安田さん、何回言ったら解るんですか?
ちゃんと陳列は昔からのルールに
きちんと従って下さい
皆、おたくの事おかしいって言ってますよ
アルバイトさんにまた雑誌の並べ方で怒られた
昔と今は並べ方も違うし雑誌は粗利も低いから
もっと米飯の品出しスピードと
清掃に力を入れて欲しいんだけど
何度言っても伝わらない
お客さんの前で店員同士が言い争ったら雰囲気の悪い店と思われるのに
大手のコンビニが周りに出店して売上も下がってるのに
面白くない
家に帰るとドアの前に舞桜がいた
lineでもHPでも今日、依頼した覚えがない
驚いている僕に舞桜は左手を挙げて
ちょいーっす
あんまり連絡ないから見に来たよ
そう言った
連絡…って言っても、まだ3日くらい
僕が口にした言葉を消すように
開けてくれー
と舞桜は言った
仕方なしドアを開けると
うぎゃあ、タバコくせぇ!と叫んで
舞桜は僕の部屋へ勝手に入って窓を片っ端から開けた
ああ、ごめん
部屋汚く
僕が口にした言葉を消すように
汚いっ!カッちゃん、これは人の住む所じゃない!
そう叫ぶと上着をソファーに投げて服の裾を捲し上げゴミを集めだした
カッちゃん、ゴミ袋!掃除機は?あとコロコロも!
ああ、ああ、とゴミ袋を差し出しながらコロコロはないよと言った
コロコロないの?くっそぉと言いながら僕の手からゴミ袋を奪い取ってゴミを詰め出した
僕は身を潜めながらベランダに出てタバコを吸いながら流れる雲を眺めた
部屋の中からは
食器にカビぃ!いつから洗ってないの!カッちゃん!と叫ぶ声が聞こえた
すぐあとに掃除機をかける音がした
どうも台所は諦めたようだ
スゴスゴと掃除機で吸い終わったソファーの部位に邪魔にならないよう座ったつもりが真横でする掃除機の音になんだか落ち着いて来ていつの間にか寝ていた
カチャカチャと言う音で目が醒めた
諦めたのではなく台所の食器は後回しにしていたようだ
申し訳なくてトイレと風呂場くらいはと僕は何ヵ月ぶりかにスポンジを持った
起こした?
舞桜が風呂場を洗う僕の背中に言った
振り返らずにいや、ごめんねと言った僕に
カッちゃん仕事で疲れてるんだから寝ときなよと舞桜は言った
良い、良い、これくらいはすると言ったけれど、どうせ今からお風呂入るし、ついでに洗うからと舞桜が言うものだから手を止めてバスタオルを取りに行った
硬っ!カッちゃん、バスタオル硬いんだけど?どうやったらこんなになるの?
いや、ごめん
僕は笑いながらソファーに戻って気がつけば寝ていた
目が醒めた時シャワーの音もしないので
もう帰ったなと思ったら僕の横で舞桜は丸くなって眠っていた
なんだか安心して舞桜の上着を寝ている舞桜にかけた
僕がタバコに火を着けた時
何時?と舞桜が言った
20時…くらい
…でやあぁぁ…と伸びをして帰んなきゃと舞桜は言った
コロコロ、買って来たから
次、来た時にかけるしおいといて
芳香剤とコロコロの入ったビニール袋を指差しながら舞桜は起き上がった
ごめん、何も出来なくて
ありがとね
僕が言うと
ともだちでしょ?
そう笑顔で言って舞桜は出て行った
今日の請求額は2200円だった