『希望のかなた』『紅の流れ星』『GO』他 | レイモン大和屋の <シネ!ブラボー>

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映画感想、読書感想を備忘録として書いてます。
三浦しをん氏のエッセイを愛読しています。
記憶に残る映画と1本でも多く出会えることを願っています。

 映画鑑賞の本数がめっきり減ってしまった。引っ越しでVHSビデオを処分して、手元にある映画ビデオは200本か300本。段ボールに入れたままで、引っ越しの際本も文学全集や広辞苑など重いものはほとんど廃棄した。本は図書館で借りることが出来るが、映画DVDは図書館には30本前後しか置いていない。手元に残した映画ビデオは厳選したので観たいものばかりだが、再生デッキが機能せず新品に買い換えるか検討中。所有しているDVDも数10本ほどしかない。有料の映画配信には加入していないのでDVDをレンタルで借りるか、無料配信のGYAO!かYouTubeで見るかの選択。GYAO!は1本の映画の中に20回くらいCMが割り込む。まれに稀少な作品が配信されることがあるのでチェックはしているが、再配信され何度も観た作品も多い。ただ、観たいと思う映画自体残したビデオやDVD以外ほとんどない。キネマ旬報発行の「オールタイムベスト映画遺産 外国映画篇」「日本映画篇」をみてもベスト200作品のうち8割の作品は鑑賞済みで未見の作品の中で観たいと思う作品は数本ほどだった。娯楽映画は気楽に観れるので有りがたいが、それもある程度の水準以上でないと最後まで見続けるのは難しい。

前置きが長くなりましたが、そんなわけで4月に鑑賞した作品は6本でした。(『スカーレットレター』は4/27に感想をあげています)

 

 

『ボヴァリー夫人』(ソフィー・バルテス監督 2014年)

 

感想)フローベールの原作の映画化。修道院を出た18歳の娘・エマは父の勧めで医者の妻になるが、田舎の退屈な生活に飽きて若い男や侯爵と不倫を重ねる。狡猾な商人の口車に乗って華美な服や装飾品を買い続けて借金がかさみ、挙句わが身が可愛いい男たちに棄てられるという不倫劇。ボヴァリー夫人に扮したミア・ワシコウスカが魅力的で不倫の代償の大きさが怖いくらいに伝わってくる。内容や表現に深みは感じられないが、馬と数十匹の犬を使った狩りのシーンや時代を感じる衣装の豪華さなどが見どころ。☆☆☆☆(☆5が満点)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『81/2』(フェデリコ・フェリーニ監督 1963年)

 

感想)有名な映画監督・グイド(マルチェロ・マストロヤンニ)は、新作映画の構想と療養のために温泉地にやって来るが、映画の内容は一向にまとまらず、温泉地に呼び寄せた妻(アヌーク・エーメ)との関係もギクシャク。巨大なセットを組んで経費がかさみ、製作者からも追い詰められ苦悩する。グイドは少年期に住んでいた田舎の村を思い出す。自分の作りたい映画は何か、映画とは何かがようやく見えてきた。人生は祭りだ!映画も祭りだ!。この作品がフェリーニの8作目にあたり、共同監督した作品が1本ありそれを2分の1本としてこのタイトルがつけられた。☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

『希望のかなた』(アキ・カウリスマキ監督 2017年)

 

感想)シリアのアレッポで家族を失い、妹とも離れ離れになったカーリドは貨物船に身をかくしてヘルシンキにやって来る。

難民申請が通らず入国管理局から強制送還されそうになるが、偶然ヴィクストロムという男に救われる。ヴィクストロムはセールスマン稼業と酒浸りの妻に嫌気がさして家出し、ギャンブルで手に入れた大金でレストランを買い取った。レストランに雇われたカーリドは仲間の従業員たちと新規に立ち上げられたSUSI店で奮闘するが・・・。カウリスマキ作品らしい無駄を削いだ構成とユーモア。☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

『紅の流れ星』(舛田利雄監督 1967年)

 

感想)フラン映画の名作『望郷』を下敷きにして作られた『赤い波止場』を舛田利雄監督がセルフリメイク。ゴダールの『勝手にしやがれ』を取り入れて日活ニューアクションのさきがけとも呼ばれる。『紅の流れ星』の五郎の軽みを好むか『赤い波止場』の裕次郎の苦悩を好むか。こんな渡哲也を見ることはなかなか無い。鏑木創の主題曲の口笛がいつまでも耳にのこる。☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

『GO』 行定勲監督 2001年

 

感想)金城一紀の半自伝的原作(直木賞受賞作)を宮藤官九郎が脚本化し行定勲が監督して、熱気とナイーブな演出で青春映画の傑作になった。民族学校(朝鮮学校)に通っていた在日韓国人・杉原(窪塚洋介)は、高校進学を機に日本の高校へ進学することを選択し、そこで出会った桜井(柴咲コウ)との恋愛が始まる。

真夜中の橋の上で交わす巡査(萩原聖人)とのやり取りが抜群に面白い。☆☆☆☆☆