昨日鑑賞した4本の映画の中から1本選んで感想を書こうと思っていたが、この4本がどれも面白く1本に絞る事が出来なかった。以前このブログでも書いたように、映画の感想を書くのは簡単なようで案外難しい。ほかの映画レビューを書かれているブロガーさんたちはどうか分からないが、自分の場合映画の感想を書くには最低2回は観ないと書けない。それは単純に記憶力の問題もあるが、1回目と2回目では映画を観る余裕という点で大きな違いが出てくる事が大きい。1回目では見逃していた細部に2回目の鑑賞で気付いたりすることが多々ある。1度目と2度目では自分自身の感じ方にも違いが出てくる。4本の映画をもう一度観る時間的余裕がないので(レンタルの返却など)1度の鑑賞で記憶を辿りながら感じた事を簡単に書いて置こうと思う。
「わたしに会うまでの1600キロ」この作品だけは今回で3回目の鑑賞。やはり、よかった。リース・ウィザースプーンが自身でこの企画を持ち込み、プロデュースにも関わっているだけに気合の入り方が違うと感じた。アカデミー賞主演女優賞にもノミネートされ、米国での批評家の評価も高かった作品だが、何故か日本では余り話題にならず、作品評価という点でも不当な扱いを受けていると感じざるを得ない。R15+指定で過激なシーンもあり、日本の映画評論家にも忌避される要素を持った作品でもあるなと今回観て思った。町山智浩氏がこの作品を高く評価しているようだ。アンチも多いが、アメリカ在住が長く映画を観る目をもった批評家である。この作品は年に1度は必ず観たい。
原題は「Wild」邦題は分かり易いが余り感心しない。
原題通りの方が良かった。☆☆☆☆★
「愛の渦」原作脚本監督 三浦大輔 岸田國士戯曲賞受賞。 こういう”裏風俗”が実際あるのかどうかは知らない。スワッピングは愛好者が多いようだが、これもそのいちバリエーションだろう。セックスすることが目的で、男性2万円、女性千円、カップル5千円の料金を払い、六本木のマンションで午前0時から午前5時まで自由にセックスをするというシステム。岸田國士戯曲賞を受賞しているだけあって、単なるエロ映画で終わっていない。このマンションに集まった男女8人(後から一組のカップルが参加する)が相手を変えてセックスをするのだが、それに至るまでの自己紹介や話し出すまでの気まずい雰囲気、打ち解けた後の言いたい放題の本音の暴露。大人の人間が社会生活の中で本能的に身に着けている”建前と本音”の欺瞞性を痛烈に暴く。「恋の渦」(大根仁)の姉妹編的作品。☆☆☆☆
「グランドフィナーレ」パオロ・ソレンティーノ監督 2015年 日本公開2016年 主演 マイケル・ケイン ハーヴェイ・カイテル キネマ旬報ベストテンではおそらく上位にくる作品だろう。とにかく映像がきらびやかで圧巻だった。海外での批評家の評価も高いようだ。その中で評価があまり高くなかった批評家のコメントが自分の感想に近いものだったので引用したい。「ゴージャスではあるが、ある種の不気味さを感じる。中心となっている主題が明瞭ではない」「優雅で能弁ではあるが、どうも気迫に欠ける。失われてしまった時間に対する老人の後悔はマッチョイムズ的であり面白みもなく実りあるものでもない。しかも感傷的になっている」かつての大女優としてジェーン・フォンダが出演していたが、最後まで分からなかった。あゝ、あれがジェーン・フォンダだったのか、☆☆☆☆
「最強のふたり」2011年 フランスで歴代三位の観客動員を記録したそうである。日本でもフランス映画としては歴代一位の興行収入だったそうだ。コメディ映画かと思っていたがそうでもなかった。コメディ的要素は多分にあったが基本はヒューマンドラマと言っていいのではないか。現在のフランス社会で問題になっている多数の移民(アフリカ系黒人)の問題などもサブストーリー的に描かれている。主人公の大富豪フィリップは事故で頸髄損傷、車椅子でほぼ3時間ごとの介護、介助を必要としている。そこに雇われたのが介護未経験で窃盗の前科がある黒人の移民青年ドリス。ドリスは自由奔放で周囲の目などお構いなしにフィリップを外に連れ出し、やりたい放題。そんなドリスをフィリップも気に入っている。そんな中ドリスの弟が邸にやって来た事をきっかけに「ここは君がいるべき場所ではない」とドリスに別の生き方を探すように諭すフィリップ。フィリップを演じたフランソワ・クリュゼとドリスを演じたオマール・シーのコンビがまさに最強コンビだった。この作品には実在のモデルがあったそうだ。☆☆☆☆
今年最後のブログになりました。 この一年ご訪問いただいた皆さん、コメントしていただいた皆さん、有難うございました。来年も宜しくお願い致します。
よいお年を
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