久々に映画の話なんぞしてみます。
え~、今日は朝っぱらから立て続けに2本ほど録画してあった映画を観ました。
ってか、ほんのついさっき観終わったばっかりなんですがね。
どちらもWOWOWで放映したものの録画。
当然ながら、DVDじゃないんで特典映像的なアレはありません。

フライトナイト
原題:Fright Night
製作国:1985年 アメリカ
監督:トム・ホランド
最初に観たのは85年公開のフライトナイトというホラー作品。
ホラーとしては有名でして、いわゆるヴァンパイアもの。
監督は 『チャイルド・プレイ』 で有名なトム・ホランド。
85年の作品って事で、映画としてはもうかなり古いものになるんだけども、80年代はホラー映画全盛期ですからね、あらゆるホラー作品が作られてたんですよ。
で、フライトナイトはそんな作品群の中でもそこそこ話題性があった・・・と思う。(うろ覚え)
とりあえず、終盤の口裂け女ヴァンプは見覚えがあるから、わりとあちこちで写真が使われてたりしたんだろうね。

物語の方は基本に忠実というか、いわゆるベタ・・・王道って言い方もあるけど、つまりは設定に忠実なホラー映画だから安心して観てられる。
ヴァンプってこうですよ~ってな基本設定があるじゃないですか、それを外さずに作られてるって事です、要は。
まぁ、80年代の作品らしいB級テイストもしっかりあるし、全体的な遊び要素も解るんでね、俺は嫌いじゃないです。
ただ、そもそも俺はヴァンプものがあんまり好きじゃないという・・・。
ヴァンプ自体は大好きなんだけどね。

ぼくのエリ 200歳の少女
原題:Lat den ratte komma in
製作国:2008年 スウェーデン
監督:トーマス・アルフレッドソン
2本目に見たのは、スウェーデンの異色ホラー映画、ぼくのエリ。
これは公開前から目を付けてた作品で、DVD発売と同時に買う予定だったんだけど、諸々の事情があってタイミングを逃がしてた。
スウェーデンの作品って事で、物語の舞台もスウェーデンのストックホルム郊外。
まずこの舞台設定ってのがハリウッド作品との一番の違いなんだよね、実は。
お国柄ってのがあるじゃないですか。
アメリカやらイギリスなんかは大体把握してるんで解るんだけど、スウェーデンとか言われたってどんな国なのかサッパリでしょ。
国柄が違えば物語を取り巻くものが全然違う訳ですよ、特に空気感なんかがね。
その違いが良い味になってる作品も多いんだけど、情報が無さ過ぎるが故に理解に梃子摺る作品も中にはあるんでね、それはわりとポイントだったりもするんですな。
で、実はこの作品もまたヴァンプものでしてね、意識して二連チャンした訳じゃないんだけど、たまたま連続でヴァンプものを観てた訳です。
まぁ、こっちの方がずっと文学的で情緒的で素敵なホラーですがね。
ってか、比べちゃダメなぐらい違うわな、同じヴァンプものでも。
とか言いつつ、こちらもヴァンプという怪物の設定に関してはわりとベタだったりします。
陽射しが苦手だったり、寝床が棺桶・・・ならぬバスタブという狭い場所だったり、招かれずに他者の家には入れないとかね。
まぁまぁ、そもそもこちらのヴァンプは凡そ12歳の少女なんで、いわゆるヴァンプの典型であるイケメン紳士とはどうしたって同じにゃならない。

んで、物話の方なんだけども、主人公はエリという12歳の少女ヴァンパイアと、その隣家に住む12歳のオスカー少年。
この少年ってのが友達の居ないいじめられっ子で、陰気でオカルト好きでストレスを溜め込み過ぎてる素直な良い子・・・という感じ。
両親はどうも離婚してるみたいで、オスカー少年は母親と生活してるけども、連休の時なんかにはちょいちょい父親の家にも泊り掛けで会いに行ってる様子。
こういった設定はわりと多かったりするんだよね、昔から映画なんかだと。
今だからこそリアリティはあるやね、決して珍しくない家庭の事情として。
え~、色々と細かく説明するのも野暮なんでアレするけども、これはホラーでありながらもホラー映画として観るべき作品ではないね。
ヨーロッパのドラマ映画として観るべきで、ホラーは全体を構成する要素の一つに過ぎない。
ってか、ハリウッド的なホラーをホラーの定義にしちゃダメだって話なんだけどもさ。
とにかく、物凄く良い作品だし、改めて スウェーデン映画恐るべし! と思ったね、『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』 以来だけど。
劇中で気になったシーンは、エリが度々口にする 「私が女の子じゃなったら?」 というセリフと、エリの保護者であるホーカンの謎と、オスカーの父親はゲイか否かというところ。
その辺りは原作を読むとちゃんと描かれてるらしいんだけど、あくまで映画としては情報不足なんで解り辛いです。
まぁ、解り辛いながらも気になる様に描かれてるけどもね。
まず、「私が女の子じゃなったら?」 というエリのセリフについてなんだけど、それって実は後のシーンの前フリなんですよ、どうやら。
でもね、肝心のシーンはというと、自主規制だかなんだか、日本ではボカシ処理がされて確認出来ないんです。
というのも、そのシーンってのが着替え中のエリの股間のアップなんですな。
「そりゃあ映すの無理だろ~」 って単純に思うのは無理もないけども、違うんですよ? そのシーン、決して卑猥でも猥褻でもないんです。
つまり、12歳の少女の性器を映してるシーンではないんです。
勿論、映るのはエリの股間だし、着替え中をオスカー少年が覗いてしまうってシーンで、エリはノーパン状態ではあります。
「じゃあダメじゃんw」 って? いや、全然ダメじゃないんです、これが。
エリが何度か口にする 「私が女の子じゃなったら?」 というセリフ、実はそこのシーンの為の前フリでして、ここでアップになったエリの股間には、古いながらも生々しく大きな傷があるんです。
その傷の正体、男性器の切除痕なんですな、どう見ても。
つまり、エリは元々少女では無く、去勢された男子だという事で 「私が女の子じゃなったら?」 というセリフに結び付いている訳です。
でも、そこにボカシが入ってるもんで、映画のみで判断するとまるでポルノ的な想像に結びついてしまうというね・・・AVで擬似本番してもモザイク処理するからバレないってのと同じ理屈になってしまってる。
いや、AVならともかく、この作品においては物語の核心に触れる重要シーンなんですけどね、そこにボカシ入れるってのは神経質過ぎるというか・・・芸術を理解しようともしてないアホのやる事です。
他の作品ならともかく、この作品ではエリの性別ってのも重要視してますからね、明らかに。
某レビュー記事でボカシ無しの画像を見たけど、決してエロ要素のあるもんではなかったし、そもそもが切除痕なんでね、マネキンの下腹部に傷痕がある感じなんですよ。
ホント、なんでわざわざボカシ処理なんか入れたのか意味が解らない。
映画を愛する者として、非常に腹立たしい限りです。
で、次にエリの保護者的存在として登場するホーカンというおっさんなんだけども、社交性の無い無愛想な奴で、エリの為にしてる狩りも下手だって事ぐらいしか基本解らない。
ただ、このホーカンとエリがキッチンで話してるシーンがあるんだけど、そこでこの二人の関係性は全て語られてる様子。
エリは食料である血液を集めてくれるホーカンに感謝してるし、愛情がある事も示してる。
恐らく、劇中での描写は男女としての愛情があるというニュアンス。
ホーカンの方も当然ながらエリに愛情を示してるし、嫉妬と思われる言動を見せてる事からしても、エリに対する執着がハンパないってのも解る。
でも、それだけに 「結局こいつは何者?」 って疑問が残るんですな。
エリの為に殺人を繰り返して、犠牲者から血液を抜いては持ち帰るというリスキーな作業をずっとやってるんだろうけど・・・なんでそこまでする? というね。
結局、劇中から想像出来るのは、ホーカンもかつてはオスカー少年の様な存在だったのかな?・・・という事。
つまり、不老不死のエリは少女のままでも、傍に居る者は老いていずれ死んでしまうというアレです。
でもね、それにしちゃ違和感もあったんですよ、ホーカンの手際の悪さとか。
結局、これも原作ではしっかりと説明があって、実はホーカンはペドフィリア(小児性愛者)の元教師だそうな。
それはそれでリアリティある設定よね、今時。
まぁ結局、ホーカンは自分の欲求が満たされるのと引き換えに殺人を繰り返してるだけ・・・と。
それでも、映画の描写はそこまでのド変態って描かれ方はしてなくて、エリに尽くす中年男に留まってる。
最後はオスカーの父親のゲイ疑惑。
これはオスカーが父親の家へ泊まりに行った時、いかにも怪しげな雰囲気の男が突然訪れて、そんな男に対して父親が極めて気を遣った態度を取る辺りから感じたもの。
目と目で通じ合う的なトコも描かれてるしねw
そのシーンの直後、オスカーが夜なのにわざわざヒッチハイクで母親の元に帰る辺りも、怪しげな男と父親との関係がただならぬものだってのが窺える。
で、真っ先に浮かぶのはゲイ疑惑なんだけど、これもまた原作ではちゃんと書かれてて、実はこの父親ってのが極端に酒癖の悪い男らしいんですな。
怪しげな男ってのは飲み仲間で、酒飲もうぜって暗黙のやり取りが始まったもんだから、オスカーはとっとと逃げ出したって事らしいです。
なるほどね~と思うけど、劇中ではどう見てもゲイのそれにしか見えませんw

さて、こんな感じでヴァンプものを連続で観た訳なんですが、冒頭でも書いたとおり、俺はあんまりヴァンプ作品ってのは好きじゃないんです。
どうもツボに入らないんだな、昔から。
いや、全部ダメってんじゃないんだけどね、ヒット率が極めて低いって事です。
今回のエリなんかはめっちゃツボだし。
で、そんなん言いつつもですね、ヴァンパイアという存在にはわりと憧れが強くてですね・・・イケメンだからとかそういうんじゃなくw
決して不老不死が羨ましいとかでは無いんだけど、ヴァンパイアってのはモンスターのクセに色気があるんですよね、存在自体に。
欠かせないエロ要素もたんまり持ってるしw
いいな~、ヴァンパイア・・・なんてずっと思ってたんですが、今回ですね、エリを観ててハッとするシーンがあったんです。
中盤、とある登場人物がヴァンプ化してしまうんですが、そのせいで10匹ぐらい居る猫から、一斉に飛び掛って攻撃されちゃうんですよ。
なかなか面白いシーンなんだけど、それを観て 「あ・・・。」 と。
ヴァンパイアって猫に好かれないんじゃん! ダメじゃん!!!
そうなんです。
知ってる人は知っている、俺と言えば猫キチなんです。
猫に嫌われて不老不死とか辛すぎるんです。
猫という猫にめっちゃ好かれて超短命とかの方がずっと良い。
この事実はわりとショックでした。
俺はヴァンプなれないか~・・・ちくしょ~。
※ 2015年12月 加筆・修正