朧夜や干してまた干す紹興酒

この春に上海から帰任した後輩が大阪本社を訪ねて来たので中国料理店で会食となった。

退職して京都に住むもの、名古屋で勤務するものも駆けつけて合計五名での食事だ。

帰任した彼は中国ハルビンの出身だからこうした会には中国料理がいいし、皆中国に何年も暮らした仲だから、すぐにあの頃の気分が蘇ってくる。


青島ビールで乾杯の後、ひとりが紹興酒を注文した。上海では盛り上がると白酒(度数55度)を頼んだが、やはり日本ではそこまでの気分とはいかない。小さなグラスが配られ、琥珀色の液体が注がれた。それじゃ酒が変わったから乾杯。

再び乾杯が続く。

僕が帰国して3年となる。

この間中国では様々な出来事があったようだが、出てくる話題にも少し鈍くなっていた。

冷めてきたのだろうか?それともこの日本での生活に慣れてしまって、何やら遠いところの話に聞こえてしまうのだろうか?


それでも大阪の街中のテーブルの上では、懐かしい話に盛り上がった。

帰りは外国人で溢れた道を真っ直ぐに進む。

天空には朧夜の月がかかっていた。