『シベリア超特急』『シベリア超特急2』2022.12月 | レイモン大和屋の <シネ!ブラボー>

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映画感想、読書感想を備忘録として書いてます。
三浦しをん氏のエッセイを愛読しています。
記憶に残る映画と1本でも多く出会えることを願っています。

12月後半は3時間超の作品を何本か借りて数回繰り返し観たのと読書も同時進行していたので記事にするのが大幅に遅れました。12月の映画界の出来事で一番驚いたのは、東出昌大主演の新作映画『天上の花』でメインの脚本家に支払われた脚本料が僅か10万円だったというニュース。この脚本家(五島さや香)はプロデューサー、監督、共作した脚本家(荒井晴彦)を相手取り訴訟を起こすようだ。トラブルの詳しい内容は文春オンライン記事を読んで頂くとして(文春オンライン12月26日記事参照)小規模(製作費1500万円)の非商業的な作品とは言え、今どき著名なスター俳優が主演している本編映画の脚本料が10万円とは信じられない。プロデューサーの一人は映画雑誌等に日本映画への提言などを書いている人物だが、記事を読む限りこの新人女性脚本家に対する対応はあまりに粗雑に感じられる。(本人も非は認めているようだが)。日本映画は大丈夫なのだろうか。

 

星取は観客目線の満足度を基準にしています。

鑑賞してから時間が経過している作品もあり、記憶違い、誤記、皆様との作品評価の違いはご容赦ください。

★5が満点 ☆は0.5点

 

 

 

『シベリア超特急』1996年

監督・原作・脚本・MIKE MIZUNO 撮影・安藤庄平      主題歌・『戻らないロマンス』藤吉ジュン

 

出演 かたせ梨乃、菊池孝典、アガタ・モレシャン、シェリー・スェニー、占野しげる、西田和昭、水野晴郎 他

 

物語は第二次世界大戦前後に満州国に向かうシベリア鉄道列車内における殺人事件の解明である。水野晴郎演じる”マレーの虎”日本陸軍大将、山下泰文が密室となっている走行中の列車内を不動のまま事件の解決に導く安楽椅子探偵の形をとっている。

物語そのものはフィクションであるが、1941年にヨーロッパ視察を終えた帰りにシベリア鉄道で帰国した山下の実際の行動をストーリーの基本設定としている。タイトルはヒッチコックの『バルカン超特急』のもじり。

低予算で制作され、低品質な作品に出来上がっており総じてB級映画と評される。映画としての質はともかくとして、趣味の要素が非常に濃い映画であり、わざとらしい表現や過去作品へのオマージュなど、映画通ならば楽しめる要素が多数存在する。

好事家にカルト映画といえる高い人気を誇っている。(Wikipediaより)

 

Wikipediaの解説がこの作品の内容とその特徴を簡潔に解説していて付け足すことはほとんどないが、事件の鍵を握るメモの紙が強風の中に吹き飛ばされたにも関わらず、列車の突起部分に引っかかっているという無理矢理感は実に見事だった。

コシノジュンコデザインのかたせ梨乃のパッと広がる純白のドレスも素晴らしかった。観客を唖然とさせる二転三転のどんでん返しは奇才MIKE MIZUNO監督の真骨頂。

こんな映画はほかの監督では到底作れまい。★★★★

 

 

『シベリア超特急2』2000年

監督・原作・脚色・MIKE MIZUNO 脚本・北里宇一郎

撮影・鈴木耕一 音楽・ジム・ダディ

 

出演 淡島千景、草笛光子、光本幸子、加茂さくら、寺島しのぶ

   二宮さよ子、須藤温子、中村福助、長門裕之、尾上松也

   安井昌二、竹田高利、北村有起哉、水野晴郎 他

 

爆破事件でシベリア超特急が止まってしまい、乗客は菊富士ホテルで宿泊することになった。そこで起きた殺人事件を一人の老人が語りだす。映画序盤には水野曰く「ブライアン・デ・パルマに挑戦した」長回しシーンが登場するほか、中盤にはやはりデ・パルマの手法で知られる分割も登場する。寺島しのぶ及び第7回国民的美少女グランプリ須藤温子のデビュー作(Wikipedia)。

 

序盤にある草笛光子と中村福助のタンゴを踊るシーンは、ベルトルッチの『暗殺の森』のドミニク・サンダとステファニア・サンドレッリのダンスシーンを彷彿とさせる。恐らくはベルトルッチへのオマージュだろう。ドラマの着想はアガサ・クリスティーの『オリエント急行殺人事件』からではないだろうか。

ピストルを手に自殺しかけた山下泰文(水野晴郎)が「ヤメター」というシーンは何の映画への挑戦だろうか、ナゾは深まるばかり。淡島千景をはじめとした超豪華女優陣の共演は水野晴郎の人望のたまものか。奇才MIKE MIZUNO監督の怪作。★★★★

 

 

 


ミステークで記事途中のものが送信されました。残りは後日ということで。

MIKE MIZUNO監督のどんでん返しを真似したものではありません。