「刑事」

「もう、指紋は摂ったのか・・?」

刑事は鑑識にそう尋ねた。鑑識は、指紋のついた台紙の束をその刑事に渡した。台紙の左上には丸いパンチで空けた穴に金属でできたリングが通してあり束ねられている。まるで英単語を覚える単語ノートのようだ。

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刑事は「いままで出遭ったことも無い位の難問」と言うような難しい顔をして、その台紙をペラペラとめくる。

台紙には人間の指の指紋の他に、顔のコピーやら鼻の穴の形状を写し取ったもの、猫の手の指紋、犬の鼻の心電図等の写真が張ってある。
「これだ・・」

刑事はインコの指紋の台紙を、台紙の束の中から1枚はずし取ると、鑑識に渡した、

「こいつだ、直ぐ手配しろ..」

と重々しく命令する。鑑識はそれに応えるように、

「はっ」

と返事をして刑事に向かって敬礼をすると、机に置かれたコンピュータを使ってそのデータを直ぐに本部へ送った。キーボードを叩く音がカタカタと鳴り響き、データが直ぐに本部へ送信される。
しばらくすると一羽のインコが、別の刑事に連れられてやってくる。うな垂れ元気のない表情(インコに表情があるとすれば)だ。

足には鉛でできたボールがチェーンと繋がれ足枷がしっかりとはめられていいて、きっと自分で歩くことも飛ぶこともできないのだろう。刑事はインコに向かい机を平手でたたいて、

「おまえがやったんだな?」

と問い掛ける。インコはその小さな目から大粒の涙を流しているが、手がないので涙を拭くことができない。羽でその涙の粒を拭いても、そのキッスイ性の高い羽でははじかれてしまうのだ。インコは答えなかった。
「証拠はあがっているのだ」

刑事はそう言うと、インコに1撃を与える。インコは避けようとするが鉛でできたボールが重く上手く避ける事ができない。別の刑事が言う。

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「警部・・動物愛護団体が・・」

一撃を与えた刑事の目からも大粒の涙が流れ落ちる。そして言う・・

「こいつのせいだ・・」

刑事の指と心には大きな傷が残った・・・そしてそれを見たインコは高々と笑ったのである。

「コケコッコー!」

はて?一体、何の事件だったのだろう・・?