*タウリス島のイフィゲーニエ : | HERR*SOMMER-夏目

HERR*SOMMER-夏目

ドイツ詩の翻訳を主に。。。
バロック詩から現代詩まで、拙訳から。。。
詩と散文、& 散文と詩。
どうぞよろしく。)))

 タウリス島のイフィゲーニエ:

  *      両親や弟と引き裂かれてタウリス島に連れてこられたイフィゲーニエ:

 

遠いタウリスの岸辺に、佇む独りの影
両親や弟と引き裂かれ、望郷の念に駆られ 

イフィゲーニエは 涙を流す・・

神々の意志に導かれ、運命の糸を紡ぐは 女神の手
だが 心は故郷を求め、風に乗せて 願いを送る

ああ、わが山々の緑、川のせせらぎ、
土の匂い、 全てが懐かしい・・

祭壇の前で 祈りを捧げる声は 空に響き
神秘の霧が 彼女を包み、孤独の中 希望を見出す・・

神よ、この苦しみから 解放して そして

家族の温もりを もう一度、この胸に お与えください・・

遠いタウリスの島で、イフィゲーニエは 夢を見る
故郷への帰還と、再会の喜びを信じて >>> ⑴--

        ***

・タウリスの島の静寂の中、イフィゲーニエは過去を振り返る
幼い日の記憶が心を満たし、家族との別れの痛みを思い出す
    **
あの日の神殿での誓い、父の涙、母の嘆き、
弟との抱擁、全てが 遠い夢・・

    **
海を越え、時を超え、想いは故郷へ

しかし、運命はここに留め、神々の意志を受け入れるしかない
だが ある日、奇跡が起こる 弟の船が岸に着く
イフィゲーニエは涙を流し、再会の喜びに 心を震わせる

   
弟よ、駆けつけてくれ ありがとう 

あなたの勇気が 私を救いました
これからは 共に、新たな運命を歩んでいきましょう・・⑵--
    **
*タウリスの島からの脱出、家族との再会、
イフィゲーニエの物語は、希望と愛に満ちた新章へ  -->>>

   ***   ---*

・ゲーテの「タウリスのイフィゲーニエ」について:
  「タウリスのイフィゲーニエ」は、ドイツの文豪ゲーテによって書かれた戯曲で、古代ギリシャの悲劇作家エウリピデスの「タウリケのイピゲネイア」に着想を得、1779年に初稿が完成し、その後も改稿を重ね、1787年に最終稿が完成した。

  この戯曲は、トロイア戦争の英雄オレステスと彼の姉イフィゲーニエの物語を描き、イフィゲーニエは、父アガメムノンによって生贄として捧げられるはずであったが、女神アルテミスによって救われタウリス島で巫女として過ごしていた。そこに、母親の復讐を終えたオレステスが訪れ、二人は再会。

ゲーテはこの物語に、人間性と理性の勝利を描いた。。。
   **
 ゲーテの「タウリスのイフィゲーニエ」は、古典主義時代の代表作で、人間の尊厳と自由を讃え、ゲーテがイタリアで書き始め旅行から帰国した後、改稿をかさね8年後に韻文で完成、彼の創作の転換期を示す作品である。。。。

   ***>>>
*イフィゲーニエ:  主人公で、トロイア戦争の英雄アガメムノンの娘。生贄として捧げられる運命から 女神アルテミスによって救われ、タウリス島で巫女として過ごしている。
*オレスト:  イフィゲーニエの弟で、母クリテムネストラの復讐を果たした後、復讐の女神たちに追われる身となる。
*ピュラデス**: オレストの親友で、彼と共に苦難を乗り越えるために旅に出る。。。
*トーアス:  タウリス島の王で、イフィゲーニエに恋をして求婚。が、拒否される。
*アルカス**: トーアス王の側近で、王の命令に忠実。
   ***
物語は、イフィゲーニエが祖国ギリシャへの望郷の念に駆られているところから始まり、そこに彼女の弟オレストが訪れる。

オレストは母親への復讐を果たした後、復讐の女神たちに追われ、偶然にもタウリス島に漂着。

イフィゲーニエは最初、オレストを生贄として捧げるべき侵入者としてしか見ていないが、やがて弟であることを知り、二人は再会の喜びを分かち合う。。。
この再会は、イフィゲーニエにとっては、長い間 抱いていた帰郷の願いを叶える希望となり、オレストと共に、タウリス島の王トーアスの求婚を拒絶し、神殿に祀られていたアルテミスの神像を持ち出して、ギリシャへの逃避行を図る。

この逃避行は、ゲーテによって愛と純真で克服される人間讃歌へと書き変えられた。。
ゲーテは、この戯曲を通じて、争いと裏切りに満ちた物語を、愛と理解による和解へと導いている。。。--

- 「タウリスのイフィゲーニエ」は、こうして人間性の勝利と自由の価値を強調する作品となる。。。