水温む鯉の笑いが背中押し


ちょうどこの時期は当社では人事異動の内々示が行われる。海外勤務の場合、いろいろな都合で赴任できないと異動を拒否することもあり、少し早めに本人への通知と意向確認が行われる。

2回目の海外赴任の内々示を受けたのは2015年2月3日だった。もう7年も前か〜。時が経つのは随分と早い。

2回目の赴任には抵抗があった。

だから会社を辞める、とかまでは考えは飛躍しないが、何でやねん?とか、もう歳やから新しい任務をこなせるやろか?とか、頭の中は同じところをぐるぐる回るだけだった。

出張先で街をぶらぶらと歩いていたら、城の堀に行き着いた。

覗いてみると鯉がひと所に群がっていた。

結構な数だ。そのうちのいく匹かは口を大きく開けてこちらを見ていた。

何やら口を開けて笑っているかのようだった。

何やねん!

そう小さく悪態ついてはみたが、ひと所にずっと止まって出口のない思案ばかりしている自分を笑っているのかと思うと、急にモヤモヤしたものが落ちたようだ。

そやねんな!

前を向いて歩かないとな。

背中をポンと押されたかのようだった。


結局中国に再赴任したが、現地での仕事は順調だったし、写真クラブに在籍してたくさんの知り合いもでき、公私ともに楽しい日々だった。

思えばあの時のグダグダ感は何やったんだろうと可笑しくなる。



水郷では今でもこうした光景が見られるところがある。冬や春先は冷たいだろうな。