ナレーション
ぞなもしは考えていた。
なぜ自分は——
こんなにmiaといるのが楽なのか。
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ぞなもし
「みあってさ」
mia
「なに」
ぞなもし
「なんかちょうどいいよね」
mia
「雑」
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ナレーション
語彙が足りていない。
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ぞなもし
「いや褒めてる」
mia
「どこが」
⸻
ナレーション
説明を求められると弱い男。
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ぞなもし
「まずさ」
mia
「うん」
ぞなもし
「無理してこないじゃん」
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ナレーション
これが一番大きい。
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ぞなもし
「変に盛らないし」
mia
「盛るってなに」
ぞなもし
「なんか…よく見せようとしない感じ」
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mia
「めんどくさいだけ」
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ナレーション
本人はそう言う。
だが——
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ぞなもし(心の中)
「それが楽なんだよな」
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ぞなもし
「あとさ」
mia
「まだあるの?」
⸻
ぞなもし
「ちゃんと見てるよね」
mia
「なにを」
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ぞなもし
「人のこと」
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ナレーション
軽く言ったつもりだった。
でも——
⸻
mia
「…」
⸻
ナレーション
少しだけ、間が空く。
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ぞなもし
「いや別に深い意味じゃなくて」
mia
「あるでしょ」
⸻
ナレーション
バレている。
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ぞなもし
「なんかさ」
mia
「うん」
ぞなもし
「ちゃんとタイミングわかってるじゃん」
⸻
(回想)
mia
「それ以上はダメ」
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ナレーション
踏み込んだ時、止める。
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(回想)
mia
「無理しなくていいよ」
⸻
ナレーション
引いた時、寄せる。
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ぞなもし
「バランスうまいよね」
mia
「適当言ってない?」
⸻
ナレーション
適当ではない。
ただ——
言語化が追いついてない。
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ぞなもし
「あとさ」
mia
「多いな」
⸻
ぞなもし
「一緒にいて疲れない」
⸻
ナレーション
シンプル。
でも——
一番難しいこと。
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mia
「それはいいこと?」
ぞなもし
「めちゃくちゃいい」
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ナレーション
本音。
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ぞなもし
「だからさ」
mia
「うん?」
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ぞなもし
「優先しちゃうんだと思う」
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ナレーション
やっと出た。
核心に近い言葉。
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mia
「…」
⸻
ナレーション
miaは何も言わない。
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ぞなもし
「まぁ無意識だけど」
⸻
ナレーション
最後で全部台無しにする男。
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mia
「無意識なんだ」
ぞなもし
「うん」
⸻
ナレーション
本当に無意識。
だからこそ——
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mia
「…そっか」
⸻
ナレーション
少しだけ、引っかかる。
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ぞなもし
「でもさ」
mia
「うん?」
⸻
「一緒にいるの普通になってるの
みあくらいだよ」
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ナレーション
それは——
かなり特別な言葉。
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mia
「…」
(少し目をそらす)
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ナレーション
褒められている。
でもそれ以上に——
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mia(心の中)
「それって…」
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ナレーション
まだ名前はつけない。
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ぞなもし
「まぁそんな感じ」
mia
「雑」
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ナレーション
ぞなもしは気づいていない。
自分が何を言ったのか。
だが確実に——
“ただの安心”では説明できない何かが、
そこにはある。