ブログネタ:怖かった漫画・映画 参加中俺は自他共に認めるホラー映画好きだけども、じゃあ今までで心から怖かったホラー映画はどれだけあるかってーと、実はほとんど無いんですな。
理由は簡単、映画は基本的に作り物だから。
良い作品、良いシーン、それは沢山あるんだけども、あくまで作り物である 『作品』 として観てるから、怖い映画として評価したとしても、それは出来不出来の話でしかない訳だ。
「良く出来てました」 って意味での 「怖い」 は、感情的なガチの怖さとは別。
だから、作り物である映画で、本当の意味での怖さは滅多に感じない。
とか言いつつ、一つだけガチで怖くてトラウマになってる作品がある。
その作品こそ、1976年のオカルティックホラー 『オーメン』 。

悪魔の子・ダミアンの名前、666の数列、ホラー映画ファンじゃない人にも知られてる代表的なホラー作品。
ホラー映画好きを公言しつつも、俺はオカルト系ホラーをあんまり好ましく思ってなくて、キリスト教大前提の価値観で作られたホラーは、観てると興醒めする事が大半。
ただ、エクソシストとかオーメンなんかは例外で、露骨に宗教色を出してくれてると、キリスト教信者でない側にとっては非常に解り易い。
「ああ、聖水には弱いんだな~」 とか、「祈りの言葉には苦しむんだな~」 っていうお約束も理解出来るし、善悪の立ち位置も明確だから、比較的シンプルな関係性とか展開を楽しめる。
要するに勧善懲悪なんだけど、ホラーだと必ずしも正義が勝つ訳じゃないから皮肉さもある。
んで、オーメンはリメイクもされてそっちも観たんだけど、やっぱりオリジナル版のインパクトには到底及ばない代物だった。
まぁ、俺にとってオリジナル版がトラウマ作品だからってのもあるんだろうけど。
オーメンは串刺しシーンとか首チョンパシーンが有名だけど、俺がトラウマになったのはそこじゃなくて、乳母の公開首吊りシーン。

ガキの頃から映画好きでジャンル問わず色々と観てたけども、こんなにショッキングなシーンは他に無かったね。
「ダミアン!見て!」 と叫び、嬉しそうに自ら首吊り死する乳母。
もうね、それはそれは怖かった。
叫ぶ言葉も表情も喜びのそれなのに、行動は首吊りっていう違和感。
そのギャップがとにかくゾッとさせるんだよね。
しかも、派手に流血して大パニックとかじゃなく、行為自体は淡々としてて妙に生々しい。
そのバランスが絶妙に恐怖を演出してるんだな、あのシーンは。
子供ながらに 「この人はダミアンに自分を生け贄として捧げたんだ」 ってのも解ったから、自爆テロなんかにも通じる自己犠牲の怖さみたいなのも同時に感じた。
たかだかの短いシーンで派手さもないんだけど、インパクトは絶大。
やっぱり最強の恐怖は、生きてる人間の言動に基づいたもんなんだろうなぁと。
悪魔なりモンスターが人を殺すよりも、普通の人が普通に人を殺す事の方が、種として本能的に恐怖を感じるんだろうね、きっと。
まぁ、とにかく、数多の映画の中でも 「怖かった!」 と明言出来るのはオーメンぐらい。
他にも怖い映画はあるけど、総体的評価だとズバ抜けてる。
漫画で怖かった作品は、映画よりよっぽど多いと思う。
なんでかってーと、漫画は映画と同様に視覚的な効果として怖さを感じさせるけど、映画と違ってリアル要素が絶対的に不足してるから。
動かないし基本的に色も付いてない漫画ってのは、そのコマごとの隙間を読者の想像力に委ねるもの。
つまり、動きや音、ニオイに至るまで、脳内で五感をシミュレートさせるのが漫画の凄いところで、絶対的に個人差のある感覚ってのをちゃんと補填してくれる訳だ。
そこをもっと突き詰めれば文章のみの小説の世界なんかになっちゃうんだけど、そこまで想像力に依存させずに、絵で解り易く導いてくれるのが漫画の魅力。
映像作品が 『映るそのままを楽しむもの』 であるのに対し、漫画は 『コマごとの間を埋めて楽しむもの』 っていう部分で絶対的に違うし、受ける感覚ってのも全く違ってくる。
だからこそ漫画の方がホラー映画よりも怖いと感じる作品が多くて、それを怖いと感じさせてるのは、誰あろう自分でもあるっていう面白味がある。
さて、漫画で一番に怖かったって決められるのは無いんだけど、印象的ですぐ思い浮かぶのが幾つかある。
まずは、望月峯太郎の 『座敷女』 。

まだストーカーなんて言葉が浸透してなかった時代の作品なんだけど、これに登場する得体の知れない女ってのがまさにストーカーで、当時は作品として過剰に演出してたと思うんだけど、今の世になると、過剰というよりはむしろ生々しく現実的に見える。
まぁ、単純にストーカーの話ってだけでもないんだけどね、これは。

あと、内容はほとんど覚えてないんだけど、インパクト強かった事だけ覚えてるのが、御茶漬海苔の 『TVO』 。
今は 『恐怖テレビ』 って改題されてるそうな。

これもまた精神的に気持ち悪い作品だったと思う。
御茶漬海苔の画風ってのが妙にテーマとマッチしてるっていうか、イラスト系劇画みたいなのが雰囲気に拍車かけてた様な気がするんだよね。
まぁ、そもそも気味悪い作品ではあったんだけど。
もう一つは、つのだじろうの 『亡霊学級』 。
つのだ作品は数あれど、ある意味で一番怖かったのはあれかもな~と。

まぁ、つのだ作品と言えば、『恐怖新聞』 やら 『うしろの百太郎』 なんかの心霊モノが代表的なんだけど、あまりにも心霊ドップリなムードがある作品ってのは、読んでると怖さよりも疲れの方が際立って来ちゃうんだよね。
嫌いじゃないんだけど、ページめくりたくなくなってくるw
かと言って、亡霊学級も充分に疲れはするんだけどw

亡霊教室の印象的なエピソードは、やっぱり虫の話。
いわゆるゲテモノ系でグロ系という、趣味悪いにも程がある話w
正直、ホラー好きな俺でも虫ワラワラとかは苦手。
しかも、それを・・・いや、気持ち悪いから詳細な話はよしましょうね。
とにかく、気色悪い描写と、人間の醜さみたいな部分を取り上げたテーマの融合が怖い。
つーか、あんなもん描いたつのだじろうが怖いw
結局、怖さを突き詰めると、人間自身の中にある狂気だったりになっちゃうんだよね。
例えば鬼太郎なんかにそれほど恐怖を感じないのは、メインどころがそもそも妖怪みたいな存在で、制限も際限も無く何でもアリだから。
人間を描く時は、どうしても人間らしさっていう枠組みに縛られるから、あんまり突飛な言動をすると 「これは人間じゃない」 って捉え方されちゃう訳だ。
でも、通常の人間の範囲内でおかしな言動なんかを演出すると、それは生々しく怖いんだよね。
人類以上の力や能力を持つ存在よりも、読み手と同種である人間の方がよっぽど脅威に感じるってのは、怖さを語る上で欠かせないポイント。
「こんな奴居ねぇよ」 って感覚と、「でも、居ないとは限らないか」 っていうギリギリの辺りを攻められると、人間は一番怖さを感じる生き物なんだと思うね。