枯葉剤をばら蒔いた
僕らは痛みも解らない
それはあったこと
それはあったこと
直接的過ぎて過激過ぎる歌詞を
いつもノートに書き溜めた
自分の存在価値の創造、自分と言う実感
どうにか出来ないか
それが崇にとっては歌だった
銀行員にもなれないし警察官にもなれない
パイロットにも
弁護士ならなれるかも知れないがそんなに覚えられる脳ミソは持って生まれてない
崇は歌詞とは逆に現実から目を反らすように音楽を作った
昔のバイト先の店長から貰ったパソコンに音を打ち込むには電気代を払わなければならない、その為には働かなければならない、その為にスマホを買って求人を見つけ易くした
パソコンをネットに繋ぐ事も考えたけれど派遣や日雇いの連絡はどうせ電話でしなければならない、であればネットを契約するよりもスマホが良い
生活や思考の根底がぼんやりと音楽だった
うたってみたYouTubeの投稿を見て
自分もと試みたがスマホでは余り上手くアコギの音が入らなかったのでマイクを買ってパソコンに入れたがネットに繋いでいないので結局、投稿出来ずにいた
岡田!グダグダやってんじゃねぇよ!
日雇いの建設現場でまた怒鳴られた
どんなにいかつい男に怒鳴られても崇は理不尽だと思えば言い返し最悪の場合はクビになった
我慢すれば緊張して苦しくなるが
怒る事でパニックの発作は起こらない
本当は臆病な自分へ臆病ではないと催眠術をかけるように崇は魂を剥き出して感情のまま生きた
この日もやってられるかとヘルメットを地面に叩き付けようと思ったが電気代の為に我慢して帰りの銭湯で吐いた
コンビニで電気代の支払いをして胃薬とラッキーストライクを買って飯も喰わずに睡眠薬を飲んで寝た
ある時、睡眠薬を飲まずに現場に出た時、足の震えが出て足場から落ちて怪我をした
睡眠薬には筋肉の緊張を緩和する作用もあったようでそれ以降、発作が出るまで熱中して音楽を作って2時間後に仕事の時でも遅刻を覚悟して必ず睡眠薬を飲んだ
翌朝もオンボロの軽で現場に向かった
近距離移動での車の運転は嫌いではなかった
一人で音楽を聴きながら歌いながら移動が出来るからだ
逆に例え1駅でも発作が出るので電車には乗れなかった
ある時、建設作業の休憩時間にゲームをやっている作業員が
言うよ?SDY3の788、入った?全部小文字
もう一人の作業員がスマホを見ながら言っている
なん、なんっすか、それ?
え?Vita
重いけどプレイステーションストアであいつもダウンロードしたいつってたから
ゲーム機をスマホに繋いでんすか?
ネットな?デザリング
デザリング?デザリング?って何だ?崇は早速、検索してスマホ経由でネットに繋ぐ方法と知識を得て、もしかしたら今、持っている自分のスマホにデザリング機能が付いていればパソコンの音をネットに流せる
そう思い設定画面を確認してデザリングの文字を見た時、喜びを越えて緊張が高まり発作の薬を飲んだ
その日の午後からどんな仕事をしたか覚えていなかった
崇は家に着くと生唾を飲み込みながらパソコンをネットに繋いだ
どこに何を投稿しようか胸板を破りそうになる心音を響かせながら震える手でマウスを握ったが緊張が自分の許容量を超えたので薬を飲んでセキュリティソフトを買ってからにしようと自分に言い聞かせ
その日は眠る事にした