「ルーム233」


これは夢かな・・ルーム233の前に立っていた。 ドアの左横にはルーム233と書かれた札が張ってあり、上部の壁には別の数字列が表示されていた。


room2

クリーム色のドアには小さな窓がついていて、その窓からルーム233の中を見ることができた。ドアは無機質なクリーム色のペンキで塗られている。


ドアノブがなく、どうして開けたら良いのかわからない。のっぺりとしたそのドアは壁の一部のように存在を隠しているよに見えた。 部屋の存在を隠すかのようにドアも自身の存在を隠しているのだ。


それでもそこがドアとわかるのは、下から3/4位の位置に空けられた覗き窓と「Room233」と窓の上に貼り付けられた金属の部屋番号のおかげだ。

ルーム233の前には、ルーム232もないし、後ろにまルーム234も無い。だいたいこの場所ではどちらが前でどちらが後ろといった概念がない。


勿論、上下の区別はある頭の付いている方が上で無い方が下のなのだ。立っている側から小窓のガラスを通して見えるルーム233は暗かったが、壁が一面オレンジ色に塗られた暖かい部屋のように見えた。


机や椅子のような家具は無い。部屋の中には壁と床と照明だけが存在するだけだ。人影も無く、無機質な四角い容器がけがそこに存在を主張していた。

ルーム233を見ていると、そこは帰るべき場所なのだ・・と思えてしまった。ルーム233そこが故郷なのだろうか?そんな筈はない、自分の生まれた場所くらい覚えている。


改めて自分の生まれた場所を考えてみたが思い出せない。過去はあるはずだったが、生まれた場所の記憶がすっぽりと抜け落ちていた。


失われた記憶は生まれた時の事だけなのだろうか、順を追って考えようとしたが頭に痛みが走り、考える事ができなかった。


諦めて考えるのを辞め目の前にあるドアを押してみた。巨大の石像を押した時の様にびくりとも動かない。その場所の時間がうまく流れていないようにも感じる。


叩いてみたが、動くどころか反響もしない。全ての音はどこかに吸収されどこかへ消えていった。ドアが全てを拒絶するかのように、黙殺してしまっているかのようだ。


誰からも見てもらえず、誰からも話も聞いてもらえず、誰からも何も与えらない。 ルーム233はそのような場所の入り口なのだ。


突然ガチャリというギアが回転するような音がドアの上部から聞こえた。音の方を見るとドアの上に張られた番号が1だけ進んでいた。まるでそれは扉を開けようと試みた人をカウントしているようだった。


人々は何故ルーム233の扉を開けたいと思うのでしょうか?ルーム233の中にはこちら側と違う世界があるのでしょうか?


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あなたも明日夢の中でルーム233の前に立つことができたら、ドアを叩いてください。そしてドアを開ける方法を探してください。 そうする本当の意味はわからないが・・


ルーム233・・明日また来てみよう・・深い眠りの夢の中でドア