「THE MIRROR」
その部屋は薄暗く、ぼんやりとしか回りを見ることしかできない。光が少ないので壁の色もはっきりとはしない。z全体は暗く隅まで見渡せない……。
うっすらと部屋を映し出す光は何処からはいってくるのだろうか……?内部がぼーとした淡い光を発生しているような感じだった。
部屋の中心と思われる所で体を回して全体を見回してみると、1辺が10メートル程だった。窓も扉も作りつけられてはいない。
正面の壁面には小さな縦50センチ横40センチ程の長方形の鏡が、視線の位置に取り付けられていた。
自分が動くと鏡に反射した姿が動くので鏡の存在が遠くからでもよくわかった。自分以外で動いて見える唯一の存在だからだ。
鏡の中の自分は、ハムスターが巣箱の中で休み無く動き回るように、鏡の向こう側で同じように動いているように見えた。
次第に全体が明るくなり、隅々まで見渡せるようになった。室内には鏡と自分以外には何も無い……。
悲しみや希望などの実体のない物も含め、鏡と自分以外の全て存在が部屋から拒絶されているようだった。
体の一部分でさえ一旦切り離されてしまうと消えてしまいそうである。自分と鏡へ繋がる事が存在をつなぎ止めて、その場所に留まる唯一の方法なのだ。
意識も同様に自分から切り離してしまえばその場所には居られない。しっかりとつなぎ止め、船が岸壁に停泊するように、とも綱と共に自分の肉体の内部へつなぎ止めて置かなければ、海の彼方へ漂流して二度と肉体へ戻る個事ができず、自分の意識として認識する事ができなくなるのだ。
鏡の方へ1歩2歩と近づいてみる。鏡の中に自分がいた。動くと鏡の中の存在も動く、何の不思議も無い・・鏡なのだから。さらに1歩2歩と近づいて覗き込むと、中の背景は部屋ではない事に気づく。
驚き振り返って後ろを見るが、先ほどとは何も変っていない、同じ無機質な部屋の壁があるだけだ。
壁の色は薄い黄色のように見える……いや、色は部屋の光彩により変化しているので、本当の色でないのかもしれない。
再び視線を鏡に戻す、やはり自分と別の風景は、コンピュータが作った合成画面のように鏡の中に映し出されていた。背後の風景は見たこともない場所だった。砂漠を思わせる赤い砂が広がっていた。
もう一度振り返るが、そこは普通の部屋だった・・鏡に目を戻す・・背景は雪の積もる平原に変っていた。
瞬きをすると、その瞬間にはもう次は緑の生い茂る平原に変っていた。
「背景は固定されていない……のだ」
鏡に近づき手で触れてみる、液体のように柔らかい、指をつけると波紋が鏡全体に広がり映し出されていた物がゆらゆらと、波にゆられる船のようにゆっくりとゆれるのである。
それは自分の顔を移す部分へも広がっていった。波紋はゆっくりと鏡の中を揺らしつづけ止める事ができない。やがて背景が揺れに従って溶けるように流れ落ちてしまう。
映し出された自分の顔も次第に崩れだす、次第に大きくなり次々と中のものが崩れ落ちていく。
背景も自分も、鏡の中の全ての物が崩れてしまうと、鏡は普通の鏡に戻る。しかし映し出されているのは、先ほどの背景ではなく、あの部屋の背景だった。
そして、その場所には知らない誰かが鏡を見つめていた・・表情の無い平板な顔がこちらを見つめていた。
その意識はまだ自分の物なのだろうか・・どうしてこんな夢をみるのだろう?
暑くなりました。夏らしいです。
「THE MIRROR」
その部屋は薄暗く、ぼんやりとしか回りを見ることしかできない。光が少ないので壁の色もはっきりとはしない。z全体は暗く隅まで見渡せない……。
うっすらと部屋を映し出す光は何処からはいってくるのだろうか……?内部がぼーとした淡い光を発生しているような感じだった。
部屋の中心と思われる所で体を回して全体を見回してみると、1辺が10メートル程だった。窓も扉も作りつけられてはいない。
正面の壁面には小さな縦50センチ横40センチ程の長方形の鏡が、視線の位置に取り付けられていた。
自分が動くと鏡に反射した姿が動くので鏡の存在が遠くからでもよくわかった。自分以外で動いて見える唯一の存在だからだ。
鏡の中の自分は、ハムスターが巣箱の中で休み無く動き回るように、鏡の向こう側で同じように動いているように見えた。
次第に全体が明るくなり、隅々まで見渡せるようになった。室内には鏡と自分以外には何も無い……。
悲しみや希望などの実体のない物も含め、鏡と自分以外の全て存在が部屋から拒絶されているようだった。
体の一部分でさえ一旦切り離されてしまうと消えてしまいそうである。自分と鏡へ繋がる事が存在をつなぎ止めて、その場所に留まる唯一の方法なのだ。
意識も同様に自分から切り離してしまえばその場所には居られない。しっかりとつなぎ止め、船が岸壁に停泊するように、とも綱と共に自分の肉体の内部へつなぎ止めて置かなければ、海の彼方へ漂流して二度と肉体へ戻る個事ができず、自分の意識として認識する事ができなくなるのだ。
鏡の方へ1歩2歩と近づいてみる。鏡の中に自分がいた。動くと鏡の中の存在も動く、何の不思議も無い・・鏡なのだから。さらに1歩2歩と近づいて覗き込むと、中の背景は部屋ではない事に気づく。
驚き振り返って後ろを見るが、先ほどとは何も変っていない、同じ無機質な部屋の壁があるだけだ。
壁の色は薄い黄色のように見える……いや、色は部屋の光彩により変化しているので、本当の色でないのかもしれない。
再び視線を鏡に戻す、やはり自分と別の風景は、コンピュータが作った合成画面のように鏡の中に映し出されていた。背後の風景は見たこともない場所だった。砂漠を思わせる赤い砂が広がっていた。
もう一度振り返るが、そこは普通の部屋だった・・鏡に目を戻す・・背景は雪の積もる平原に変っていた。
瞬きをすると、その瞬間にはもう次は緑の生い茂る平原に変っていた。
「背景は固定されていない……のだ」
鏡に近づき手で触れてみる、液体のように柔らかい、指をつけると波紋が鏡全体に広がり映し出されていた物がゆらゆらと、波にゆられる船のようにゆっくりとゆれるのである。
それは自分の顔を移す部分へも広がっていった。波紋はゆっくりと鏡の中を揺らしつづけ止める事ができない。やがて背景が揺れに従って溶けるように流れ落ちてしまう。
映し出された自分の顔も次第に崩れだす、次第に大きくなり次々と中のものが崩れ落ちていく。
背景も自分も、鏡の中の全ての物が崩れてしまうと、鏡は普通の鏡に戻る。しかし映し出されているのは、先ほどの背景ではなく、あの部屋の背景だった。
そして、その場所には知らない誰かが鏡を見つめていた・・表情の無い平板な顔がこちらを見つめていた。
その意識はまだ自分の物なのだろうか・・どうしてこんな夢をみるのだろう?
暑くなりました。夏らしいです。
