雑煮というのは不思議な食べ物だ。正月にはほとんどの家庭でこれを作るけれど、仕立ても中身も地域や出身地ごとに千差万別。角餅(もち)か丸餅か、焼いて入れるかいきなり煮るか、すましか味噌(みそ)か……。小豆が欠かせない地方だってある。


さまざまな風土と伝統と、そして民の工夫が豊かなバリエーションを生んだのだろう。ところが霞が関のお役人ともなると、こんな土地土地の裁量は許せないらしい。国が地方自治体を縛っている規制は1万項目にも上る。地方分権改革推進委員会がそのうち約4000項目を「こんなもの要らない」とあぶり出した。


たとえば保育所の基準はこうなっている。「保育室または遊戯室の面積は2歳以上の幼児1人につき1.98平方メートル以上であること」。これが乳児室だと赤ちゃん1人あたり1.65平方メートル以上となり、ハイハイする子の部屋は2歳未満の子ども1人につき3.3平方メートル以上必要だ。よくぞここまで、と恐れ入る。


じつは公共施設で供する雑煮にも基準があって「角餅を5分以上焼き、調味料はしょうゆ、具材は小松菜のほかカマボコ2片とする」と定めている……とは冗談だが、そんな空想さえ抱いてしまう。安全や安心のためには捨てられない規制もあろう。しかし、がんじがらめの決まりからは創意も工夫も生まれない。