※撮影許可有りです。

 

さて、お盆の時期であるが(キリスト教の家なのでお盆の文化は無い)、以前から気になっていた進藤実優さんのピアノリサイタルへ行ってきた。進藤実優さんは、第7回ヴィーゴ市国際ピアノコンクール(スペイン)では第1位入賞及び聴衆賞を受賞し、第45回ピティナ・ピアノコンペティション特級ファイナルで銀賞及び聴衆賞を受賞、第21回浜松国際ピアノアカデミーコンクール第1位及び中村紘子賞を受賞している。それなりに入賞歴はあるが、第18回ショパン国際ピアノコンクールと第76回ジュネーブ国際音楽コンクールでセミファイナリストにとどまる。有力コンクールでの結果はこれからに期待である。

 

ただリサイタルの人気は高く、コンクールの結果など水物である。コンクール向きの演奏と、コンサート向きの演奏は異なるのだ。コンクールで結果を残したが歴史に消えていったピアニストもいれば、コンクールでは評価されなかったが観客に愛されたり、歴史に名を残したピアニストはいくらでもいる(大巨匠ミケランジェリも現エリザベート王妃コンクールでは第7位にとどまっていた)。

 

さて、前置きが長くなったがプログラムは次である。

 

(前半)

ショパン:スケルツォ第4番 ホ長調 Op.54
ショパン:バラード第4番 ヘ短調 Op.52
ショパン:ポロネーズ第7番 変イ長調 Op.61《幻想》

 

(後半)

シューベルト:3つのピアノ曲 D946
リスト:《ドン・ジョヴァンニ》の回想

 

(アンコール)

ショパン:ワルツop.34-1、マズルカop.17-4、ノクターンop.27-2

 

全体的に清美な演奏だった。前半のショパンの3曲は、とても流麗。一方で、後半のシューベルトとリストはパワフルでダイナミック。アンコールのワルツop.34-1は大変に快活で明るく躍動感があり、ノクターンop.27-2は鋭い感性で詩情ある音を奏でる。多彩な表情を見せてくれる素晴らしい演奏だった。


後半にいくにつれて乗ってきたのか、どんどん快活になってきて、リストの「《ドン・ジョヴァンニ》の回想」は本当にリサイタルのハイライト。ドン・ジョバンニの「シャンパンの歌」のモチーフのフィナーレで会場は沸き立った。全体的に明るく躍動感と推進力のある演奏だった。オクターブの連打もものともしない、ヴィルティオーゾ的な側面も見逃せない。ただ個人的には過度ともいえる感傷や悲哀がもう少しあると好みだった。

 

それにしてもリサイタルのマイクトークってどんどん一般的になりつつあるんですね。ピアニストの人となりが分かっていいのだけれども。この前行った亀井さんの大阪でのリサイタルでもマイクトークがあって会場を沸かせていた。進藤さんはとても実直で誠実で優しいお人柄が伝わってきた。

 

それにしてもトッパンホールには初めて来たのだが、スタッフの対応はさすが大企業のホールだけあってよい。こじんまりとした演奏会にはもってこいだ。ただ天上の照明があまりにも実用的過ぎて華やかさがない。コンサートホールは非日常を感じさせる晴れの場であってほしいものである。そして駅から遠いこと。夏に首都高の高架下を10分以上歩くのはなかなかしんどい。やはり立地って重要だなと思わせてくれるホールだった。

巨額の相続税の支払いに困った英国貴族が、風光明媚な湖水地方(Lake District)にある先祖伝来の山を売りに出した。この貴族は、第8代ロンズデール伯爵(Earl of Lonsdale)ヒュー・ラウザー(Hugh Lowther)氏。イングランド(England)北西部の人気観光地・湖水地方に所有するブレンカスラ(Blencathra)山(標高868メートル)を含む約1083ヘクタールの土地を、175万ポンド(約3億円)の売値で売却し、相続税の支払いの一部に充てようとしている。報道によると、伯爵は父親の死去に伴い、900万ポンド(約15億5000万円)もの相続税を支払わなければならなくなった。ーLINK

 

英国の伯爵家の領地の一部が売り出し中のようである。湖水地方に所領を持つロンズデール伯爵だそうだ。ちなみに、次のサイト(LINK)に伯爵の写真が掲載されている。相続税が15億円というのもなかなか驚かされる。記事によると、相続財産が32万5000ポンドを超える場合は、超過分の資産に対し一律40%の相続税が課税されるそうなので、ざっくり計算すると総資産は約40億円(1ポンド180円計算)だったようである。庶民では一生かかってもたどり着けない資産額だが、アメリカのビジネス長者に比べると意外と慎ましい資産だろうか・・・?

 

こちらの領地を購入すると「スレルケルド荘園領主(Lord of the Manor of Threlkeld)」の名称の使用が認められ、さらに独自の紋章を紋章院に申請できるそうなので、手軽に(!?)領主になれるので、超富裕層にとってみればお買い得かもしれない。称号を手にする実益は自己満足以外にはないだろうが。ただこの領主は公的には貴族でも準貴族でもない、名目的なものである。とはいえ、代々の領主や紋章がしっかりと伝承されているのは希少な文化である。日本はGHQの改革で財閥は解体され、華族制も廃止され、上流社会が解体されてしまい、上流文化も衰退してしまった。結果的に総中流の平等な社会となったが、上流社会の有していた風雅な文化が衰退したことは惜しまれる。

 

昔は貴族は免税されていたり特権を享受していたが、20世紀に入り特権も次々と失って、莫大な相続税で払えずに所領や財産を失った貴族も多い。例えば、セント・オールバンズ公爵家は英国でも指折りの名門貴族であるが、家計が苦しく1940年代には所領のない貴族となり、賃貸暮らしになってしまったそうだ。現在14代目の公爵は勅許会計士(Chartered Accountant)だそうだ。ここらへんの英国貴族の没落の様は、カズオ・イシグロの小説「日の名残り」や、海外ドラマの「ダウントンアビー」などでも描かれている。

 

一方で、大富豪貴族のウェストミンスター公爵のヒュー・グローヴナー閣下は、資産が1.6兆円ほどあり、貴族間でも猛烈な格差がある(ちなみに、第2代ウェストミンスター公爵は、ココ・シャネルと交際していたことがある)。興味深いが、前述の所領のない公爵家もある一方で、下級貴族ながら大富豪のハワード・ド・ウォルデン男爵家のケースもある。現在の当主は女性だが、英国で第5位の大富豪で、資産は約9000億円だそうだ(LINK)。

※ 補足:ちなみに、このハワード・ド・ウォルデン男爵家は、サフォーク伯爵の従属爵位だったが、三代目が男子なく死去してしまい、伯爵位は三代目の弟に相続されたが、男爵位は女性も相続可能だったので、三代目の令嬢の血筋へと引き継がれたそうだ(爵位を停止されたりなど複雑な経緯がある)。そしてなんやかんやあるが、六代目が、ポートランド公爵令嬢と結婚し、ポートランド公爵家が有してロンドンの一等地メリルボーンの土地を相続し、裕福となったという経緯らしい。

貴族も爵位の高低に関わらず栄枯盛衰である。貴族制を維持する英国の興味深いニュースだった。

 

二人の京劇俳優の人生を、国民党政権下の1925年から始まり、日中戦争、国民党政権下、そして文化大革命時代を経た70年代末まで、半世紀にわたり、中国の政治社会の動乱とともに描いた一大叙事詩。中国第5世代を代表する監督チェン・カイコーの傑作。「覇王別姫」を下地にしたストーリーがほんとに見事。ぜひ映画館の大画面で集中して鑑賞してほしい作品である。

大学時代に一度観たが、非常に印象的だった作品なので今回4K版で再上映されていたので観てきた。公開30周年、主演俳優のレスリー・チャン 没後20年 だそうだ。いや、再視聴してよかった。3時間近くあるが、目が離せないのであっという間。

どうしても主人公同士の愛憎劇に目がいくが、封建的な社会から民主化へ向かい、そして共産化して文化大革命の混乱という社会情勢の変化と、それに翻弄される市井の人々の心理描写や人間関係の変化なども非常に興味深い。中国最後の皇帝を描いた傑作映画「ラストエンペラー」もあわせて観るとさらに感慨深く観れるだろう。

それにしても「袁世卿」なる人物が出てくるが、こちら袁世凱の関係かなと思って調べてみたところ、もちろん、実在はしていないものの、袁克文という袁世凱の次男がモデルだそうだ。袁家は代々官僚・軍人を輩出した名家で、袁克文は古典文学や書と水墨画に秀でた風雅な人物だったそうだが、父親に勘当されて上海に逃れて反社会的な青幇の一員となったという。本作での描かれ方とは違い女好きで7人子供をもうけて、全員が学者になったそうだ。なお、劇中の「袁世卿」は、清王朝の貴族で領主の設定だそうだ。

それにしても、若きコン・リーは見どころである。彼女が文化大革命の最中に、裏切られ、失意の中で、程蝶衣に物言いたそうに振り返るシーンがあまりにも切なくて忘れられない。コン・リーの作品だと、チャン・イーモウ監督の文化大革命期を描いた「活きる」も素晴らしい。昔観たがもう一度観たい。

そして、本作だとやはりレスリー・チャン に目が行く。ウォン・カーワイ監督の「ブエノスアイレス」「欲望の翼」にも出演し映画史に名を残しているが、歌手としても活動していた(山口百恵「さよならの向う側」のカバー曲「風継続吹」が有名)。しかし、46歳で「マンダリン・オリエンタル香港」より飛び降りてこの世を去っている。改めてご冥福をお祈りしたい。

本作は映画史に燦然と輝く傑作であるが、中国だと政治的に上映が難しいようだ。映画館には中国人が多かっただが、本国で鑑賞できないので、来日したついでに鑑賞するようだ。本国よりその周辺国でその文化が残るという現象もなかなか面白い。映画1本とっても、その内容や鑑賞のされ方で様々な社会の諸相が見えてくる。

 

★ 4.8 / 5.0

いやー、暑い。

 

そんなときは冷えた白ワイン、スパークリング、日本酒がいい。

 

すると食べたくなるのが牡蠣。いや、夏は当たりやすいとは言われるが、ついつい食べちゃう。

レモンをちょっと絞って、そのまま食べるとほんと美味。

 

当たるの怖いので我慢しようと思いつつ、自制できず。。

海洋深層水で浄化しているので、当たらないことを願う。。

 

最近は完全に陸上で牡蠣が養殖できるようになったそうだが、ほんと朗報。

㈱ゼネラル・オイスター、グッジョブ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワイン好きには富裕層が多い。だから、富裕層だから高価なワインを飲むのだと思われがちだが、そうではなく、金持ちや仕事ができるのは、ワイン好きの結果(因果と結果が逆さの「逆の因果」)だと本書は前半で指摘している。しかし、まぁ、眉唾だな。慶應卒でコロンビア大で修士までとって日経新聞元記者でこの見識から呆れてしまう。全体的に読みやすく、ワインのウンチクは参考になるが、それ以上ではない。だいたい日本の富裕層の数人を取り上げて、彼らがワイン好きだから、仕事できる人はワインにはまるというのは「過度な一般化」という誤りである。

 

反論するなら別のロジックを示せと言われそうなので、示しておこう。まず、IQが高いと、経済的に成功する確率が高いのはよく知られている(LINK)。また、IQが高いとアルコール好きが多い傾向があることも統計的に分析されている(LINK)。つまり、IQが高いと経済的に成功しやすく、また、アルコールが好きな確率が高いのだ。IQが高い人は経済的に恵まれており、また、アルコールの一種のワインが好きである確率も高いと類推できる。ワイン好きなのはIQの高さの結果であって、また、経済的な成功もIQの高さの結果であり、それらの従属変数間の相関性はただの疑似相関なのだ。

 

ただ、一方で、ワインはかなり歴史も長く、品種も多いし、赤・白・スパークリングと種別が分かれており、かなり複雑なアルコールであり、深掘りするとキリがない飲み物でもある。こうした複雑さと多様さが、ワインの参入障壁となっているのも事実だろう。結果的に、IQがそれなりに高くないと、ワインの奥深さは理解できず、IQがそれなりにある人は、そこそこ経済的にも成功しているということになるのだ。

 

ここら辺の構造を理解せずに論を進める本書はあまり説得力がないものの、ワインのウンチクなどは分かりやすく、悪くない。軽い読み物としては悪くないが、わざわざ購入する必要はないだろう。