なうでアレしたんでわざわざ書くまでもない話ではあるんだけど、今回はとある映画を酷評してみたいと思います。
ハィ、酷評です。
情け容赦なく斬りますよ、それが俺なので。
あ、ちなみにネタバレ含む記事になるであろう事はあしからず。
では早速。
ゆうべWOWOWで 『パラノーマル・アクティビティ』 シリーズの一挙放映をしてたもんで、既に観てた1作目以外の二作品を録画しまして、先ほど二連チャンで観ました。
一つはパラノーマル・アクティビティのシリーズ続編となる 『パラノーマル・アクティビティ2』 で、もう一つは日本版の続編という変な位置付けにある 『パラノーマル・アクティビティ 第2章 TOKYO NIGHT』 という作品。

パラノーマル・アクティビティ2
原題:Paranormal Activity 2
製作国:2010年 アメリカ
監督:トッド・ウィリアムズ
まずは正規の続編となるパラノーマル・アクティビティ2ですが、結論から言うと 「あぁ、やっぱこのパターンなのね。 ハィ、失格~。」 です。
同様の残念感は、スペインのホラー映画 『REC/レック』 の続編でも感じたもの。
まぁ、お国柄としては仕方無い着地点ではあるとも言えるんだけど、「またそれかい!」 なんですよ、観てる側からすると。
さて、この辺りからもうネタバレするんで、知りたくない方はとっとと閉じましょうw
え~、今回のパラアク2、そしてREC2でも感じた残念感と言うのはですね、いわゆる宗教観の違いが根底にあるんですよ。
つまり、その作品が作られた国の主な宗教観が反映されたホラー要素ってやつです。
パラアクはアメリカ、RECはスペインの作品だけども、どちらもキリスト教が根付いてる国。
たかが宗教とナメる事なかれ、キリスト教辺りの超巨大宗教組織ともなれば、国家を易々と動かせるほどの絶大な力があるんでね、その国に根付いてる宗教ってのはあらゆる面で強い影響力を持つ恐ろしいもんなんです。
んで、キリスト教が根付いてる国ってのはですね、ホラーとなると必ずってほどオカルトを持ち出すんですよ。
つまり、神父だの、十字架だの、神の啓示だの、悪魔祓いだの・・・とね。
神だ天国だを信じてる人が大半のお国柄としては、「得体の知れないもんを倒すのは最終的に神じゃなきゃいけない」 っていう暗黙的且つ絶対的なルールがあるんですな。
要するに、神こそが絶対なんです。
という事は、その前提があるだけで、いくら話が良く出来てても最終的なオチ・・・落としどころは決まってるんです。
神が勝つという勧善懲悪ありきだから、神父だの霊媒師だのが 「あぁ、神よ・・・我らが父よ・・・」 とか言い出した時点で、何らかの形で最終的には神の側が勝つんです。
言わば出来レースですよね。
そんな話、面白味に欠けるに決まってんじゃないですか、オチはバレバレなんだから。
まぁ、何が言いたいかって言うとですね、そういった宗教観バリバリな話ってのは、ホラーとしてもう半分ぐらい破綻してるって事です。
いや、それが 『エクソシスト』 みたいに真正面からオカルトをテーマにしてるもんなら全然OKですよ?
あれは最初から悪魔憑きを神父が祓う話だから全く問題ない。
けど、パラアクとかRECって違うんですよ、そもそものテーマが。
ある時から霊現象が起こり始めたとか、突然ゾンビが湧いてきたって話のはずなのに、唐突に宗教的な方向に走り出して 「悪魔め! 立ち去れー!」 となる・・・どんだけアホかと。
結局、彼らには宗教が絶対的すぎて、その価値観での答えしか出せないんですよ。
極端な話、幽霊が出ようが、ゾンビが出ようが、鬼が出ようがゴキブリが出ようが、何日も便秘だったブツが一気に出ようがw、それら全部を彼らは 「悪魔の仕業」 と言い、「神の導き」 にしてしまうんです。
偶像への完全なる依存がそこにあるもんで、全てそこに結び付けないと気が済まない。
しかもそれは全く都合が良い訳で、良きも悪きも神を持ち出せば成立してしまうんですな。
それをクソと言わずに何と呼びましょうか・・・と。

今回観たパラアク2、まさにそのクソなんですよ。
1はまだ怪現象の正体をぼかしてたからマシだったけど、今回の2は完全に悪魔出してきましたからね。
「全ての元凶は悪魔だ」 としてしまったらもう詰みです。
今後、シリーズをいくら続けても着地点変わんないでしょ。
何でも出来る絶対権力を持った存在のアイコン、『悪魔』 を敵に据えたら、一切合切なぶり殺しにされるか、あるいは神に救いを求めるかの二択のみ。
そんな広がらん話の何がおもろいっちゅうねん・・・アホすぎるわ。
まぁ、これが洋物ホラーの致命的な部分なんですよ。
昔みたいにモンスター系を量産してた頃はまだそれなりの面白味もあったんだけど、 『リング』 やら 『呪怨』 に触発されて始まった今の流れってのは、明らかに海外じゃ無理があるんです。
宗教観が極めて稀薄な日本だからこそのホラー要素ってのがあって、それを外人は理解出来ない。
んで、日本人監督とかの多くは、海外ホラーに感化されすぎて日本特有の怖さってもんに対するリスペクトや愛が無い。
どっちもアホです、俺に言わせりゃ。
とにかく、パラアク2は1からの流れ的に 『心霊現象をリアルに再現したホラー』 というテーマがあるはずなのに、そこにいきなり悪魔というオカルトを持ち出して、それまでのリアリティを一気に台無しにしてるという残念な作品です。
メシに掛かってるからカレーだと思ったのに、食ってみたらウンコだった・・・的な残念感ねw
キリスト教徒だけ怖がってりゃいいよ、ボケナスめ!・・・と、そんな作品でした。

パラノーマル・アクティビティ 第2章 TOKYO NIGHT
製作国:2010年 日本
監督:長江俊和
さて、次。
俺がボロクソに酷評したかったのはむしろこっちで、アメリカ発のパラノーマルシリーズながら、なぜか無理矢理に日本を舞台にして作られた日本版続編となるTOKYO NIGHT。
これはね、もう笑っちゃうぐらい酷いスタートですよ、まったく。
映画始まって5分、俺は既に半笑いでしたw
よくもまぁ、ある意味で期待を裏切らない駄作を作ってくれたもんだとねw
まず気になったのは、開始早々のデジカム自画撮りシーン。
カメラごと鏡に映して 「買いたての新しいカメラを初めて使ってみてまーす」 的なお約束シーンがあるんだけど、そこからもうリアリティが無さすぎるのね。
この日本で・・・優秀な技術力であらゆる機械類を小型化してるこの日本で、あんなデカいカメラを大した理由も無く個人で買うバカは居ねぇよw
常識的に考えて、なんとなく買うなら家庭用の手のひらサイズだろ、フツー。
ちょっと上のグレードのを買うにしたって、あんなあからさまに 「映画撮りますよ!」 みたいなカメラを絶対に素人は買わない。
もし、あのカメラを出す必然性があるんだったら、たまたま映画関係の仕事をしてるとか、映研の学生だとか、余り違和感を感じさせない相応の理由をしっかり劇中で語らせないとダメですよ。
序盤も序盤から 「おいおい・・・」 と思わせるのは、余りにもお粗末。
そもそも、わざわざカメラを紹介するシーンが必要だったのか?・・・っていう。

んで、その流れでアメリカ帰りの姉を迎えに出るシーンがあるんだけども、カメラがブレまくってるんですよ、移動中に。
そこでまた、「おいおいおいおい・・・」 と当然なってしまう訳です。
どう見ても高級なプロ仕様のカメラで、手振れ補正も付いてないとかあり得んだろ、今時。
POV作品だけに、いかにもな手持ちカメラの雰囲気出したいのはバレバレに解るけど、そういう小細工でリアリティを犠牲にするのは本末転倒。
「どうだ、細かい演出してるだろー」 と自慢げにしてそうな作り手の意図は見えるけど、それだけに酷く間抜け。
こだわるべきはそこじゃねぇだろ感で若干イライラしましたよ、まだ開始3分程度なのに。
次に、主要キャストが三人(姉、弟、父親)登場して会話するんだけど、違和感が凄いんだ、これまた。
最初は演者がド下手なだけかとも思ったんだけど、どうもそうじゃないんだな。
あれは完全に脚本が悪い・・・悪すぎるほど悪い。
要は、セリフの言い回しとかが不自然なんですよ、ドキュメント的なナチュラルさが絶対条件のはずなのに。
中盤まではわりとセリフのあるシーンも多いんだけど、基本的な脚本の酷さでどんどん作品との距離感が遠くなる。
感情移入させる気が全く無いなら別だけど、モキュメンタリーでそれはありえんからね、単純に本書きがド素人なんだなぁ・・・と。
まぁ、その酷い脚本も監督が手掛けてるそうですが・・・。
あと、そんなに出番は多くないけど、一応は主要キャストの父親。
この父親役の役者だけ、明らかにセリフの表現がオーバー気味な舞台演技なの。
いや、通常の映画とかドラマならさほど気にならんのかも知れないけども、この作品はあくまでモキュメンタリーで、映像は 『素人が撮った一般家庭の様子』 って設定なんでね、変に気合い入れて芝居しちゃったら浮きまくるさ、そりゃ。
だから、そんな演技も相まって、尚更に作品との距離感が遠くなってく訳よね。
どんどん冷めて引いてしまう・・・開始僅か10分程度でw
ある意味、快挙w
で、物語は父親が仕事による長期外出で居なくなり、訳アリ物件でも呪われてるでもない普通の一軒家を舞台に、姉と弟の二人がメインで進行する訳ですよ。
ちなみに、姉は滞在先のアメリカで事故って、両脚を複雑骨折して帰国したっていう設定だから、基本的に車椅子生活。
そんなまともに歩けない状態の姉が朝起きると、ベッドの傍に置いてあったはずの車椅子が、何故か窓際まで移動してました・・・と。
これはどうにも気味が悪いって事で、弟が例の高級ビデオカメラを設置して、夜中に一体何が起きてるのかを検証し始めるって話なんですな、ザックリ言うと。
まぁ、徐々に怪現象がカメラに収録されてく訳なんだけども、どうしても気になって仕方ないのが、セリフのリアリティの無さ。
姉と弟の会話ってもんをまるで知らない人間が書いたファンタジーですよ、あんなの。
風俗でしかヤッた事ない奴が恋愛を熱く語ってる・・・的な違和感とバカらしさ。
俺なんかは実際に姉貴が居るもんで、余計にその違和感を強く感じるのかも。
あと、姉の服装もいちいち小奇麗過ぎるんだよね。
両脚折って満足に動けないのに、いちいちあんな小奇麗なカッコしてませんよ、世の人々は。
あちこちほつれたり穴が開いたりしてるジャージとかスウェットだよね、部屋着なんて大体。
怪我でまともに動けないとなれば尚更そうなるはず。
ってか、両脚複雑骨折のわりに、生活してるのは二階の自室って何?・・・バカなの?w
メシとかいちいちダイニングまで降りて来て食ってるし、寝る時だけ自室に戻ってる風でもない。
仮に片脚使えないだけだって面倒で大変なのにさ、その辺りのリアリティに全然配慮が無いのは、極めて手抜きレベルで呆れるしかない。

唯一マシなシーンを挙げるとすれば、姉弟が食事中に口ゲンカをする場面。
あの言い合いはわりとリアルさがあったけど、恐らくは細かい演出をせず、ほぼ演者任せのシーンにしたんだろうなと思った。
だって、そこだけセリフの気持ち悪い違和感が最小限だったしね。
って事は、演者が役としてアドリブ演技をした結果なんだろうな・・・と。
まぁ、アドリブだって確証はないけども、ホントにアドリブだったとすれば、いかに脚本が悪いかを裏付けるシーンでもあるよね、逆を言えば。
中盤は怪現象が頻繁になって来るんだけど、話としては別に必要無いであろうシーンも多かった。
家に呼んだ友達の一人が霊感少女で、怯えながらもあれこれ指摘する・・・みたいなのはベタだけどまぁアリとして、その後の展開は全く無駄。
霊感少女が気分悪くなって理由も言わずに家を出てくとか、「やっぱ何か居るんだ~」 って客に思わせたいだけの演出よね、きっと。
御祓いのおっさんも同じ意図で出したんだと思うけど・・・要らねぇよ、どっちも。
家に何か居るのは解ってるし・・・ってか、そもそも何か居ないと始まらん話でしょ?とw
タイトルからして霊的なもんが居るのは大前提な訳だから、いちいちその確認作業を観てる側にさせる必要は無いし、ましてや二回も三回もやるなんて尺の無駄使い。
仮に気味の悪さを演出したくて入れたシーンだったとしたら、完全に的外れだよね。
あと、姉が何かに憑依された事を臭わせるシーンも無駄多すぎ。
ベランダかどっかでトリップしちゃってたけど、意味分からんよ、全然。
作り手は答え持っててやってるのかも知れんけど、受け手にその答えが伝わらないなら全く無意味。
「なんか不気味」 とか、「なんとなく怖い」 とかってアバウトな感覚の演出は、序盤だけで良いんですよ。
で、その後、アホだから十字架とか持ち出しちゃうんだよね、そこで。
本家パラアクからの流れってのを意識しての事なのは解るけど、日本が舞台なのに、そこでキリスト教的なオカルトを持ち出してどうすんだとw
多くの日本人はキリストなんて信じてませんが? 神が万物を創ったなんて微塵も思っちゃいませんが?・・・とw
まったくさ、もし劇場で観てて、目の前に関係者居たなら石投げてるトコだよ、ホントにw
十字架が落ちて、ひとりでに動いて、自然発火して・・・だから何なんですか?w
そんなキリスト教万歳なオカルト要素を唐突に放り込まれてもですね、インチキ仏教国に住む日本人には屁でもないですw
仕舞いにゃ踏み絵のシーンでも出て来んのかと思うよ、あんなの出されたらw
日本版を謳うなら、日本に属したホラーやオカルトってもんが大前提でしょ、当たり前に。
さて、後半はさほどセリフもないんで、怪現象の連発ばっかりで話は進みますが・・・とにかく何か怪異が起こったら、真っ先に部屋の明かりつけろよ!って話なんだよねw
いや、ホント、観ながら声に出してツッコミましたから、俺w、「電気つけろ、ボケ!」 ってw
しかも、怪異がどんだけ立て続いてても、夜になったらしっかり姉弟別々の部屋で寝てるしさw、二人とも仕事してる感じでも無さそうなのに、昼夜逆転生活にして安全策を取ろうとかって安直な発想すらしてないのよね。
もうどんだけリアリティ無いんだかねw
で、最後のタクシー事故だけ変にリアルで締め括るのかと思いきや、その後の安置所はまたリアリティに欠けるというw
遺体の身元確認させるのに、付き添いがとっとと引っ込んでどうするw
間違いないですね?って確認取るまでが彼らの仕事ですけど?w
とまぁ、ホントに欠点挙げたらキリが無いほどの駄作振りで、久々に呆れるホラーを観ましたw
そもそもセンスが無い人、作品テーマに愛を注げない人には絶対に映画とか撮らせちゃダメだよ、業界の権力者の方々。
ただでさえ邦画は単なる無駄遣いでしかないクソ作品だらけなんだからさ、特にホラーは。
そんな訳で、パラノーマルの酷評記事でした。
日本人でホラー愛のある大物監督はいつになったら出て来るんだかね・・・やれやれ。
※ 2015年12月 加筆・修正