漫画家でもイラストレーターでもないし、

鳥山明先生の事を書くのであればもっと詳しく、思い入れのある方が日本、いや世界中にたくさんいると思う。

 

しかし3/8に先生が亡くなったと聞いた時、ミュージシャンが亡くなったりとは違う、

この世界そのものが別のものに変わってしまったような喪失感があった。

 

今36歳の自分はドラクエ3と同い年。

はじめて意識して見たアニメはドラゴンボールの魔人ブウ編で

それと同時期くらいにドラクエ5を親のサポートを受けながらやっていたと思う。

 

ドラクエの攻略本の絵に薄い紙をのせて鉛筆でなぞって

キャラクターを何度も書いていた。

 

当時はやっていたドラクエのバトル鉛筆を握りしめ学校に行き、

帰るとドラクエ5や6をやり、ご飯を食べてドラゴンボールを見て眠る。

エンディングで流れる「僕たちは天使だった」という曲を聴くと、

続きが気になってしまって、そわそわしてたと思う。

記憶が正しければ「スーパー武闘伝」というゲームも持っていて、よくやっていたと思う。

 

僕らの世代は貧富の差などは大して関係なく、みんなそういう感じで育った。

 

先生が絵を担当されたクロノトリガーは亡くなったじいちゃんとばあちゃんが

東京から新幹線で当時住んでた名古屋まで持ってきてくれた。

小学校1,2年の頃の思い出はそんなに覚えてないが、ワクワクしすぎて落ち着かなかったのを覚えている。

 

当時は後に平成No1のゲームと言われるなんて想像もつかなかったんだけど、

先生の書いたキャラクターがあまりにドラマチックな物語と音楽に合わせて動いた時、

それこそ時間を忘れてしまったものであった。

 

小3の頃、タイに赴任になった父についていきしばらくたつと、家の近所に喫茶店ができた。

そこはコーヒー一杯で粘っていると、漫画がいくらでも読める店で、

他多数の名作を差し置いてドラゴンボールを1巻から42巻まで初めて読んだ。

先が気になりすぎてやめられない感覚をこの時初めて味わったかもしれない。

当時は悟空やベジータのようなZ戦士のかっこよさ、戦いそのものへめちゃくちゃ興奮してた。

 

実は先生に関係なく1週間前くらいからドラゴンボールを読みなおしていたが、

年を重ねるとまた見えるところが違うようである。

悟空が子供の頃のドラゴンボールの方が小ネタやギャグが挟まれていて面白く感じたり、

自分はこの年になっても可愛いものが大好きなのだが、その大きなルーツが鳥山作品にある事に気づいたり。

面白いんだけど、面白さが変容しているという感じ。

変わらなかったのは読むとやめられなくなるということだけだね。

 

その後もドラゴンボールや鳥山作品は当たり前に生活にあるものとして育った。

日本人だけではなく、海外の人とコミュニケーションを取るとき、

まず第一番に話される話としてドラゴンボールの話があった。

ソウルの飲み屋でかめはめ波のまねごとを一緒にしたら言語の通じない友達ができたこともあったし、

セルゲームの話をしていたら、ビジネスの契約ができたこともあった。

 

僕たちプラスマイナス10歳くらいの世代においてはまさに共通言語、一般常識であり、

人間関係の構築や、飲み会のネタ、エンタメとしてだけでなく、まさにツールとしても本当に助けられた。

 

政治的な話はするつもりではないが、鳥山明先生に国民栄誉賞を授与すべきだと思う。

今観光は日本でも最大級の国際ビジネスとなっており、日々海外の人達がお金を落としていっている。

その人達の多くは子供の頃にドラゴンボールを見て、日本という国に憧れを持ったという人も多いという。

 

クールジャパンがビジネスとして成立したのは、アニメの黎明期において、

ドラゴンボールが世界中の子供たちを夢中にさせ、日本のコンテンツはクールだといい印象を持ったというのも大きいだろう。

 

上記の我々が人と人のコミュニケーション手段として鳥山作品を使ったというのも

お金に換算する事は難しいだろうけど、多くの人を助けたと思う。

 

南米や日本よりも所得の低かった貧しい国の子供たちもドラゴンボールを見て、

大いに夢と希望を持ったという。

実際メキシコやチリ、アルゼンチン等ではドラゴンボールは宗教に近い存在として認知されており、

メキシコではドラゴンボール超の最終回は大きな会場で上映され、W杯なみの盛り上がりだったという。

 

こうした事は遺伝子レベルで鳥山作品を取り込んでいる私としても、

一人の日本人としてもとても誇りに思う事だし、

鳥山作品がなければ自分も今の自分ではなかったと思う。

 

きっと世界中の人達の多くは同じ思いなんだと思う、

 

最後に心からご冥福を申し上げます。

個人的には今後もたぶん死ぬまで鳥山作品に触れ続けるんだと思う。

 



 

PS.我が家の守り神として、日々戦うベジータとセル。