こんばんは。


8月9日に納涼歌舞伎が初日を迎えたばかりですが…。


今日からは、来月行われる【秀山祭】のチケットが発売です照れ






【秀山祭】と言うのは…。


『初代吉右衛門の功績を顕彰し、その芸と精神を継承することを目的に、平成18(2006)年から始まった』(歌舞伎美人より)もので。


今年で12回目。


『秀山』と言うのは、初代吉右衛門さんの俳名で。


祥月の9月に行われています。


毎年、初代吉右衛門さん所縁の演目が上演されていて、去年は【河内山】と【俊寛】でした照れ






そんな【秀山祭】を前に、先日、中村吉右衛門さんと中村歌六さんの取材会がありまして。


個人的に、吉右衛門さんの大ファンであり。


歌六さん、米吉さんも大好きな私としては…。


何日も前から心臓をドキドキバクバクさせながら出席してきました!






もうね。


本当にお二人共、すっごく素敵でラブ


そんなお2人から色んなお話を伺う事が出来ましたラブラブ





まずは吉右衛門さんが…。


「今年は盛り沢山でございまして。
私の祖父にあたります三世歌六(養父初代吉右衛門さんの父)の百回忌、それを追善させて頂きます。夜の部【寺子屋】では孫の尾上丑之助と、父親の菊之助くんとも共演します。
【沼津】におきましては、又五郎くんの孫…歌昇くんのお子さんが、初御目見得と、おめでたいことが重なりました。
追善ではございますが、100年も経ちますとおめでたいものになりますので(笑)
祖父にも養父にも孝行が出来たと喜んでおります。
歌六さん、又五郎くん、私と…私の親戚になります雀右衛門さん…これだけが揃いますので、そこで追善の口上を述べさせていただきます。」


とご挨拶。






続いて歌六さんも…。


「私の曽祖父・三代目歌六の追善を催させていただきます。

夜の部では、三代目歌六のために書き下ろされたと言われ、秀山十種の1つでもある【松浦の太鼓】の松浦鎮信を。

これは初代吉右衛門の大おじさま、十七代目勘三郎の大おじさま、そして当代の吉右衛門のお兄さまへ、連綿と続いてまいりました役です。一生懸命勤めさせていただきます」



とご挨拶。







昼の部の【沼津】で共演する歌六さんについて吉右衛門さんは…。


「沼津も何回もやらせて頂いて、息は2人共ピッタリで…それをいかにはずすかというのが課題でございます。
役者根性で、相手より優れたものをお見せしたい、その為にはなんとか相手を超えなければならない、と(笑)」


と話すと、隣にいた歌六さんが…。


「おそろし〜(笑)」


と笑顔で返し、記者の方々の笑いを誘っていました照れ






それにしても…。


“息ピッタリのところをいかにはずしていくか。”


お互いが素晴らしい役者さんだからこそ、そして、お互いをわかっているからこそ出来ること、ですよねぇ。


そして、そこから観るものにさらならる面白さを与えてくれる…。


なんだか、すごいなぁ、と。


私はただただ、頷くばかりでした照れ
(因みに、この演目で、吉右衛門さんが十兵衛、歌六さんが平作を演じるわけですが。
お2人がこのお役で共演するのは4回目だそうです。)






一方、歌六さんは…。


「沼津というお芝居は、前半は捨て台詞(アドリブ)の応酬みたいなものですから、お客様にいかに喜んでるいただけるか…。
前半で喜んでいただいた分後半の悲劇が盛り上がってくるという感じなので、前半をいかに盛り上げるか…というのをいつも苦労しております。
まぁ、お兄さんが相手ですと、何をやってもどんと来い、という感じですから。
色んなことをやってみようかなと思っております。」


と、演じる上での想いを話される中に、吉右衛門さんへの想いも垣間見ることができました照れ


アドリブの応酬…楽しみすぎますよね!


記者の方から【沼津】の見所を聞かれると、吉右衛門さんは…。


「それは平作さんから…(笑)」(歌六さんが演じるお役の名前)


と、笑顔で促すと…。


「親子の情とか日本人の琴線に触れる所が多い作品だと思います。
前半は陽気に、お客様に楽しんでいただいて。
それが段々悲劇になって最後は親子の別れになってくるという…。
実によく書けたお話だと思うんですよね。」


と歌六さん。






すると吉右衛門さんが…。


「これは仇討ちの話が主なんですが、そこからちょっと外れた、周りの人の…仇討ちに関わる悲喜劇なんですね。
それがとってもよく書かれておりまして。
僕も歌六くんに負けず、好きな芝居でございます(笑)」


とニコニコ笑顔で答えてらっしゃって。


そのお二人の笑顔がまた素敵なこと!


この笑顔に、集まった記者さんも、ニコニコっと頰が緩んでいました。






そして、このお役を演じる難しさについて聞かれると吉右衛門さんは…。


「1番難しいのは(十兵衛と平作が)親子だとわかってから…でも、敵同士でございますので打ち明けられず…。
平作の家を去っていく時に、空を見上げて“降らねばよいがな”という台詞があるんですが…。
そこで初代吉右衛門はその後の悲劇をお客様にすーっと感じさせたという事を聞きました。
それを僕もなんとか出来たらいいな、と。
いつもいつも考えながら、いまだに出来ておりません。
型を消化することは必要ですけれども、その型に心を込める、役の気持ちを込める事、それでもってお客様の気持ちをつかむことが大切だと言う事を実父などから聞いておりますので、それをやろうとはしております。
しているんですが、そこまでの才能がないと言いますか…。
お顔が綺麗で皆様に愛される役者さんもいらっしゃいますが、僕はそうはいきませんので。
なんとかお客様の心を掴みたいなと日々努力はしております。
一・顔、二・声、三・上手という昔からの例えはありますけど、中々覆せないものだなぁと思ってとります。」


と話してくださいました。


なんだか、ほんとに凄いなぁと。


吉右衛門さんのような素晴らしい役者の方が、人間国宝である方でも、未だ自身の目標とするところには届かず、更なる高みを目指してらっしゃる。


それだけ、初代吉右衛門さんが素晴らしい方だったんだなぁと思うと共に。


役者の方々が“芸を繋いでいく”だけではなく、観る我々もこういった役者の方々の考えやお気持ちを知り、それを繋いでいくことが大切なんだなぁ、思いました照れ






また、歌六さんはお役の難しさについて…。


「はっきり言いまして私にとっては簡単なお役はなくて、全部難しいんですけれど…。
先程お兄さんも仰いましたように、【沼津】という芝居は、【伊賀越道中双六】に出てくるメインキャストが1人も出てこない幕なんですよね。(【沼津】は【伊賀越道中双六】の六段目)
本来、仇討ちと言うのは、仇を討つ人がいて、討たれる人がいる。
これは仇を討つ人も討たれる人もいないんですよね。
お互いがその人に仕えているというか、その人にお世話になっているという…実際の仇ではないが、仇同士なわけです。
2歳の時に養子にやってしまった、息子の十兵衛だと気が付いてから…。
口には出さないけれど、どうにか仇の居所を聞き出したい。
けれども、十兵衛にも平作にも義理があり。
お互いの義理と義理のせめぎ合いの中で、親子の情愛でもって、その秘密を聞きたいと言うところが、眼目になるのではないかと思います。


と話して下さいました。






さらに、今回演じる平作について。


「わりと歌舞伎のおじいさんの役って、大変なお役が多いんですよね。
なので、本当に年をとってから初役となると、結構大変だと思うんですけど。
若い頃から経験させていただいていますと、多少慣れてきますから…。
今回平作が初役だったら大変だったと思います。」


とも教えて下さいまして。


なるほど…。


そうか…。そういうものなんですね…。


単純に、歳に応じて役をかえていくわけではないのですね…。



(個人的に好きな本たち)



なんだか、お2人の話を聞いていると。


書籍などではわからない歌舞伎の奥深さや面白さを聞くことができ…。


最初はドキドキバクバクだった心臓は、気がつくと穏やかに…ワクワクとした気持ちの高鳴りに変わっていたのでした♪



まだまだ書きたいことはあるのですが…長くなってしまったので、続きはまた改めて照れ


ではではでは。