっす。でも、たまには別のスポーツもね。
……明日はアキバへ買い物行きます、何を買うかって・・秘密っす。
近未来の世界、人々は高度な電子化へ対応で不眠症に苦しんでいた。「NDT Inc.」社は、独自開発した特殊装置で不眠解消のために「夢」を売るサービスを提供していた。装置の悪用を計画する非合法プロバイダ「MAL(マル)」。NDT社の社員である「不眠症の主人公」と恋人「ケィ」が装置をMALから守るために繰り広げる「近未来・冒険・ドリーム・ラブロマンス」BugsLifeをお楽しみください。
これまでのお話←Click here
「17.水辺の公園と週末の出来事 ~ #4 ~」
遠くで遊ぶ子供の大きな声が頭のどこかで響いた。きっと便宜的に作られたあの公園で、週末の朝、疲れて寝ている親を尻目に元気に遊んでいるのだろう。子供達の甲高い声は、集合住宅の壁に反響し大きく響き、秋の空へ消えていった。
こんなに深く眠るのは何年ぶりだったか、深い眠りのせいで頭が鈍く重かった。ベッド・ルームの単調な天井の壁紙がぼんやり目の中へ入ってきた。太陽の光線は天井の高い位置から壁を伝ってベッドへ降りもう足元を照らそうとしていた。
前の晩の余韻が腹部を中心に残り体の自由が利かない。その感覚の余韻に浸り毛布をかぶり一日中その中に潜って居たかった。予定は無かったからそうしようと思えば簡単な事だった。目の焦点を合わせられるようになると壁紙の模様がはっきりと見えるようになってくる。
毛布の端を捲り上げ、壁紙の模様に眼球を動かす筋肉を調節し焦点を合わせると、カメラの中でピントが合うように像が焦点を結ぶ。同時にぼんやりした頭も意識の輪郭をはっきりとさせ模った。
前夜の記憶を辿るが結局記憶の終端より前は一切残っておらず、その前は見事な程完璧に消失していた。意識を奮い起こし、毛布の中で腕を回し探ってみたが、そこではケィの存在を探し当てられなかった。バス・ルーム方からも音は聞こえない。テレビや音楽の音も無い、部屋は静寂し、公園の子供の声が壁に反響しているだけだ。
体の奥に残る不思議な感覚は、ゆっくりと波打つように広がり全身へ広がっていく。むず痒くどんよりと気持ち良く、そして失いたく無いそんな感覚だった。生まれて初めてコテージで体験し、そして同じように部屋で体験した。
何故そして何処からそんな感覚がやって来たのか理由がわからない。共通する事はその相手がケィという事だけだ。ワインや飲み物に何か仕掛けがあるのか?それとも神経組織を刺激する特殊な香水や香りの出る物を身に着けているか、ケィがどんな魔法を使っているのか知りたかった。
気だるさを振り切って起き上がる。毛布をめくると何も身に纏われていない体が遠慮なく現れる。バックルを外されシャツを脱がされた記憶がかろうじて残っていたが、裸になってベッドに入った記憶は無い。前夜の事がますます気がかりになり、それに増して姿の見えないケィがどうしているのか心配だった。
枕元とシーツに隙間には忘れられた長い髪の毛が何本か挟まっていた。ケィの髪の毛に違いない。そこに居たという事実を明確に示していた。まだ温もりが人を模ってそこにあるような気もして仕方がなかった。それは間違いなく単なる思いでしかない。ケィがそこに居ない事は明白だ。
バス・ルームでバス・ローブを羽織リビングやキッチンと客間を探したが姿は見え無かった。怒って帰ってしまったのか……嫌な思いが先に立った。キッチンへ戻り未だに火照っている体を鎮めるために冷凍庫から出した氷をコップへ入れ、炭酸水を注ぐ。
中で泡がはじけそして消えていくのをじっと眺めた。溢れ上がりそして消えていく泡をじっと見ていると、ケィを思うがそこには居ない事を改めて実感する。
泡が完全に消えてしまわないうちに、口へ含み一気に胃の中へ流し込んだ。口の中で爽やかに泡がはじける感触で改めて朝が来た事を実感する。
グラスを置こうとテーブルを見ると、メモ用紙がジャムの瓶の下に窮屈そうに挟まっていた。持ち上げ見ると。手書きで何かが書かれていた。
「おはよう、よく寝ているので起こさずに帰ります。午後友達と約束があるの。冷蔵庫にサンドウィッチを入れてあるので食べてね。どうせ起きるのはお昼頃でしょう。楽しかったわ、じゃ、後で連絡するわ」
メモにはそれだけ書かれていた。小さく丸めてバスケット・ボールでシュートを狙うようにゴミ箱へ投げ込み、PCのスイッチを入れて小さな音でスローな音楽を流した。壁の時計をみると二つの針は一番高い所で一つになろうとしていた。
エスプレッソを入れ、ロースト・チキンとサラダを挟んだ美味しそうに出来たサンドウィッチを冷蔵庫から出して口に入れた。そうしている間も記憶を辿ってみたが、ソファが最後の記憶だった。以降の記憶は鋭いナイフで切り落とされた肉片のように、スッパリと綺麗に切り落とされていた。
空いた皿と、カップを流しへ入れると、クローゼットから前週に買った新しいトレーニング・ウェアを引っ張り出し身に着けた。柔らかく通気性の良い生地は無理なく体に馴染み、さらりとしている。伸びてだらしない髭が気になったが、走っている間そんな所を見る人は居ない筈だ。
メモリー・プレイヤーをセットし、サングラスをかけて履きなれたトレーニング・シューズへ足を通すと、秋の風が吹く青空の下へ飛び出した。秋の始まりとは言え午後の太陽は差し込むように痛かったが、秋の風が運び去ってくれる。いつものように川沿いの道に出る。
いつもその道を走る見たことのあるランナーとすれ違う。芝生に囲まれた真直ぐな道が海へ向かって何処までも続いていた。一歩一歩進むうちにやがて頭の中は空っぽになり体が風と一体になる。そして海へ伸びた道の先を目指してスピードを上げた。
えーと、イワシのフィルタを新しく設置しました。イワシは水槽内を元気に泳ぎ回っています。元気です。
いつもの様に走りました。7.2Kmです。中途半端な距離ですが足場の関係で仕方が無い。昼間に外を気持ちよく走りたいっす。でも、たまには別のスポーツもね。
……明日はアキバへ買い物行きます、何を買うかって・・秘密っす。