先程の続き。
そんな会見の様子は…こちらで動画を見る事ができます
終始笑顔で答えてくださる仁左衛門さん。
“いがみの権太”の魅力について聞かれると…。
「解説の中でよく、権太のことをならず者、と表現される方がいらっしゃるんですけれども、決してそうではないんですね。
悪いことはするんですけれど、根は善人、可愛いと言いますか。
子供に “あの子も権太やねぇ” と言うのは、決して悪く言っているのではなく、悪いことをしているんだけれど可愛くて憎めない、そういう人物のこと。権太も同じ。
(Wikipediaによると《ゴン太》とは、いたずらっ子や腕白小僧と呼ばれる男児に付けられる渾名、とのこと。関西弁なんですね!知りませんでした
)
そして、夫婦愛、子供への愛、親への愛、そういうのを非常に大事にしている。そういうところが可愛いなぁて、魅力だと思ってるんですね。
そういう所がないと、子供女房を犠牲にして忠義を尽くし、親への勘当を許してもらうためにそういう事をするなんてね…。
自分勝手なとんでもない奴ではあるけれど、どこか可愛いなぁと許せるような男で私は演じております。」
と仁左衛門さん。
そんな仁左衛門さんが権太役を勤める時は「木の実」から上演する事が多いそうで。
その理由に関しては…。
「前の段で(「木の実」)、夫婦子供のアットホームな雰囲気を出しておかないと、次に子どもと女房を犠牲にした悲劇が浮き彫りにならない。
昔のお客様はストーリーの背景をご存知だけれど、今のお客様にはわかっていただけない部分もあるので、台本も随分書き換えてるんです。
わかりにくいところをカットしたりとか、周りくどいところを端的に説明したり、もう1度練り直して…。
これは私のテキストでやっていますから、自信作でございます。」
と続けると、最後に、恥ずかしそうに「ふふっ」と目尻を下げて微笑む姿に、集まった記者の皆さんも思わず笑顔になっていました。
また、いがみの権太について…。
「(原作通り)関西独特の味がある方がいいんじゃないかな、と。勿論、江戸のやり方もこれはこれで素敵なんですけれども。
やはり、関西の泥臭さとか、甘ったるさとか、あんまりスキッとしない方が人間模様が浮き彫りになると思うんですよね。」
とも仰っていました。
そして今回、『正札附根元草摺(しょうふだつきこんげんくさずり)』を、橋之助さんと壱太郎さんがつとめることもあり、若手の方にどんな事を伝えていきたいか質問されると…。
「舞台に臨む姿勢、そして役の捉え方、台詞、所作、そういう所…やはり丸本物(人形浄瑠璃の為に書かれたものを歌舞伎化したもの)独特の芸をしっかりと受け継いでほしいと思いますね。」
と話していました。
最後に、今回巡業で訪れる地域の中には西日本豪雨の被害を受けた地域もある事から…。
「東北の時も、多くの方が精神的に沈んでらっしゃる時に『身替座禅』をもっていってね。その時お客さまが本当に喜んで下さって。こちらもね、涙が出てくるんですよね。
ですから、先程私の健康維持の時に話した様に、精神的に喜んでいただけるように頑張りたいと思います。」
と、締め括っていた仁左衛門さん。
仁左衛門さんのお話を聞けば聞くほど観たくなる。
いや、これは観ないではいられない。
そんな内容でした
皆さんの住まいのお近くで開催される日がありましたら…。
是非是非、足を運んでみてはいかがでしょうか?
多分おそらく…初めての方も…これを観たら歌舞伎を好きになるはずです
会見後…。
歌舞伎には【愛】がある、と仰っていた仁左衛門さんも同様に愛に溢れた人なのではないかな、と。
歌舞伎への愛、お客様への愛、そしてスタッフさん達への愛などなど。
そんな事を思った帰り道。
夜桜ならぬ、夜の梅を愛でながら帰途についたのでした♪
最後までお付き合いいただきまして有難う御座いました







