ナレーション

人は、自分の変化に一番気づかない。

特に——
それが自然な場合。


ぞなもし
「みあ〜」

既読なし


ナレーション

いつもならすぐ返ってくる。


ぞなもし
「…あれ」


ナレーション

ほんの少しのズレ。


ぞなもし
「まぁいっか」

(スマホ置く)

(数秒後また見る)


ナレーション

“まぁいっか”は、だいたい嘘だ。


ぞなもし
「…遅いな」


ナレーション

気にしている。

だが本人はまだ——
認めていない。


(少しして返信)

mia
「ごめんちょっと離れてた」

ぞなもし
「おかえり」


ナレーション

この一言。


ぞなもし
「…」


ナレーション

なぜか少し、安心する。


ぞなもし(心の中)
「なんだこれ」


ナレーション

説明できない感覚。


(別の日)

???
「それやるね!」

ぞなもし
「…」

(少し考える)


ぞなもし
「ごめん、みあ先で」


ナレーション

選んでいる。

無意識に。


ぞなもし
「…」


ナレーション

違和感。


ぞなもし(心の中)
「前こんなんだっけ」


(さらに別の日)

mia
「今日ちょっと疲れた」

ぞなもし
「そっか」

(少し間)


ぞなもし
「今日は付き合う」


ナレーション

自然に出た言葉。


ぞなもし
「…いや」


ナレーション

ここで少しだけ考える。


ぞなもし(心の中)
「なんで俺こんな優先してんだ」


ナレーション

理由を探す。


ぞなもし(心の中)
「まぁ…楽だからか」


ナレーション

違う。


ぞなもし(心の中)
「話しやすいし」


ナレーション

それも違う。


ぞなもし(心の中)
「…まぁいっか」


ナレーション

逃げた。


(少しして)

mia
「ありがと」


ぞなもし
「いいよ」


ナレーション

その一言で——


ぞなもし(心の中)
「…なんかいいな」


ナレーション

確信にはならない。

でも——


ぞなもし(心の中)
「これ続けばいいな」


ナレーション

願っている。

無自覚に。


ナレーション(締め)

ぞなもしはまだ知らない。

これは“優しさ”じゃない。


ただの習慣でもない。


もっとシンプルで、
もっと厄介なもの。


それでも彼は考えない。

考えた瞬間——
関係が変わると、どこかでわかっているから。