【羽生結弦さんプロ2年の軌跡(1)】求める表現の基盤『手探り状態』から『明確に分かってきた』

  フィギュアスケート男子の五輪連覇者でプロとして活動する羽生結弦さん(29)が、プロ転向2年を迎えた。初の単独ツアー『プロローグ』や東京ドームツアー『GIFT』、2年目の『RE_PRAY』など、アイスショーでは異例ずくめの単独公演を数々成功。プロ3年目、12月には30歳を迎える節目に、2年の軌跡、今後の可能性について、語り尽くした。以下は一問一答

 

――2年間の道のりを振り返って

  本当に今まで競技者としていろんなことをストイックに考えてきました。技術面的にもそうですけども、特に勝利ということについてずっと考えてきました。それからプロになって1年目はやっぱり正直、手探り状態。これをしたらいいのかな、あれをしたらいいのかな、何をしたらいいのかな、とずっと考えながら過ぎていった1年でした。また、この1年は何か表現したいことや、自分がプロになってどういうことをしたいのかが明確に分かってきた1年になりました

 

――具体的に、明確に分かってきたものとは

  やっぱり1年目は『プロローグ』というものがありました。その中で、まずはワンマンで滑れるか手探り状態。『GIFT』も並行して作っていました。その時はやっぱり自分で物語を書きたいという思いもありました。その物語の中で、今まで見てきたプログラムたちがどういう風に、受け手側が見る心境が変わることによって、プログラムも変わるよね、みたいなことを体験してほしいと自分の中で競技時代から何となく思っていました。それが実現できたのが1年目。2年目は『Re_PRAY』で完全にアイスストーリーが形作られたというか。自分一人で滑ることが手探りとか、表現したいことを何となく物語に乗せて見る目が変わったよね、だけではなくて。ちゃんと、この物語にこういうピースが存在していて、こういう物語が伝えたいんですよ、というものがちゃんとできあがった、というのが2年目の大きなところだったと思います

 

――その流れだと、3年目もまた変わってくるか

  やっと自分がやりたいことの基盤ができあがった。ある意味では、その延長上でどういう風に自分がより表現面でもスキルアップできるか。あとは伝えるということには、やはり競技時代からずっと言っていた技術というものが基礎になっていないとレベルアップはできないと思うので。技術的にも体力的にも強化していく形が3年目になるのかなという感じはしています