「アイアムアヒーロー」 佐藤信介監督 2016年 | レイモン大和屋の <シネ!ブラボー>

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映画感想、読書感想を備忘録として書いてます。
三浦しをん氏のエッセイを愛読しています。
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 大泉洋主演の普通のヒーローもの映画だと思っていたらそうではなかった。ZQN(ゾキュン)と呼ばれる感染症に汚染されたゾンビが食人鬼と化し、次々に人を襲っていくという「ゾンビパニック系」の作品だった。ゾンビ系映画は余程興味を惹かれたもの以外基本的にパスするほうなので、事前情報無しで映画を鑑賞(レンタル)するのも良し悪しだ。長澤まさみや有村架純が出演していたのは事前に知っていたのでよもやゾンビ系映画とは予想もしなかった(笑)。「ゾンビパニック系」映画でも脚本や演出次第で楽しめる作品になるのでそこに期待してみた。結果は「観なくてもよかったかな」(笑)。海外の国際映画祭で賞を受賞しているので(「観客賞」「特殊効果賞」など)その筋の専門家や観客には評価されるような作品なのだろう。ジャンル的な好みは別にして、一作品として観た時の感想はどうだろう。大泉洋扮するどちらかと言えば、気弱で自分に自信が持てない主人公がゾンビパニックに巻き込まれる中で少しづつ変化し、チョッとだけ自信を取り戻す、というような内容の作品だったが、CG,SFX,VFXなどの特殊効果ばかりが目立ち、大泉洋をはじめ、有村架純、長澤まさみ、アウトレットモールに立てこもる伊浦、サンゴなどのキャラクター造形に魅力が感じられなかった。原作があるとは言え、脚本や演出に遊びが感じられず直線的過ぎて面白みがない。ゾンビ連中のキャラにしても然り。エンタメ映画なのだからもっと遊びが欲しい。鈴木清順や石井輝男ならばもっと奇妙奇天烈なキャラクターを登場させ、お色気や笑いも盛り込み、主人公のキャラを引き出すような作品にしているだろう。
脚本も演出も凡庸。”特殊効果だけが一人歩きした映画"というのが正直な感想。ラストに至っても主人公に対して何の感情も湧いてこないのは、こちらの感情が鈍磨しているのか、はたまた映画のせいなのか。
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☆☆☆(☆5つが最高です。☆3が普通 4つ以上おすすめ)