伊藤美誠、パリ五輪団体戦は辞退の可能性も示唆  涙で引き際に言及『終われない気持ちも、終わりたい気持ちも』

『卓球・全日本選手権』(26日、東京体育館)

 

  パリ五輪代表選考の最終対象大会として、女子シングルス6回戦が行われた。残り1枠を争う3番手の伊藤美誠(23)=スターツ=は、Tリーグで活躍する木村香純(トップ名古屋)に3-4でまさかの逆転負け。逆転での五輪切符獲得には最低8強入が必須だったが、16強で散り、代表入りを逃した。これにより、8強進出を決めたライバルの平野美宇(23)=木下グループ=の2番手が確定し、自身初の五輪シングルスをつかみとった

 

  伊藤は試合後、コート裏の通路で涙が止まらず。壁に手を付いてむせび泣き、手で顔を抑えるなど、ショックを隠し切れなかった。この日3試合をすべてフルゲームで戦い、記者会見では『昨年腰を痛めて、気をつけていたが、正直結構体には来ていた』という故障の影響や、年末年始にせきを患い肋骨(ろっこつ)を痛み(を)抱えていたことも明かした

 

  16年リオデジャネイロでは団体戦で初出場。21年東京はシングルス代表として3種目に出場し、混合ダブルスで金、団体で銀、シングルスで銅メダルを獲得した。パリは団体戦で選出される可能性が残るが、シングルスでの日本卓球史上初の金メダルを1番のモチベーションとしていただけに、『私はずっとシングルスで優勝したいことを目標にしていて、団体戦に選出されても出場するかどうかハッキリ決まっていない』と代表を辞退する可能性も示唆した

 

  大一番が終わった直後とあって、『まずは落ち着いて、どこまでやれるかをしっかり考えたい。昔からの目標は良いところでやめたいのが1番なので、これで終われない気持ちはすごくあるんですけど、(これで)終わりたいって気持ちもある。でもいいところで終わりたいから、もう少し欲張って頑張ります』と涙で声をつまらせながら、今後のキャリアについて複雑な心中を口にした

 

  早田ひな(日本生命)と平野に加え、団体戦代表3枠目はシングルスだけでなくダブルスの相性も加味した上で、日本協会の強化本部推薦で選ばれる。伊藤が最有力となるが、19歳の木原美悠(木下グループ)か15歳の張本美和(木下アカデミー)も候補にあがる見込みだ。特に15歳の張本は世界ランクで日本勢3番手の15位につけ、昨年11月の国内選考で優勝するなど高いポテンシャルを発揮している