待ち人は光る黒髪百合の花
息子が彼女を連れてくるという。
本来ならもう少し早いタイミングでの挨拶を受ける予定だったが、予定が合わなかったり、コロナに感染したりと延期が続いていた。
何度も日延となるとちょっと縁起が悪い。夜7時なら都合がいいというので、早めに食事を済まして待つことにした。
彼女は少し緊張した面持ちだったが、挨拶の声ははっきりとしていた。白いシャツに黒髪が印象的で、久しぶりに真っ黒い髪を見たくらいに艶々しかった。
綺麗な女性だった。
傍の息子ときたら、ドヤ顔っぽく椅子に座っている。今日はほとんどリラックスモードだ。
挨拶の後、二人から入籍のこと、病院勤務のこと(彼女は看護師)、新居のことなどの話をフルーツ大福を食べながら聞いていた。
これって美味しい。(どうやら堺の有名どころのスイーツらしい、今日の僕の選択はナイスだった)
彼女は控えめだが、質問にはハキハキと答えていて、仕事のできそうな女性の印象だ。
いい女性と出会えてよかった。心からそう思った。
妻は何度か話しかけながら涙ぐんでいた。
なんでなん?どうも彼女への感謝も含めて、息子の結婚話にグッときたらしい。
二人が幸せでありますように。
何年か前の奈良町で。